封書の手紙とはがきの使い分けには、ある程度の決まりごとやマナーがあります。
手紙の内容や、送る相手との関係性などを考慮して、形式の使い分けを適切にできるようにしておきましょう。形式やマナーを心得ることで、真意がより伝わります。
ここでは手紙(封書)、はがきの使い分けについてご紹介します。
手紙とはがきの違い
手紙とはがきのそれぞれを使うときに適した内容を確認しましょう。
手紙(封書)で出すとき
お祝い、お礼、お詫びやお願いのように、あらたまった内容の文面は、基本的に便箋に書き、封書で送るのが礼儀です。以下の要件にあてはまるときは封書で出しましょう。
- あらたまった手紙
- 目上の人に送る手紙
- 差出人と受取人の双方が第三者に内容を知られたくない手紙
つづいて、はがきで出すときの使い方をお伝えします。
はがきで出すとき
はがきは封書の略式です。そのため、気楽な文面のやりとりに使うものと認識しておくとよいでしょう。しかし、はがきは注意事項もたくさんあります。使うのが適切なときや失礼になってしまうときなど、それぞれの使い方を理解しておきましょう。
(1)はがきのほうが良い場合
手紙よりもはがきのほうが良いのは、以下の内容で送るときです。
- 年賀状
- 暑中見舞い
- 寒中見舞い
- 喪中欠礼
- 返信はがき(返信のための書簡)
- 往復はがき
年賀状ははがきで出すものです。同様に、暑中見舞いや寒中見舞いも、品物を伴わない単独の場合は、封書ではなくはがきを用います。そのほかに、正月のあいさつを遠慮します、と告げる「喪中欠礼」も、はがきで出すのが普通です。さらに、封書の中に入れる返信のための書簡もはがきです。いわゆる「返信はがき」で、相手が用意してくれたものを使わないと、かえって失礼にあたります。往復はがきには返信用はがきがついているので、復信にはこれを使います。
(2)はがきでも失礼にならない場合
礼儀正しい手紙というと、基本的には便箋に書いて封書で送るものですが、封書でなくても失礼にあたらない場合もあります。それは、すぐに出す必要があるお礼状です。以下をご覧ください。
- 誕生日・記念日のお祝いへのお礼状
- 子どもの成長に伴うお祝いへのお礼状
- 相手からの好意に対するお礼状
- 日常の贈答へのお礼状
略式を詫びるために「はがきにて失礼いたします」と書くとよいのですが、目上の人には手紙にしましょう。手紙が大変な場合は、カードを封筒に入れて送るとよいでしょう。
(3)はがきを使ってはいけない場合
はがきで済ませてはいけない場合もあります。
- 借金の依頼
- トラブルのお詫び・断り・抗議・督促
- 目上の人への書状
- 弔事に関する書状
- 第三者に知られたくない内容
不特定多数の目に触れやすいはがきは、人に知られたくないことを書くには不都合です。上記した内容は、プライバシーに関わるため、避けるべきでしょう。目上の人に送るときも、はがきでは相手を軽んじていると思われてしまいます。はがきは略式のため、こちらの敬意を示すには不十分な手段だと覚えておきましょう。
手紙・はがきの使い分け一覧表
手紙・はがきを使うときに役立つ一覧表をご覧ください。
項目 | 封書(手紙) | はがき | |
慶事 | 出産(妊娠) | 〇 | 〇 |
誕生日 | 〇 | 〇 | |
入学・進学 | 〇 | 〇 | |
就職・成人 | 〇 | 〇 | |
結婚 | 〇 | 〇 | |
新築・転居 | 〇 | 〇 | |
賀寿 | 〇 | 〇 | |
見舞い | 病気 | 〇 | ✕ |
災害 | 〇 | ✕ | |
礼状 | 見舞い | 〇 | 〇 |
贈答 | 〇 | 〇 | |
トラブル | 催促・依頼・抗議・断り・謝罪 | 〇 | ✕ |
弔事 | 葬儀 | 〇 | ✕ |
お悔やみ | 〇 | ✕ | |
会葬御礼・香典返し | 〇 | ✕ | |
法要 | 〇 | 〇 |
手紙もはがきも、内容や相手との関係を踏まえて、マナーを守って使用しましょう。