手紙や文書を差し出す相手の名前を記入する「宛名」。
間違って明記してしまうと、相手は失礼な印象を持ってしまいます。正しい位置に、正しい書き方で記入することが、何より相手への敬意の表れとなります。
宛名を正しく書けているのか、チェックしてみてくださいね。
目次
1.宛名を書く位置
まずは宛名を書く正しい位置を理解しましょう。以下の図の、左上部にある「(2)宛名」の場所です。
宛名は、差出人(手紙の発信者)よりも高い位置に明記します。宛名の位置を差出人より上部に書くことによって、読み手に対する敬意を表す意味合いがあります。そのため、社内文書などで、差出人が上司、宛名が部下という上下関係のある立場でも、宛名は差出人よりも上に書きます。同列で記入したり、差出人を上の箇所に記入するとマナー違反です。注意しましょう。
2.宛名の書き方
宛名の書き方は、差し出す相手によって変わります。それぞれのパターンを解説していきます。
2-1.個人に宛てるとき(社外の人宛て)
個人に宛てるときの順序は以下のとおりです。
- 会社名(組織名)
- 部署名
- 役職名(肩書)
- 氏名
- 敬称(様)
正しい記載例を見ていきましょう。
個人宛の正しい書き方 株式会社山田 |
2-2.役職名に宛てるとき(社外の人宛て)
相手の会社の役職に宛てるときの順序は以下のとおりです。
- 会社名(組織名)
- 部署名
- 役職名(肩書)
- 苗字
- 敬称(様)
上記の書式に則って書いた例を記載します。
役職宛ての正しい書き方(1) 株式会社山田 役職宛ての正しい書き方(2) 株式会社山田 |
(1)の書き方が一般的です。(2)は、役職名のあとに「様」をつけないよう、注意しましょう。役職(部長)は敬称のため、「様」と並べて書くと二重敬語になってしまいます。ですが受け取った人によっては呼び捨てで明記されていると感じてしまうかもしれません。(1)の「役職名+苗字+敬称」の順番で書いておけば無難です。
2-3.会社名・部署名に宛てるとき(社外の人宛て)
相手の会社宛てに送るときの、宛名の順番は以下のとおりです。
- 会社名(組織名)
- 敬称(御中)
正しい書き方は以下を記載します。
会社宛ての正しい書き方
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ちなみに、部署宛てに送るときも上記の書き方をします。
部署宛ての正しい書き方 株式会社山田 |
部署名のあとは「御中」です。間違えて「様」を使用しないよう、注意しましょう。
2-4.多数に宛てるとき(社外・社内の人宛て)
相手の会社や団体に所属する不特定多数の人に宛てて文書を送るときは、各位を使用します。
多数に宛てる正しい書き方
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「各位」という言葉自体が敬称のため、「各位様」とするのは二重敬語となり、誤りです。もちろん「各位様」「各位殿」なども誤り。また、「お客様各位」も、厳密にいうと二重敬語として間違えた表現です。正しくは「お客各位」ですが、この表現は不自然な印象があります。そのため、社会的に許容された表現として、お客様各位は使用しても差し支えありません。もし二重敬語が気になるときは「各位」とだけ書きましょう。
2-5.社内担当者に宛てるとき
社内文書の場合は、会社名は必要ありません。他部署の担当者とやりとりするときは「部署名+苗字+役職」で書きます。
社内担当者への正しい書き方
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「部長 田中 太郎 様」のように、社外の人に宛てたような堅苦しい書き方は不自然です。上記を参考にしてください。
2-6.士業などの特定の職業の人に宛てるとき
税理士や会計士などの士業の人や、教師、医師、議員、作家の職業の人に手紙を送るときは、「先生」という敬称を使用します。
特定の職業の人への正しい書き方
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送付する相手によって、しっかり使い分けをしましょう。
3.宛名を書くときに間違えやすい3つのポイント
宛名を間違えて明記したり、受取人に失礼な書き方をしてしまっている人も少なくありません。よくある間違い例もチェックしておいてくださいね。
3-1.正式名称で書く
相手の名前は、簡略化して書いてはいけません。正式名称で書くのがマナーです。特に、会社名は「㈱」などで省略せず、「株式会社」と正式名称で書きましょう。名前についても注意が必要です。苗字を明記しておけば相手に届くだろうと勝手に推測して文書を送り、同じ苗字の別の担当者の手元に間違って届いてしまうことがあります。苗字だけでなく、名前もしっかり記入しましょう。
3-2.会社宛て・部署宛ては「御中」、個人宛ては「様」
敬称の書き間違いには注意しましょう。会社や部署宛てに送るときは「御中」、担当者に送るときは「様」をつけることを忘れてはいけません。宛名のよくある間違いは以下の通りです。
宛名の間違い例 株式会社〇〇〇〇 ↓ 正しい書き方 株式会社〇〇〇〇 |
組織宛ての敬称は「御中」です。
3-3.基本的に「殿」は使わない
「殿」は、「様」「御中」と同様に敬称ですが、一般的には、優先して使用しなければならない場面はありません。そもそも「殿」は、目下の人に対して用いる言葉のため、社外などの目上の人に使用するのは不適切です。現在使われているのは公用文書が大半であり、目上の人に対する私信にはほとんど用いません。民間企業の文書のやりとりにおいては「様」「御中」を用いるのが一般的です。