縁談やお見合いの依頼を断るときは、相手が頼りにして声をかけてくれたにも関わらず、断らなければならないため、心苦しく、気が重いものです。だからといって、返事を延ばしていては、相手に迷惑をかけてしまいます。
ここでは、縁談の依頼を断る手紙の書き方やマナーについてお伝えします。断り状の文例もご紹介するので、手紙を書くときの参考にしてくださいね。
縁談の依頼を断る手紙のマナー
まずは、縁談やお見合いの依頼を断る手紙を書くときのマナーや注意点についてお伝えします。
断るときは早めに伝える
縁談の依頼は断りにくいもの。だからといって返事が遅れてしまうと、相手に迷惑をかけてしまいます。いたずらに期待をさせないためにも、断りの手紙は、決断したら早めに出すのがマナーです。首を長くして返事を待っている相手の気持ちを考えて、できるだけ早く返信することを心がけましょう。
曖昧な態度で誤解をされないように注意しながら、こちらの事情を伝えて断ると、相手も納得しやすくなります。相手を傷つけないよう、やわらかい言葉で理由を添えるようにしましょう。
断る理由の書き方
紹介できない理由が依頼主側にある場合でも、それをストレートに伝えたり、強い口調で非難したりするのは相手に失礼です。依頼主の容姿や経歴、欠点を挙げて断るのではなく、謙虚な気持ちで自分の非力を詫びるのが礼儀。
「力になりたいのはやまやまだが」と前置きしたうえで、「ふさわしい女性がいない」「紹介できる男性が見つからない」などと誠実な姿勢を示す断り方をしましょう。
また、自分を頼ってくれた感謝の気持ちを書き添えることを忘れてはなりません。最後には、申し出を断ることで関係が気まずくなったり、疎遠になったりしないよう、これまでと変わらぬお付き合いを願う一文を添えて、しこりを残さないことも大切です。
縁談の依頼を断る手紙の書き方
つづいては、縁談の依頼を断る手紙の基本構成と書き方についてご紹介します。断り状は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。
断り状のような改まった手紙は「縦書き」が基本です。相手の大切な依頼事に対して、誠実な姿勢でこたえるためにも文章は縦書きにしましょう。
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縁談の依頼を断る手紙の文例
文例1
拝復 お手紙拝読いたしました。 さて、このたびは、ご子息様のご縁談のお相手を紹介してほしいとのご依頼の件、大役を仰せつかり誠に光栄に存じます。 ほかならぬ〇〇様のご依頼ですので、ご要望にお応えしたいとは存じますが、ご子息様にふさわしい女性が見つかりません。日頃よりご厚情を賜りながら、ご期待に添えず申し訳ございませんが、何卒ご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。 良き縁談に恵まれますことを、心よりお祈りいたします。 まずは書中にてお詫びかたがたご返事を申し上げます。 敬具 |
断るという行為には冷たさが伴いがちです。断り状を書くときは、明確な意思表示とともに、先方の状況になって、思いやる表現や断る理由の丁寧な説明、これからの交誼につながる言葉などを実情に応じて書き添えましょう。
文例2
拝復 ご書状拝見いたしました。 このたびは、ご令嬢様のご結婚相手の紹介のご依頼について、ご相談いただきありがとうございます。 ほかならぬ〇〇様のご依頼ですので、お役に立ちたい気持ちはやまやまですが、自信を持って紹介できる男性について心当たりがなく、残念ながらお断りしなければなりません。 私を指名してくださったお気持ちはとても嬉しいのですが、事情ご賢察のうえ、ご寛恕くださいますよう、伏してお願い申し上げます。 ただ、ほかの形でなら、何かご協力できることがあるかもしれません。その際はご遠慮なく、声をおかけください。ご令嬢様に良きご縁がありますことを心より祈念いたしております。 とり急ぎ右、お詫びかたがたご依頼へのお返事を申し上げます。 敬具 |
出だしの挨拶のあと、いきなり断りの言葉を記すと、あたかも「謝絶」したかのような強い印象になります。それを和らげるため、断りの言葉の前に、依頼を受けてのこちらの心情を、先方の思いに寄り添う形で書き添えましょう。