水害で被害に遭った相手へのお見舞いは、心からの慰めと励ましの気持ちを伝えるとともに、復興・復旧に向けてのエールを送るのが目的です。予期せぬ事態で被害を被った相手には、前向きな文面を心がけましょう。
ここでは、水害のお見舞いの手紙の書き方や、マナーについてお伝えします。お見舞い状の文例もご紹介するので、手紙を書くときの参考にしてくださいね。
水害のお見舞いの手紙のマナー
まずは、水害のお見舞いの手紙を書くときに、気をつけないといけないポイントをお伝えします。相手に失礼のないよう、お見舞い状のマナーや注意点について理解しておきましょう。
罹災直後ならハガキでもOK
風水害による被害状況をニュースなどで確認したら、すぐにお見舞い状を送るのがマナーです。知らせを聞いたら、早めに出しましょう。
一般的に、お見舞いの手紙は封書を送るのが基本ですが、罹災後一週間くらいまでなら、ハガキで送っても構いません。無事を知って安心したことを伝えたうえで、正式に封書を送ります。あくまでもハガキは略式のため、水災の緊急時のみ使用すると理解しておきましょう。
水害によって住宅が全壊・半壊・浸水した場合、避難所での生活を余儀なくされている可能性もあります。ライフラインが寸断されている場合もあることから、災害見舞いには、協力や援助を申し出る一文を添えて、相手を気遣い、配慮することが大切です。
忌み言葉の使用は避けよう
忌み言葉とは、病状が長引くことや繰り返すことなど、不吉なことを連想させる言葉です。水害などの災害見舞いの手紙を書くときは、以下の言葉を用いないように注意しましょう。
- 災害見舞いの忌み言葉:再び、再度、重ね重ね、たびたび、たまたま、返す返す、繰り返す、離ればなれ、ばらばらになる、苦しい、失う、見失う、さらに
また、「不幸中の幸い」という言葉も用いてはいけません。この言葉は、見舞われる側が、自身の状況について述べるときに使用する言葉のため、見舞う側が用いるのは不適切です。その他の気をつけたい忌み言葉については、忌み言葉の一覧をご覧ください。
追伸(二伸)の使用もNG
追伸や二伸は、主文で書き漏らしたことや念押ししたいことなどを、手紙の後付けのうしろに追記したいときに用いる文章の構成要素のひとつです。詳細は追伸とはをご確認ください。
追伸は、忌み言葉同様、繰り返しを連想させてしまうため、災害見舞いの手紙では使用を控えなければなりません。洪水や浸水などの被害に遭った相手を気遣い、励ます文面にすることを心がけましょう。
水害のお見舞いの手紙の書き方
つづいては、水害のお見舞いの基本構成と書き方についてご紹介します。お見舞いの手紙は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。
災害見舞いは縦書きが基本です。親しい間柄の人に宛てる場合でも、カジュアルな印象を与える横書きは不適切です。間違えないよう注意しましょう。
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水害のお見舞いの手紙の文例
文例(1)
このたび御地を襲った台風により、貴宅にも被害が及ばれたとのこと、謹んでお見舞い申し上げます。 まずは、ご家族の皆様におけがもなく、全員がご無事で避難なされたとお聞きして安堵いたしております。 ご落胆とご心痛は察するに余りありますが、いまは元通りの生活を取り戻すことが大事かと存じます。遠方ゆえ、駆けつけることがかないませんが、一日も早い復興をお祈りいたしております。 お見舞いのしるしに、些少のものを同封いたしましたので、当座のご用にお使いいただければ幸いです。 平穏な暮らしに戻れますよう心よりお祈り申し上げます。 とり急ぎ書中にてお見舞い申し上げます。 |
親しい間柄なら「歯がゆい」「くやしい」など、役に立てない自分の心情を率直に述べるのもいいでしょう。なお、現金でのお見舞いは、災害の場合は目上の人であっても失礼にはあたりません。現金の場合、文例中の下線部を「ご必要な品がわかりかねまして、失礼ながら気持ちばかりのお見舞いを包ませていただきます」と書き添えます。
文例(2)
急啓 このたびの台風では、お住まいの地域周辺でも床上浸水などの被害がでているようで、お電話をしようとも思いましたが、お取り込み中かえってご迷惑と存じ、お手紙差し上げます。 さぞご心労の大きなことでしょう。ご入り用のものがありましたら、どうぞご遠慮なくおっしゃってください。 ご自宅に大きな被害のないことをお祈りしつつ、取り急ぎお見舞い申し上げます。 草々 |
水害は、豪雨や河川の氾濫、暴風雨、異常気象といったさまざまな原因で起こります。自宅が浸水した場合、資財を整理するのも大変です。手伝いを申し出る場合は、文例中の下線部を「人手が必要であれば、週末主人と一緒にお手伝いにお伺いいたします」「片づけだけでも大変でございましょう。私でよければできる限りのお手伝いをしたいと思っております」などと書き添えると、相手もお願いしやすくなります。