役員就任の挨拶状の書き方|文例つき

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役員就任の挨拶状の書き方|文例つき

役員就任の挨拶状では、新任務への支援、協力、今後の交誼を謙虚な姿勢でお願いすることが大切です。新しい仕事に対する抱負・決意を簡潔に述べ、関係者から協力を得られるような丁寧な文面にまとめましょう。

ここでは、役員就任の挨拶状の書き方や、心がけておきたいマナーについてお伝えします。文例もお伝えするので、文書を作成するときの参考にしてくださいね。

役員就任の挨拶状のマナー

まずは、役員就任の挨拶状を書くときに心がけておきたいマナーや、押さえておくべきポイント、注意事項について理解しておきましょう。

役員就任の挨拶状を送る時期

挨拶状は、就任後1週間以内には相手に届くように出すのがマナーです。株主総会後の取締役会で決議されたらすぐに挨拶状を送る準備をし、2~3日以内には発送できるよう計画的に進めましょう。役員会の日程が季節の変わり目の場合は、前文の「時候の挨拶」にも気をつけながら文面を考えましょう。

謙虚な姿勢で支援をお願いする

挨拶状は、本来ならば伺って挨拶すべきところを、手紙をもって省略させてもらう目的をもっています。謙虚な姿勢をもつことはとても大切で、それを「身に余る重責」「もてる能力を出し切り」などという言葉を使って誠意のある文面になるようにしましょう。

就任・異動後の仕事の内容と新しい仕事に対する抱負・決意、そして担当部門のことを簡潔に述べて今後の支援と協力をお願いすると、こちらの気持ちが相手により伝わります。また、手書きのひと言を添えると効果的です。それが難しいときには署名だけでも手書きにするとよいでしょう。

役員就任の挨拶状の書き方

つづいては、役員就任の挨拶状の基本構成についてご紹介します。挨拶状は、書式に則って明記するのがマナー。構成要素とポイントは図の下に記載しておきます。

役員就任の挨拶状の書き方

役員就任の挨拶状は、儀礼を重んじる文書のため「縦書き」が基本。横書きは柔らかい印象を与えるので好ましくありません。必ず縦書きとしましょう。

  • 前文:役員就任を知らせる挨拶状の前文は「頭語(拝啓や謹啓)」「時候の挨拶」「相手の安否を気遣う挨拶」の順に形式に従って丁寧に書き出します。儀礼的な文書では、頭語は「謹啓」を用いるのが相応しいです。
  • 主文:「役員就任・交代・改選の通知」「変わらぬ厚誼を願う言葉」「今後の抱負・決意」などを明記します。
  • 末文:末文は「結びの挨拶」で文章を締めくくり、改行して行末に「結語(謹白・敬白など)」を書きます。結語の書き忘れに注意しましょう。
  • 後付け:「日付」「差出人」を明記します。日付は漢数字とし、差出人は会社名の正式名称、役職(代表取締役)、代表者の氏名を明記します。
  • 別記:役員の役職、氏名を上位の順に箇条書きで明記します。

役員就任の挨拶状の文例

さいごに、役員就任の挨拶状の文例をご紹介します。文例のあとに記載しているポイントについても目を通しておきましょう。サイトの形式上、文例は横書きですが、正式には縦書きです。間違えないよう気をつけてくださいね。

役員改選の挨拶状

謹啓 麗春の候、貴社ますますご繁盛のこととお慶び申し上げます。
 平素は格別のご交誼にあずかり厚く御礼申し上げます。
 さて、私ども、先般の臨時株主総会並びに取締役会におきまして、左記のとおり役員改選を行い、それぞれ就任いたしました。
 つきましては今後ますます社業の充実をはかり皆様のご要望に沿うよう一層の努力をいたす所存でございますので、何卒倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 まずは略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます。
                                          謹白
  平成〇〇年〇月〇日

   株式会社〇〇〇〇
    代表取締役社長 〇〇 〇〇
            記
  取締役会長      〇〇 〇〇
  取締役副会長     〇〇 〇〇
  代表取締役社長    〇〇 〇〇
  専務取締役      〇〇 〇〇(昇任)
  常務取締役      〇〇 〇〇
  取締役        〇〇 〇〇
  監査役        〇〇 〇〇
                                          以上
 追而 退任いたしました専務取締役〇〇〇〇は相談役に就任いたしました。

上記の文例は、役員選任を通知する定型表現です。就任した役員の名前は役職が上位の順に別記します。新たに就任した役員が1名の場合は、上記の「先般の臨時株主総会~就任いたしました」の一文を「取締役〇〇〇〇が常務取締役に就任いたしましたのでご報告いたします」などと明記します。また、「相談役」が法律上の役員でない場合などには、他の役員とは別扱いとし、「追而(おって)」に書き記すのがマナー。追而は、手紙の「追伸」と同義です。

役員交代の挨拶状

謹啓 盛夏の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 平素はひとかたならぬご愛顧にあずかり心より御礼申し上げます。
 さて、このたび〇月〇日開催の弊社定時株主総会および取締役会におきまして、弊社の役員が変更になり、左記の通り、それぞれの役職に就任いたしましたのでご報告申し上げます。
 今後とも、役員、社員一同、より一層社業のために努力いたす所存でございますので、ご支援ご厚情を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 まずは略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます。
                                          敬白
  平成〇〇年〇月〇日

   株式会社〇〇〇〇
    代表取締役社長 〇〇 〇〇
            記
  代表取締役社長    〇〇 〇〇
  取締役副社長     〇〇 〇〇(昇任)
  専務取締役      〇〇 〇〇(新任)
  取締役総務部長    〇〇 〇〇
                                          以上

具体的な役職・氏名などは本文中で示してもかまいませんが、複数の役員交代がある場合は、別記にして、まとめたほうが見やすくて親切です。前任者や新役員の前役職などを書いておくと、役員編成の新旧がわかりやすくなります。

役員就任の挨拶状

拝啓 陽春の候、貴社ますますご多祥のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
                                      さて、私こと
このたびの取締役会にて〇月〇日付けにて常務取締役に就任いたしました。ここに謹んでご挨拶を申し上げます。微力非才の身ではございますが(1)、大任をお受けしたからには、誠心誠意、社業発展のため職務に尽力いたす覚悟でございます。
 弊社は皆様とともに発展してまいりました企業であり、今後も皆様のご指導なくしては明るい将来はありえません。何卒前任者同様、格別のご指導をよろしくお願い申し上げます。
 近く参上のうえご挨拶を申し上げる(2)所存でございますが、まずは略儀ながら書中にてご報告かたがたご挨拶申し上げます。
 皆様のご健康とますますのご活躍をお祈りいたします。
                                          敬具
  平成〇〇年〇月〇日
                                 株式会社〇〇〇〇
                                 常務取締役 〇〇 〇〇

文例中の下線部(1)は「何分にも身に余る重責ではございますが」、(2)は「いずれ拝眉のうえご助言などを賜る」などと書き換えて用いてもよいでしょう。前文のあとの「私」を示す言葉は、行頭を空けてその行末におくか、または文字を小さくすることでより謙虚さを表すことがマナーです。

役員就任の挨拶状

謹啓 初秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、去る〇月〇日開催の弊社定時株主総会および取締役会におきまして、左記のとおり役員が選任され、それぞれの役職に就任いたしました。
 つきましては各々一層社業の発展に努力いたす所存でございますのでなにとぞ倍旧のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 まずは略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます。
                                          謹白
  平成〇〇年〇月〇日
                               株式会社〇〇〇〇
                               代表取締役社長 〇〇 〇〇
            記
  取締役副社長     〇〇 〇〇
  専務取締役      〇〇 〇〇
                                          以上

署名は行末に合わせて明記してもかまいません。役員就任の挨拶状は、特に礼儀が重視される文書のため、頭語には「拝啓」よりも「謹啓」を用いるほうが適しています。その場合、結語は「謹白」「敬白」「謹言」などにします。役員になった場合は「就任」よりも「選出」や「選任」を用いる場合もあります。

役員就任の挨拶状

謹啓 錦秋の候、貴社ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。いつもながら格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、私儀、このたびの役員会で取締役に選出され、今後開発部門の統括をいたすことになりました。身に余る重責とは存じますが、もてる能力を出し切り、職務に精勤する覚悟でおります。どうか今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 本来なら参上してご挨拶申し上げるところでございますが、略儀ながら書中にて就任のご挨拶を申し上げます。
 皆様のご健康とますますのご活躍をお祈りいたします。
                                          敬白
  平成〇〇年〇月〇日
                                   株式会社〇〇〇〇
                                   取締役 〇〇 〇〇

新役員に就任した場合は、より丁寧な文面を心がけます。担当部署の仕事内容にもふれ、抱負や決意を前向きな姿勢で述べることを意識しましょう。

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