お礼状を書くときは、卒業祝い・就職祝いをいただいたことに対するお礼の言葉だけでなく、自分なりの深い思いや、社会人になるに当たっての決意・抱負の言葉を率直に記すことが大切です。
ここでは、卒業や就職のお祝いをいただいたときのお礼状の書き方やマナーについてお伝えします。叔父や叔母、祖父母といった親戚へのお礼状の文例もご紹介しているので、手紙を書くときの参考にしてくださいね。
目次
卒業祝い・就職祝いのお礼状のマナー
お礼状を書くときは、形式を踏まえつつ、よそよそしくなりすぎないよう、自分の素直な気持ちでお礼を伝えることが大切です。日頃の感謝の気持ちや前向きなこれからの抱負、新生活に向けての新たな決意も盛り込みましょう。
お礼状は本人が書くのが基本
卒業・就職のお祝いをいただいたら、本人がお礼の手紙を書くのが基本。親御さんが本人の代わりにお礼状を出すのは、お祝いをいただいた方々に失礼です。
本人との面識がほとんどなく、親宛てにお祝いが届いた場合でも、基本は本人が書きます。もし親からお礼状を出す場合は、それとは別に本人からもお礼状を送りましょう。ひとりの社会人としての自覚を持ち、マナーをわきまえた対応を心がけましょう。
就職先の自慢はNG
世間によく知られた企業への就職がかなった場合は、「有名企業」「大企業」などと自分の就職先を自慢するような言葉は使用しないように気をつけましょう。
また、就職先が志望どおりでなかった場合、残念な気持ちを表現すること自体はかまいませんが、祝ってくれた相手の気持ちを踏まえ、「それでも前向きに考えている」旨の姿勢を示すことが大切です。
卒業祝い・就職祝いのお礼状を出す時期
お礼状は、お祝いや贈り物を受け取ったという報告も兼ねています。そのため、お祝いをいただいたその日のうちに書いて発送するのがベストです。遅くとも3日以内には出すようにしましょう。すぐに手紙を出すことができないときは、お祝いが届いた日に、電話で到着の報告と、感謝の気持ちを伝えておくのが礼儀です。
就職祝いのお礼をすぐに出せないとき
卒業や就職に必要なものの準備に追われて、お礼状をすぐに出せないときには、初月給でお礼の品を贈るとよいでしょう。お礼状には「先日、初めてのお給料をいただきました。ささやかではございますが、お礼のしるしをお送りいたしますので、お納めください」などの言葉を添えましょう。
卒業祝い・就職祝いの基本構成と書き方
手紙は、形式に従って書くのが基本です。つづいては、お礼状を書くときの基本構成をお伝えします。以下の図に示したように、手紙は「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの要素で構成されています。
それぞれの項目の書き方やポイントは以下のとおりです。
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卒業祝い・就職祝いのお礼状の文例
本人から恩師へ
拝啓 春光うららかな季節を迎え、〇〇先生にはお健やかにお過ごしのことと拝察いたします。 このたびはお心づくしのお祝いを頂戴いたしまして、誠にありがとうございました。先生のお心の込もったお手紙、ありがたく拝見いたしました。私の就職を祝ってくださる先生の温かいお気持ちが本当に嬉しく、感激しております。 就職活動中にはさまざまなご助言をくださり、社会で活躍するために必要なコミュニケーション能力を授けていただいた気がします。社会人になっても先生の教えを忘れることなく、成人として恥ずかしくない行動をとれるようになりたいと思っております。 これからも変わらぬご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。 まずは略儀ながら、お礼かたがたご挨拶申し上げます。 敬具 |
文例の下線部を書き換えるときは「精一杯頑張っていきたい」「一人前の大人として責任をもって歩んでいきたい」などの表現もあります。大学でお世話になったゼミの先生や教授、高校の担任の先生に送る就職祝いのお礼状は、あなたが社会人になるにあたっての決意や抱負を述べることが大切です。
本人から祖父母へ
おじいちゃん、おばあちゃん、変わりなくお元気なようでとても嬉しいです。 本日は、私の卒業・就職のお祝いをいただき、どうもありがとうございました。新生活で大いに役立て、大切に使わせていただきます。 学生時代とは全く異なる世界に飛び込むということで、なんとなく不安でしたが、お祝いをいただきまして、大いなる激励となりました。 これからもぜひ、未熟な私に、いろいろなアドバイスをくださいますよう、お願いいたします。 次に会うときも、元気なお顔でいてください。 |
親戚などの比較的身近な人に改まった表現だけの手紙を送ると、感謝の心が伝わりにくくなってしまいます。親しい相手にお礼状を送るときは、頭語や前文を省略して、柔らかい印象を与える文面になるよう、自然な言葉を選びましょう。
本人から叔父・叔母へ
叔父様・叔母様 本日、お祝いの品とお手紙を、確かに受け取りました。感激しています。どうもありがとうございました。 お手紙にありましたアドバイスは、一人前の社会人になるためのご忠告だと感じました。正直なところ、ぜひ勤めたいと強く思っていた会社への就職ではありませんでしたが、お手紙を拝見して、「まずは全力で目の前の仕事に取り組まなければ」という気持ちになりました。 今後は、社会人としての自覚と責任を持ち、学生生活で学んだことを糧として、一意専心努力いたす覚悟でございます。これからもぜひ、未熟な私に、いろいろなアドバイスをくださいますよう、お願いいたします。 末筆ながら、皆様のますますのご健康とご多幸をお祈りいたします。 まずは書中をもちまして御礼申し上げます。 |
文例中の下線部を「これから先、若輩ながら精一杯の努力をしていく覚悟ですので、よろしくお見守りください」と丁寧に書き添えるのもよいでしょう。
親から知人へ
拝啓 春暖の候、〇〇様にはいつも大変お世話になっております。 このたびは、次男〇〇の高校卒業に際し、過分なるお祝いをいただきまして、誠にありがとうございました。おかげ様で大学にも無事合格でき、この春から一人暮らしを始めます。 これまで家事も炊事も一切したことがないため、きちんと生活できるか不安ですが、そんな親の心配をよそに、本人はいたって楽観的でございます。これからもどうぞよろしくご指導のほど、お願いいたします。本人からもお礼の手紙と心ばかりのお礼のしるしをお送りいたしましたので、どうぞお納めくださいませ。 季節の変わり目、どうかお体ご留意ください。 敬具 |
親からお礼状を送る場合は、本人からのお礼の手紙を別送するのが好ましいでしょう。文例中の下線部に明記しているように、お礼状にもその旨を書き添えます。