ビジネス文書の件名(タイトル)は、文書の顔のような役割を果たします。
件名を読めば、一目で主文におおよそどのような内容のことが書かれているのかが分かるように簡潔かつ具体的に明記する必要があります。ですが、慣れないうちは、意外に難しく感じるものです。
曖昧な表記にならないよう、件名の正しい書き方・コツについて解説します。
目次
1.件名(タイトル)を書く位置
ビジネス文書で件名を書く位置は、以下の図の「(4)件名」の箇所です。
件名は、差出人のあとに書きます。この文書を通して受取人に伝えたいことの表題を明記することから、前文の手前に書くということを覚えておきましょう。
2.件名(タイトル)の書き方
件名を書くときに押さえておくべき3つのポイントをお伝えします。
2-1.文書の種類からタイトルの型を決めよう
件名には、主文の内容を要約したタイトルをつけます。以下のタイトルをご覧ください。
- 商品発送のお知らせ
- 製品の注文について
- 社屋移転のご通知
- 請求内容ご照会の件
- 納期遅延のお詫び
- 商品取消のお願いとお詫び
上記のすべてのタイトルから分かるとおり、一般的なタイトルの型は「〇〇〇〇の△△△△」です。この「〇」と「△」の箇所に、それぞれ文書を通じて伝えたいことを挿入すれば、読み手に分かりやすい件名を明記することができます。
順序としては、件名の型の後半にあたる「△」の部分を先に理解し、そのあとで、「〇」に該当する項目を見つけると、分かりやすくなります。
「△」では、主文で伝えたいことが「通知」なのか、「回答」なのか、「依頼」なのか、文書を受け取る相手に対する目的を書きます。以下の表から、あなたが読み手に対して文書を通じて伝えたいことを把握しましょう。「△」にあたる目的の例もあわせて記入しておきます。
文書の種類 | 「△」の書き方の例 | 件名・タイトルの例 |
通知状 |
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案内状 |
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照会状 |
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回答状 |
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依頼状 |
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交渉状 |
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申込状 |
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注文状 |
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確認状 |
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承諾状 |
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断り状 |
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督促状 |
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お詫び状 |
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見積もり状 |
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請求状 |
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挨拶状 |
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件名を読むだけで、主文になにが書かれているか、相手に伝わるよう、具体的に書きましょう。
2-2.文字の大きさや字体を調節する
読み手が件名をすぐに見つけられるよう、フォントの大きさや字体を調整するのも大事です。Wordはデフォルトの状態だと、フォントの大きさは「10.5pt」、字体は「MS明朝」に設定されています。
文書に書く前文から末文(別記)までの文字の量にもよりますが、オススメの文字の大きさは「12~14pt」です。件名の大きさが文章と比較して大きすぎないよう、また件名と分からないくらいの目立たないサイズにならないよう、調整しましょう。
字体は「MS明朝」のままだと分かりにくいときがあります。その場合は、「MSゴシック」「MSPゴシック」にすれば、際立ちます。
また、件名のフォントだけ太字にすると、文書の構成にもメリハリがつくのでオススメです。
2-3.文字数は長くても20文字以内にする
件名を書くときのポイントは、簡潔かつ具体的に書くことです。
まとまりのない長いタイトルにすると、読み手にとって分かりにくくなってしまうことがあるため、注意しましょう。長い件名は必要のない言葉を削除して、簡略化します。
修正前の件名 | 修正後の件名 |
「美術造形一式の代金」お支払いのご通知 | 代金お支払いのご通知 |
12月8日分商品発送のお知らせ | 商品発送のお知らせ |
貴社春の新商品カタログのご送付のお願い | カタログご送付のお願い |
弊社商品の利用者アンケートご協力のお願い | アンケートご協力のお願い |
「ステンレス製管フランジFR-1」納期遅延の件 | 納期遅延の件 |
より具体的に件名を表示するため、商品名や日付などの詳細を書くことがあります。ですが、基本的に詳細は、主文や別記に記入したほうが見やすいでしょう。
2-4.2つ以上の用件は書かない
ビジネス文書は、1つの文書で1つの用件を伝えるのが基本です。
いくつかの用件を無理に詰め込もうとしても、そもそも文書の書式自体が1つの用件を書く仕様となっているため、読み手としても、差出人が文書を通して何を伝えたいのか、分かりにくくなってしまいます。
そのため、用件は1つに絞って主文を書くことはもちろん、件名も1つのタイトルだけを書きましょう。