ビジネス文書の作成者は、読み手にとって分かりやすい書式で書くことが大切。ですが、読み手目線で文書を書くのは、なかなか難しいものです。特に、相手に伝える用件が複雑な内容であったり、複数の事項に触れる必要があったりすると、文章がごちゃごちゃして整理して書くのも一苦労です。
そこで、主文に書くと紛れてしまいそうな項目は、まとめて「別記(記書きともいう)」に書くと、見栄えが良くなり、また内容を把握しやすくもなります。ビジネス文書で「別記」を書くときの位置や、書き方について詳しく解説していきます。
目次
1.別記を書く位置
別記を書く位置は、以下の図の「(8)別記」の場所です。
文書で伝えたい主の内容は、上図の「(6)主文」に記載します。主文を補足する内容を書きたい場合、別記を立てます。
2.別記の書き方
先方との打ち合わせの約束をするときなど、主文に書くと紛れてしまいそうな項目は、「別記」に記載します。
上記の図に記載してある通り、まずは左右中央に「記」と入れ、本文との区別がつくようにします。別記は基本的に箇条書きです。必要な項目を書き終えたら、改行して「以上」と書いて締めくくります。
3.別記の書き方の例
具体的に、別記の使い方の例をご紹介していきます。
3-1.添付書類を明記するとき
文書に同封する補足資料や添付書類がある場合は、別記にその旨を記しておきます。
記 添付書類:会社案内 1通 以上 |
通常、別記で書く項目は、書面の左側に箇条書きをすることが一般的ですが、上記のように内容が簡素なときは、中央に揃えて明記します。見栄えが良くなるので、別記に書く内容に合わせましょう。
3-2.社屋移転を通知するとき
社屋を移転するときは、移転日と新住所は必ず明記します。
記 移転日 平成28年12月15日(木) 以上 |
現住所と移動先の新住所にほとんど変わりがなく、丁目や地番、入居ビルの階層くらいしか変更がないときは、読み手が住所の違いを明確に理解できるよう、新住所だけではなく、現住所も記載しておくと親切です。また、新住所や電話番号の書き間違いをしていないか、送付する前には必ずチェックしてくださいね。
3-3.休業日のお知らせを書くとき
休業日を知らせるときは、休業期間と緊急連絡先を記入します。
記 1.夏季休業日 以上 |
休業日は、その期間だけを書くのではなく、曜日と休業日数も明記しておきましょう。緊急時は相手から連絡があることを想定して、連絡先はもちろん、部署名から担当者名まで書いておきます。
3-4.催しごとや集まりを告知するとき
株主総会や展示会などの催しごとを開催する案内を別記に書くときは、日時や場所など、必要な情報はもれなく記載します。
記 1.日時 平成29年4月30日(日) 午後1時から午後4時まで 以上 |
日時、開催場所の書き間違いがあると、当日は大混乱となってしまいます。誤字脱字がないか、しっかりチェックしましょう。
3-5.取引条件を明記するとき
新規顧客に取引条件を伝えるときは、以下の項目を参考に記載しましょう。
記 1.価格 同封の価格表をご参照ください。 以上 |
取引条件は、先方の問い合わせに即して具体的に書きましょう。個人的な印象、主観、憶測などは盛り込まないようにします。教えられない情報を求められ、回答を拒否する場合は、できるだけ婉曲な表現を用いましょう。
3-6.注文内容を明記するとき
文書に注文内容を記載するときは、品名や金額など以下の項目は押さえておきましょう。
記 1.品 名 ファーマフラー(赤) 10点 30,000円 以上 |
入手したいものを確実に先方へ伝え、間違いなく取り寄せるために必要な項目は全て書きましょう。
3-7.見積もり内容を明記するとき
商品の代金や作業費用などがいくらになるかをあらかじめ計算して提示するときは、以下を参考にしてください。
記 1.御見積合計金額 432,000円(消費税込) 以上 |
見積もり内容は、今後の契約関係にあたっての記録となります。とくに商品の価格改定が定期的にあるような製品の場合は、有効期限をしっかり明記しておきます。
3-8.新店舗の開店情報を明記するとき
新店舗を開店するときの挨拶状では、以下の項目を記載します。
記 新店舗名 「焼き鳥山田」神田店 以上 |
住所だけの記載だと、土地勘のない人には不親切です。文書を受け取った人の立場になって、必要事項を書きましょう。