年賀状は一年の始まりの挨拶状。普段より改まった表現を心がけ、礼儀正しく書き添えることが大切です。特に、目上の人に対しては、丁寧に書くことが不可欠です。
ここでは、年賀状を書くときに心がけておきたいマナーや、年賀状の基本構成について解説するので、参考にしてくださいね。
目次
年賀状を書くときの5つのマナー
まずは年賀状を書く前に理解しておきたい5つの基本的なマナーをご紹介します。
毛筆か万年筆で書こう
年賀状を手書きするときは、毛筆か万年筆を使用しましょう。新年のお祝い事の場合、ボールペンなどの細い字よりも、毛筆や万年筆のような太く力強い字のほうが良いとされています。また、黒色のインクで書きましょう。青色やグレーなどの色は年賀状に相応しくありません。
年賀状は1月7日までに届ける
年賀状は、松の内の期間(正月の門松のある期間、1月7日)までとされています。7日を過ぎると年賀状から寒中見舞いに変わるため、年賀状が相手に届く日を郵便局で調べた上で、できる限り早めに投函しましょう。すでに7日を過ぎているときは寒中見舞いの書き方とマナーをご覧ください。
また、年賀状にはその年(年号または西暦)に「元旦」という語を添えて記します。元旦とは「1月1日」という意味。年賀状が届く日と元旦の日数が開いてしまうと、相手に非常識な印象を与えてしまうので注意しましょう。
暗い話題・忌み言葉は避ける
年賀状は一年の始まりの挨拶状です。先方を暗い気持ちにさせるような話題は相応しくありません。また、不吉な意味を連想させる「忌み言葉」も避けましょう。
年賀状で間違って使用してしまいがちな忌み言葉は「去」です。離別や死別を連想させる「去」は「去年はお世話になりました」と、旧年のお礼の言葉で用いてしまいそうですが、「昨年、旧年中」などの言葉に言い換えるよう注意が必要です。年賀状を書くときに気をつけたいその他の忌み言葉は以下の言葉です。
死、無、梨、魔、摩、割、悪、敗、破、別、戻、離、帰、飽、血、去、消、疎、弱、負、折、衰、飽、苦、切、逝、往、倒、詰、閉、寂 |
自筆のメッセージを書き添えよう
文面を印刷してまとめて作成するときも、あらかじめ紙面に余白を残しておき、手書きの短いメッセージを添えるようにしましょう。お世話になったことへの感謝や、今後の交際についてのお願いを丁寧に書き添えることによって、やわらかい文面になります。また自分の名前も自筆にしておきましょう。
句読点はなるべく使用しない
年賀状の挨拶状では、句点(。)や読点(、)は書かないのが慣習となっています。句読点を入れないと読みづらい場合は、改行を上手く使いましょう。とはいっても、近年は句読点を入れる人もたくさんいます。あくまで昔の慣習の名残のため、無理に改行するよりも、読みやすさを重視することが大切です。
年賀状の基本構成と書き方【表書き】
それでは年賀状の表書きの基本構成と書き方について解説していきます。プライベートの友人や恩師に送る「個人・一般用」と、仕事の取引先関係者に送る「ビジネス・取引先」の2つのパターンをご紹介します。
年賀状の表書きの書き方(個人・一般用)
まずは個人・一般用の年賀状の表書きについて、書き方を解説します。以下の図に割り振った番号をご覧ください。
ポイントは5点です。それぞれの書き方を見ておきましょう。
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年賀状の表書きの書き方(ビジネス・取引先)
つづいては仕事の取引先に年賀状を送るときの書き方をご紹介します。
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年賀状の基本構成と書き方【裏書き】
年賀状の裏書きの基本構成を解説していきます。以下の図に記載している5つの要素を理解しましょう。
文章の基本構成に則って慣用句を用いるだけで、年賀状の裏書きは完成します。それぞれの要素は以下の通りです。
1.賀詞
賀詞(がし)とは、祝詞といわれるお祝いの言葉であり、年賀状の書き出しで用いられます。賀詞は目立つように大きく書きましょう。
また、賀詞は漢語調、口語調、英文の3種類に分かれます。以下のような慣用句から選びましょう。
漢語調の賀詞
- 謹賀新年
- 恭賀新年
- 賀正
- 賀春
- 迎春
- 頌春
口語調の賀詞
- 新年明けましておめでとうございます。
- 謹んで新春のお喜びを申し上げます。
- 謹んで年頭のご祝詞を申し上げます。
- 新春を寿ぎ謹んでご挨拶申し上げます。
- 新春のお喜びを謹んで申し上げます。
- 謹んで年賀のお祝いを申し述べます。
- 明けましておめでとう存じます。
- 謹んで新年のお慶びを申し上げ、あわせてご一同様のご健康をお祈りいたします。
英文の賀詞
- HAPPY NEW YEAR
- A Start of a New Year
- New Year’s Greetings
- Have a great New Year!
- Best wishes for the next year.
賀詞は、目上の人や取引先、恩師、同輩や知人かなど、年賀状を出す相手との関係性によって使い分けをしなければなりません。例えば、目上の人に「迎春」「賀正」といった2文字の賀詞を用いると失礼な印象を与えかねません。相手によって正しい使い分けや賀詞の意味は賀詞の一覧と意味をご覧ください。
2.旧年中の交誼へのお礼の言葉(謝辞)
賀詞のつぎは、お世話になった感謝の気持ちを述べます。使いやすい慣用句の例は以下の通りです。
- 旧年中はたいへんお世話になりました。
- 旧年中はひとかたならぬご厚情を賜り、ありがとうございました。
- 旧年中は格別のご愛顧を賜り、まことにありがとうございました。
- 昨年は公私にわたりご懇情を賜り、まことにありがとうございました。
- 昨年は至らぬ私を親身にご指導いただき、心から感謝しております。
- 昨年は、私自身が試されるような年になりましたが、懇切なご指導ご鞭撻をいただき、無事に今日を迎えることができました。誠にありがとうございました。
年賀状を出す相手との出来事を思い出して、エピソードを踏まえて表現すると、より趣のある文章になります。
3.新年の決意・抱負/指導・交誼のお願い
謝辞を述べた後は「新年の決意・抱負」か、「指導・交誼のお願い」を書き添えます。相手に合った言葉を選びましょう。
新年の決意・抱負
- これまでに賜ったご教訓を忘れず、努力を続けて参る所存です。
- 一年の抱負としては代わり映えもしませんが、今年も一歩一歩、着実に歩みを進めていきます。
- 新たな一年、◯◯様を見習って、若々しい気持ちを保ち続けようと思っております。
指導・交誼のお願い
- 本年もなにとぞ倍旧のお引き立てひとえにお願い申し上げます。
- 今年も何かとお世話になるかと存じますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
- 今年こそご期待に沿えますよう、大いに努力する覚悟でございます。ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
親しい友人に送るときはあまり堅苦しい言葉を使用せず、自然な言葉を伝えましょう。
4.先方の幸せや健康を祈る言葉
年賀状では、先方の幸せや健康を祈る言葉を伝えて締めくくります。
- 本年がすばらしい年となりますようお祈り申し上げます。
- 皆様おそろいで幸多き初春をお迎えのことと存じます。
- あなた様にはご健勝にてご越年あそばされ、何より喜ばしくお祝い申し上げます。
- ご尊家のご繁栄を心よりお祈りいたしております。
- 皆様にとりまして本年が平安なお年でありますようお祈り申し上げます。
文章を読んだ相手の気持ちが温かくなるような言葉を心がけましょう。
5.日付
最後に日付を記入します。年賀状の日付は、慣用的な表現を用いることが一般的です。
- 平成◯年元旦
- 新春吉日
「元旦」は「1月1日」という意味です。間違えて「1月元旦」と表記してしまう人がいますが、これでは「1月1月1日」という意味になってしまいます。書くときは「元旦」のみにしましょう。