2月の時候の挨拶【上旬・中旬・下旬の例文つき】

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2月・如月の時候の挨拶【例文つき】

2月の上旬・中旬・下旬のそれぞれに適した時候の挨拶をお伝えしていきます。

時候の挨拶は日本の礼儀作法。間違ってつかうと、相手に非常識な印象を与えてしまうことも。

季語をつかった例文を参考にして、あなたの感性を言葉であらわした一文を考えてみてくださいね。

2月の時候の挨拶を書く前に理解しておきたい2つのこと

時候の挨拶を書く前に理解しておくべき2つのポイントからお伝えします。

手紙の送付日によって「書き出し」がかわる

夏の暑い時期に「酷寒の候」や「寒冷の候」などの冬の挨拶を用いると違和感を持つように、時候の挨拶は、手紙を出す時期の季節に合わせて書く必要があります。つまり、手紙を送付する日が、二十四節気(太陰太陽暦)や旧暦の時期のいつ頃かによって、時候の挨拶もかわるのです。まずは手紙を出す日がいつごろか確認し、その上で、以下に記載している2月の二十四節気のどの時期に該当するかを理解しましょう。

  • 大寒(だいかん):1月20日頃~2月3日頃
  • 立春(りっしゅん):2月4日頃~2月18日頃
  • 雨水(うすい):2月19日頃~3月6日頃

暖冬や冷夏があるように、季節もその年によって移り変わる時期はさまざまです。二十四節気の変わり目に「頃」としているのは、その年によって季節感は異なるからです。

2月の季語を入れる

時候の挨拶は、季節や天候に応じた心情や季節感を表す言葉。手紙にも2月の季語を使うのがマナーです。書くときの参考になる、2月の季語をご紹介します。

  • 動物:鶯(うぐいす)・雲雀(ひばり)・わかさぎ
  • 植物:梅(白梅、紅梅)・ラッパ仙水・猫柳・寒椿・雪割草・蕗の薹(ふきのとう)・ヒヤシンス・春菊・かぶ・せり・三ッ葉
  • 風物:豆まき・梅見・針供養・バレンタインデー・受験シーズン・野焼き・麦踏み

続いては2月に適した時候の挨拶と、文例を見ていきましょう。

改まった手紙に適した「漢語調」の時候の挨拶・書き出し

まずはビジネス文書を書くときや、かしこまった表現を用いるときにふさわしい、漢語調の時候の挨拶を解説していきます。

大寒:2月上旬(2月3日頃まで)の時候の挨拶

2月上旬は、二十四節気のうち、大寒(1月20日頃~2月3日頃)の時候の挨拶を用います。以下に読み方や意味について記載します。

時候の挨拶 読み方 意味・由来
晩冬の候 ばんとうのこう 冬の終わりが近づく頃
酷寒の候 こっかんのこう 厳しい寒さが続く今日この頃
大寒の候 げいしゅんのこう 一年で最も寒い時期を迎え

「〇〇の候」は「〇〇というふうに季節も移り変わってきましたが」という意味です。2月は立春に入る4日頃まで、大寒の時候の挨拶を用います。上記の意味からも分かるとおり、冬の寒さを表現する季語が多いです。

時候の挨拶の例文

2月上旬に適した時候の挨拶を例文で見ていきましょう。

文章の書き出しは、書式に則って記入します。順序は「頭語→時候の挨拶→相手の安否を気遣う挨拶→日頃の感謝→(主文・末文)→結語」です。ビジネス文書の構成が正しく書けているか自信のない方は「ビジネス文書の基本構成と書き方」を確認しておきましょう。

丁寧な表現の例文

謹啓 晩冬の候、貴社におかれましてはますますご隆盛の段、大慶に存じます。日頃はなにかとご愛顧を賜り誠にありがとうございます。

(主文・末文省略)

謹白

丁寧な文書に適した頭語は「謹啓・粛啓・恭啓・謹白」などがあります。そのときの結語は「敬白・謹言・再拝」にしましょう。目上の人にかしこまった文書を送るときや、敬う気持ちを表す際は、頭語と結語の選び方で相手への伝わり方も変わります。なお、頭語・結語の正しい組み合わせを理解し、相手によって上手く使い分けたいときは「頭語・結語の正しい使い方・組み合わせ」をご覧ください。

一般的な表現の例文

拝啓 大寒の候、貴殿にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。平素は過分のご配慮を賜り心より御礼申し上げます。

(主文・末文省略)

敬具

親しい間柄の人に送る場合や、一般的な表現を用いるときは、頭語は「拝啓」、結語は「敬具」にしましょう。

立春:2月中旬(2月4日頃~2月18日頃)の時候の挨拶

2月中旬は、二十四節気のうち、立春(2月4日頃~2月18日頃)の時候の挨拶を用います。読み方や意味を以下に記載します。

時候の挨拶 読み方 意味・由来
残寒の候 ざんかんのこう 寒さが残る今日この頃
立春の候 りっしゅんのこう 春のはじまりの節目を迎えました
余寒の候 よかんのこう まだ冬の寒さを感じます
春寒の候 しゅんかんのこう 春なのにまだ寒さを感じる今日この頃
残雪の候 ざんせつのこう まだ雪の残る時期ですが

2月は通常、冬の真只中ですが、旧暦ではすでに春を迎えています。2月中旬の時候の挨拶は、春の始まる様子や、冬の厳しい時期を乗り越えた表現が多いことから、季語だけを見ると違和感を持つ言葉もありますが、誤りではありません。

時候の挨拶の例文

2月中旬の時候の挨拶をご紹介します。

丁寧な表現の例文

謹呈 立春の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。日頃は格別のご高配にあずかり厚く御礼申し上げます。

(主文・末文省略)

謹白

頭語の「謹呈」は「つつしんで申し上げます」という意味です。「拝啓」より敬意が高く、目上の人に送るときに適しています。

一般的な表現の例文

拝啓 春寒の候、貴殿におかれましてはいよいよご健勝のこととお喜び申し上げます。毎度ひとかたならぬご厚情にあずかり誠にありがとうございます。

(主文・末文省略)

敬具

「健勝」とは、健康で元気な様子。「厚情」は心からの深い思いやりの気持ちです。ビジネス文書を相手に送る場合は、書式に則った簡単な挨拶で済ませ、本題に入ります。

雨水:2月下旬(2月19日頃以降)の時候の挨拶

2月下旬は、二十四節気のうち、雨水(2月19日頃~3月6日頃)の時候の挨拶を用います。以下に読み方や意味について記載します。

時候の挨拶 読み方 意味・由来
向春の候 こうしゅんのこう 春の足音が近づいてくる頃
三寒四温の候 さんかんしおんのこう 暖かく過ごせる日も増えてくる頃
解氷の候 かいひょうのこう 暖かさが増してくる今日この頃
梅花の候 ばいかのこう 梅の花のつぼみも膨らんできた時期を迎え
早春の候 そうしゅんのこう 春の訪れが感じられる

※「〇〇の候」以外にも、「〇〇のみぎり」「〇〇の折」もつかえます。

旧暦の2月は新暦の2月20日~3月20日頃からはじまります。そのため時候の挨拶も春の訪れを感じさせる言葉が多く見受けられます。

時候の挨拶の例文

丁寧な表現の例文

恭啓 向春の候、貴社いよいよご隆盛の趣、慶賀の至りに存じます。毎々身に余るお引き立てをいただき厚く御礼申し上げます。

(主文・末文省略)

頓首

恭啓とは「うやうやしく申し上げる」、隆盛は「勢いが盛んなこと」という意味です。慶賀は「よろこび祝うこと」を表しています。

一般的な表現の例文

拝呈 三寒四温の候、貴殿にはますますご清祥のことと、お喜び申し上げます。日頃は特段のご厚情をいただき誠にありがとうございます。

(主文・末文省略)

敬具

三寒四温とは、冬季に寒い日が三日ほど続くと、その後、四日間くらいは暖かくなるという、7日周期で寒暖が繰り返される現象です。気候がだんだん暖かくなる意にも用います。

ビジネス文書を書くときに確認しておきたい参考記事
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親しい人に送る「口語調」の時候の挨拶

気心の知れた友人や長年の付き合いのある相手に手紙を送るときは、堅苦しい挨拶を避けて、やわらかい表現の口語調を用います。親しい相手に送る時候の挨拶をご紹介していきます。

大寒:2月上旬(2月3日頃まで)の時候の挨拶・結びの言葉

季節感のある挨拶と、慣用句として使いやすい結びの言葉は以下のとおりです。

時候の挨拶

  • 節分も過ぎたとはいえ、いまだ底冷えの残る毎日、いかがお過ごしでしょうか。
  • 寒明けとは申しますが、まだまだ骨身にしみる寒さが続いております。
  • 早咲きの梅一輪にも心のはずむ今日この頃、つつがなくお過ごしでいらっしゃいますか。
  • 福はうちの声もにぎやかな時節、お元気でいらっしゃいますか。
  • 余寒なお厳しい今日この頃、体調などくずしてはおられませんか。
  • 根雪の残る庭に一輪、早咲きの紅梅を見つけました。
  • 暦の上で春立つとは申しましても、まだまだ寒い日が続いております。
  • 寒気厳しい中、庭のまんさくがかれんな花を咲かせております。

結びの言葉

  • 二月は日数が少なく、疲れもたまりやすいので、おからだにご留意ください。
  • 春寒の身にしみる折から、どうぞおからだをおいといください。
  • 春まだ遠く、寒さ厳しき折、お風邪など召されませんようご自愛専一に。

節分は立春の前日を指します。「福はうち、鬼はそと」といいながら、豆をまいて厄払いを行う風習です。

時候の挨拶の例文

丁寧な表現の例文

謹啓 寒明けとは申しますが、まだまだ骨身にしみる寒さが続いております。近頃諸事ご多忙と承り、ご健康をお案じ申し上げます。日頃は何かとご高庇にあずかり、厚く御礼申し上げます。

(主文省略)

二月は日数が少なく、疲れもたまりやすいので、おからだにご留意ください。

謹白

寒明けとは、冬の寒さが一番厳しいとされる寒の時期が過ぎて、立春になることです。

一般的な表現の例文

拝啓 寒気厳しい中、庭のまんさくがかれんな花を咲かせております。時下ますますご清栄のことと存じます。常々たくさんのお心尽くしをいただき、感謝の念にたえません。

(主文省略)

春寒の身にしみる折から、どうぞおからだをおいといください。

敬具

まんさくとは、マンサク科の落葉小高木のこと。早春に、葉に黄色い花を咲かせます。庭木のほか、生け花などにも使われる植物です。

立春:2月中旬(2月4日頃~2月18日頃)の時候の挨拶・結びの言葉

2月中旬に適した時候の挨拶・結びの言葉は以下のとおりです。

時候の挨拶

  • 暖冬と聞いておりましたが、今になって厳しい寒さに見舞われております。
  • 風花舞う向春のみぎり、春らしい春まではもうしばらくの辛抱です。
  • 春風待ち望む今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
  • 梅一輪一輪ずつの暖かさと古句に申しますが、春の待ち遠しい時節となりました。
  • 縁側の日だまりに、心なごませる今日この頃です。
  • 寒のもどりの激しいこの頃ですが、いかがお過ごしですか。
  • 春雪が思わぬ大雪になり、また冬が舞いもどってきたようです。
  • 二月もなかばとなり、日脚が徐々に伸びてまいりました。

結びの言葉

  • 明るい春を待ちながら、お健やかな日々をお過ごしください。
  • これから寒のもどりもございます。油断されませんようご自愛ください。
  • 本格的な春の近いことを励みに、もうしばらくの寒さを乗り切りましょう。
  • 風花とは、風に吹き送られて、ぱらぱらと降ってくる雪のことです。

上記の時候の挨拶では、暖かい2月の様子と寒々しい季節感のある挨拶を書いています。相手の居住地の状況や、その年の2月の気温から、適した言葉をつかいましょう。

時候の挨拶の例文

丁寧な表現の例文

粛啓 風花舞う向春のみぎり、春らしい春まではもうしばらくの辛抱です。あなた様にはその後もお変わりなく、ご精勤なさっていることと拝察いたします。私事ではございますが、当方一同無事消光いたしておりますのでご安心ください。

(主文省略)

明るい春を待ちながら、お健やかな日々をお過ごしください。

頓首

一般的な表現の例文

拝啓 縁側の日だまりに、心なごませる今日この頃です。日々お元気でお勤めのこととお喜び申し上げます。私どもも誰一人病気もせず、壮健にしておりますのでご安心ください。

(主文省略)

これから寒のもどりもございます。油断されませんようご自愛ください。

敬具

消光は、こちらの無事を伝える挨拶です。意味は「月日を過ごすこと」です。

雨水:2月下旬(2月19日頃以降)の時候の挨拶・結びの言葉

2月下旬に適した時候の挨拶・結びの言葉は以下のとおりです。

時候の挨拶

  • 水ぬるむ季節を迎え、ようやく根雪も解け始めたようです。
  • 窓外より聞こえてくるうぐいすの初音に、春の到来を感じております。
  • 三寒四温と申しますが、ようやく春めいてきたように感じられる今日この頃、お健やかにお過ごしのことと存じます。
  • 気温はまだ低いとはいえ、窓から入る春めいた日差しがうれしいこの頃です。
  • 銀色の産毛でおおわれた猫柳の枝が、川辺に春を招いています。
  • 東風が吹き、梅の香りが春を運んでくる季節となりました。
  • 空にとどろく春雷に、ときおり驚かされたりする時節です。

結びの言葉

  • 折しも向春の季節。ご壮健にてお過ごしください。
  • 春の訪れとともに、いっそうのお幸せが訪れますことをお祈りいたします。
  • 春の足音が高まってくる中、ますますのご活躍をお祈りいたします。

根雪とは、降り積もったまま解けないで、そのまま春まで残っている雪のことです。春雷は、春に鳴るかみなりのこと。寒冷前線が通過するときに発生することが多いといわれます。

時候の挨拶の例文

丁寧な表現の例文

謹呈 窓外より聞こえてくるうぐいすの初音に、春の到来を感じております。あなた様にはその後もお変わりなく、ご精勤なさっていることと拝察いたします。私どもは皆変わりなく壮健に暮らしておりますので、余事ながらご休心ください。

(主文省略)

折しも向春の季節。ご壮健にてお過ごしください。

謹白

一般的な表現の例文

拝啓 三寒四温と申しますが、ようやく春めいてきたように感じられる今日この頃、お健やかにお過ごしのことと存じます。私どもも誰一人病気もせず、壮健にておりますのでご安心ください。

(主文省略)

春の訪れとともに、いっそうのお幸せが訪れますことをお祈りいたします。

敬具

初音とは、鳥や虫などが、その年初めて鳴く声のことです。なかでも、うぐいすについて言われることが多いです。

さいごに

2月の日数は通常28日、閏年(うるうどし)でも29日しかなく、1年で最も短い月。

しかし行事は豊富で、節分(3日)、針供養(8日)などの古くから伝わる風習や、バレンタインデー(14日)といった国民的なイベントがあります。

日本では手紙や文書の礼儀作法として、時候の挨拶を入れるのが一般的ですが、ただ季語を含めた文章をつくるのではなく、手紙を読むことでその季節らしさが伝わるような工夫を常に心がけたいですね。

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