病気をしている相手に何より伝えたいのは、心から回復を願う気持ちです。相手の心中を思い、不用意な言葉には注意しなくてはなりません。
ここでは、病気のお見舞いの手紙の書き方やマナーについてお伝えします。相手を励まし、勇気づけたいときに使える、お見舞いの手紙の文例もご紹介するので参考にしてくださいね。
目次
病気のお見舞いの手紙のマナー
病気のお見舞いでは、気をつけないといけないポイントがたくさんあります。まずは、病気のお見舞いの手紙を書くときのマナーや注意点について理解しておきましょう。
できる限り早めに封書を出す
入院の知らせを聞いたら、できるだけ早めにお見舞いの手紙を出すようにします。入院直後は相手も落ち着かず、かえって迷惑となってしまうことが多いため、身内やごく親しい人以外は、すぐにお見舞いに伺うことは控え、代わりに心を込めたお見舞いの手紙を出すのがマナーです。
また、病気のお見舞いでは封書で送るのが基本です。はがきは略式のため、好ましくありません。白い便箋と封筒に書きましょう。とくに親しい間柄であれば、相手の好きそうな柄や、明るい色を選ぶのもいいでしょう。
病状によっては家族宛てに出す
状態が思わしくないときは、本人ではなく家族に宛てて出すなどの心遣いも必要です。相手の安否を気遣うだけでなく、家族の看病に対するいたわりや労いの言葉を書き添えると、より好印象となります。
時候の挨拶は省略する
お見舞いの手紙では、「驚きや心配のために挨拶も忘れてしまった」ことを表すために、時候の挨拶などの前文を省略し、安否を気遣う挨拶から入るのが一般的です。
頭語も省略できますが、目上の相手に出す場合などは「急啓」「急呈」などを使い、結語は「草々」「不一」「不備」などで結ぶと丁寧です。「とり急ぎ申し上げます」といった書き出しも使われます。
相手を励ますことが目的のため、必要以上に心配したり、無理に元気づけようとしたりせず、相手の気持ちに寄り添って、明るく前向きな文面で病気の回復を祈りましょう。
忌み言葉に注意する
忌み言葉とは、死や苦しみ、病状が長引くことや繰り返すことなど、不吉なことを連想させる言葉のことです。病気のお見舞いの手紙を書くときは、以下の言葉を用いないようにしましょう。
- 病気見舞いの忌み言葉:再び、再度、重ね重ね、たびたび、たまたま、返す返す、繰り返す、死、逝く、四(死)、九(苦)、苦しい、寝つく、根づく、寝込む、衰える、枯れる、落ちる
その他の忌み言葉については、忌み言葉の一覧をご覧ください。
追伸を書かない
追伸は、忌み言葉同様、繰り返しを連想させるため、お見舞いの手紙には適していません。伝えたいことは末文までに収めるのがマナーです。追伸に余計なことは書かず、相手を気遣い、励ます文面にすることを心がけましょう。
また、相手のことが心配で、病名や症状などの詳しいことを知りたい気持ちはわかりますが、相手に不安感や不快感を与えることがあります。詳細には触れないようにして、相手の状況を気にかけ、心配していることを伝えましょう。必要以上の同情も控えます。
病気のお見舞いの手紙の書き方
つづいては、病気のお見舞いの基本構成と書き方についてご紹介します。お見舞いの手紙は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。
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病気のお見舞いの手紙の文例
親戚の病気のお見舞い
急啓 叔父様が入院し手術をされたと、今日母から聞いて、あわててペンをとりました。 知らなかったこととはいえ、お見舞いが遅れてしまい、本当に申し訳ありません。 幸い、術後の経過も良好とのことですが、叔母様をはじめ、ご家族の皆様には、さぞやご心配のことでしょう。看病のお疲れが出ませんように、どうぞご自愛ください。 一日も早く、叔父様が元気になられるよう心より祈っております。 近いうちに病院に伺いたいと存じますが、まずは取り急ぎ書中にてお見舞い申し上げます。 草々 |
お見舞いに行けない場合は、文例の下線部を「すぐにでもお見舞いに伺いたいのですが、遠方のため、ままなりません。心ばかりですが別便にてお見舞いの品をお送りしましたので、どうぞお納めください」と書き添えます。
上司の入院のお見舞い
急啓 入院・手術のことを伺い、心よりお見舞い申し上げます。 このところ、あまり体調がすぐれないご様子でしたが、剛健な部長のこと、まさかご病気とは思わず、残業続きでお疲れなのだろうと愚察しておりましただけに、大変驚いております。 しかし昨日、手術も無事終わり、経過も順調ということを伺い、安心いたしました。二週間程度で退院のご予定とのことですので、くれぐれも無理をせずに、ご療養に専念なさってください。 仕事のほうは、〇〇課長をはじめ課の全員が、部長にご心配、ご迷惑をおかけしないようにと頑張っております。 心身ともにリフレッシュされて戻って来られることを、首を長くしてお待ち申し上げております。 また、このたびのことでは、ご家族の皆様もさぞかしご心配されたことと存じます。お疲れが出ませんよう、くれぐれもお身体をおいといくださいませ。 後日、あらためてお見舞いに伺いますが、取り急ぎ書中にてお見舞い申し上げます。 敬具 |
ゆっくり休むことと早く全快復帰することは、矛盾する二つの要素ですが、上手に両方の気持ちを伝えることが大切です。上司のご家族へのメッセージを書き換える場合は、文例の下線部を「奥様も、慣れないご看病と病院通いの疲れで体調を崩されないよう」「奥様をはじめご家族の皆様も、ご看病でお疲れのことと存じます。あまりご無理をなさらないよう」などと労いの言葉を書き添えましょう。
改まった相手への入院のお見舞い
急呈 入院されたとの知らせにおどろきました。 すぐにでも参上したいと存じましたが、ご病状に差し障るといけませんので取り急ぎ書中にてお見舞い申し上げます。 ご家族からは、すでに快方に向かっていると伺っております。いつも剛健な〇〇様ですから、ご快癒も間もないことと思いますが、しばらくは治療に専念し、十分にご静養ください。 一日も早いご復帰をお祈りしております。 不一 |
心配のあまり、病状や治療法などについてあれこれ尋ねたくなりますが、相手は心身ともに不安定になっているもの。余計に気持ちを沈ませてしまうことにもなりかねません。治療法へのアドバイスなども避けましょう。
友人への入院のお見舞い
その後、体の具合はいかがですか。 先日おじゃましたときは、元気そうで安心しました。まもなく自宅療養になるという話でしたが、そろそろですね。ご家族の皆さんもひと安心されていると思います。 でも久しぶりの自宅で、あれもやろう、これもやろうと、張りきり過ぎないように気をつけてね。通院などで手伝いが必要だったら、気軽に声をかけてください。 また顔を見に伺います。ご家族にもどうぞよろしく。ではお大事に。 |
お見舞いの手紙では、相手の気持ちを考えて言葉を選びます。病気などでナーバスになっていると、ちょっとしたひと言にも傷つきます。親しい友人に対しても、言葉は慎重に選ぶことが必要です。
長期入院している同僚へのお見舞い
その後、いかがですか。 先日伺ったときは、顔色もよく安心していたのですが、まだしばらくは入院が必要とのこと。〇〇君のことだから、悔しがっていることでしょう。しかし、一家を支える大事な身体です。しばらくは静養に専念し、細部まで残さずメンテナンスしてもらってください。 入院生活もひと月を過ぎ、病院の生活にも飽きてきたと思いますが、ご家族も看病の疲れが出てくる頃です。あまりわがままを言わず、大人しく言うことを聞いて、ご家族をいたわってあげてください。 また近いうちにお見舞いに参上しますが、何か入り用の物がありましたら、何なりと申し付けてください。 |
長期入院へは、明るく見舞う気遣いが大切です。しかし、気楽な感じが強すぎると、相手を不快にするので注意しましょう。また、闘病が長引くほど、家族への気遣いも必要。ご家族を配慮するひと言を書き添えましょう。