保証人の依頼を断る手紙の書き方|文例つき

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保証人の依頼を断る手紙の書き方|文例つき

断り状に最低限必要なのは、依頼を承諾するか、断るかという明確な意思表示です。しかし、断るという行為には冷たさが伴いがちであり、文面が寒々しくなります。

先方の立場に立って、思いやる表現や、断る理由の丁寧な説明、これからの交誼につながる言葉などを実情に応じて書き添え、その印象をやわらげることが大切です。

ここでは、連帯保証人や身元保証人の依頼を断る手紙の書き方やマナーについてお伝えします。文例もご紹介するので、書くときの参考にしてくださいね。

保証人の依頼を断る手紙のマナー

まずは、保証人の依頼を断る手紙を書くときに、押さえておきたいマナーや注意事項をお伝えします。どの項目も大事なので、目を通しておいてくださいね。

上から目線の表現はNG

人に何かを依頼する場合、依頼者はマナーとして謙虚な姿勢を示すものです。とくに、保証人の依頼は、相手に賠償責任などの負担を負わせることになるため、誠意を込めて丁寧にお願いされることでしょう。

それに対して依頼された側が偉そうな言葉遣いや尊大な態度で返信するのは、諾否にかかわらず、相手にとって快いものではありませんし、マナー違反でもあります。

また、相手に対する返信に説教じみたことを書き連ねるのも、相手に不快感を与えかねません。断り状でそのような表現をされれば、相手は間違いなく気分を損ねてしまいます。相手からの依頼への返信では、上から目線な表現は絶対にやめましょう。

明確に理由を書き添える

断り状では、断る理由を明確に示すことが大切です。先方は、多くの場合、「きっと聞き届けてくれるだろう」という切実な気持ちで、依頼状を出したはずです。

それに対して、ただ単に「お断りいたします」と告げられるだけでは、自分の気持ちを納めることができません。それどころか、自分は大切に思われていない、もう今後の付き合いをしてくれないかもしれないといった、悲しい思いをさせてしまうかもしれません。断るときは、曖昧な表現は避け、相手が「そのような理由・事情なら仕方がない」と思ってくれるような、はっきりとした理由を書き添えることが大切です。

困ったときの拒絶理由の書き方

保証人にはなれないけど、相手を説得するための理由をうまく説明できないときは「信条」「家訓」「親の遺言」「失敗体験」などとするのが無難で、角が立ちません。理由は相手に問題があるのではなく、「引き受けない主義」など他意がないことを強調します。

就職や賃貸借契約の際の身元保証人の断りの場合は、「主義」「信条」のほか、「分不相応」「転勤の予定あり」「(退職後など)不安定な身分」など、自分では保証人にふさわしくないとします。期待に応えられない非力を説明し、無念を伝え、お詫びの気持ちを示すのが、丁寧な断りです。誠実な対応を印象づけましょう。

今後につながるひと言が大切

断り状では、相手に無念な思いをさせないように、今後も変わらぬ交際を続けていきたい、という姿勢を示しましょう。

相手との関係にもよりますが、激励する、再会を呼びかけるなど、状況にふさわしいひと言をよく考えて、書き添えるとよいでしょう。書状では、相手に配慮をすることが大切です。

保証人の依頼を断る手紙の書き方

つづいては、連帯保証人や身元保証人の依頼を断る手紙の基本構成と書き方についてご紹介します。断り状は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。

保証人の依頼を断る手紙の書き方

  • 前文:前文は「頭語」「時候の挨拶」「相手の事情を慮る言葉」の順に書きます。※頭語・時候の挨拶は省略しても構いません。頭語は、相手の依頼状の返答をする場合、「拝復」や「急啓」を用いるのが一般的です。
  • 主文:「依頼を受けての心情」「断りの通知」「断る理由」「先方に対する応援の言葉」などを書き添えます。
  • 末文:末文は「結びの挨拶」で文章を締めくくり、改行して行末に「結語(敬具など)」を書きます。結語の書き忘れに注意しましょう。
  • 後付け:「日付」「差出人」「宛名」の順に書きます。日付は、文頭から2字下げて、和暦で発送年月日を明記しましょう。宛名のうしろには敬称(様)も忘れず書きます。

保証人の依頼を断る手紙の文例

連帯保証人の依頼を断る手紙(1)

拝復 お手紙拝読いたしました。
 念願のマイホームをご購入とのこと、誠におめでとうございます。一国一城の主となり、ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
 さて、先日お申し越しいただいた件、ほかならぬ〇〇様のご依頼ですので、お役に立ちたい気持ちはやまやまですが、残念ながらお引き受けできかねます(1)。
 〇〇様の信用をいささかも疑うものではありませんが、当方、かねてより、どなたの連帯保証人のご依頼もお引き受けしないことを信条としておりますので、何卒ご了承ください。日頃よりご厚情を賜りながら、ご期待に添えず申し訳ございませんが、何卒ご容赦ください(2)。
 今後も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
                                          敬具

文例中の下線部(1)・(2)の書き換え例をご紹介します。(1)は「お役に立てそうもございません」「ご要望に添うことができません」「ご辞退させていただきたく存じます」などがあります。(2)は「お役に立てないことを心よりお詫び申し上げます」「大事なときにお役に立てないことをお許しください」などと書き添えることができます。相手の状況に合わせて使い分けましょう。

連帯保証人の依頼を断る手紙(2)

拝復 連帯保証人の件ですが、大変申し訳ないのですが、お引き受けすることができません。
 いつもお世話になっている〇〇さんのお力になりたいとよく考えたのですが、家族とも相談し、私にはやはり荷が重すぎるように存じます。〇〇さんはもちろん信用しているのですが、どうぞ事情をお察しいただきますようお願いいたします。
 お役に立てず申し訳ございません。
 取り急ぎ、お返事まで。
                                          敬具

友人から連帯保証人の依頼をされたときは、断りにくいものです。「せっかくご相談いただいたのに、何の力にもなれずに申し訳ありません」「何のお役にも立つことができず、情けない限りです」など、自分の力が足りないことへのお詫びを伝え、相手への気遣いを示しましょう。

身元保証人の依頼を断る手紙(1)

拝復 このたびは、ご子息様がご就職内定とのこと、誠におめでとうございます。
 さて、さっそくですが、身元保証人の件、身に余る光栄なお申し入れとは存じますが、本日はお断りのご返事をしなくてはなりません。
 実は、私は、どなた様からのご依頼にかかわらず、また保証の種類を問わず、信条として、保証人はお引き受けしないことにしております。
 長年のご厚誼をいただいているにもかかわらず、大事なときにお力になれず心苦しく存じますが、何卒ご容赦いただきますようお願い申し上げます。
 ご子息様の勤務地に居住する者として、私にできることがあれば、お役に立ちたいとは存じます。なにかありましたらご遠慮なくお申しつけください。
 まずは取り急ぎ、ご返事かたがたお詫び申し上げます。
                                          敬具

就職先が決まるなど、相手の吉事に対してはお祝いの言葉を述べます。断るときは、曖昧な表現を避けないといけませんが、相手を傷つけないよう、やわらかい言葉で断るのが基本。「力になりたいのはやまやまだが」という気持ちが伝わるように断るのがマナーです。

身元保証人の依頼を断る手紙(2)

本日、お手紙を拝見いたしました。
 いよいよ大学生ですね。ご両親も、さぞお喜びのことでしょう。
 さて、賃貸マンションの身元保証人の件ですが、お引き受けしたい気持ちは強いのですが、冷静に我が身を振り返り、私には荷が重すぎると思い至りました。この件ばかりはお許しください。お役に立てなくて、本当にごめんなさい。
 私の父は以前、知り合いの方の保証人になり、債務を肩代わりしました。返済に大変苦労したことから、親の遺言で保証人は引き受けないこととなっています。私を指名してくださったお気持ちはとても嬉しいのですが、無責任に引き受けてはいけないという私の気持ちを、どうかご理解ください。
 でも、初めての一人暮らしと新生活の第一歩は、心から応援しています。頑張ってくださいね。
 とり急ぎ、お手紙のお返事まで。
                                        かしこ

賃貸マンションの契約に必要な資料は、期日が決まっているのが一般的です。依頼を断るときは、相手が次の策を考えられるように、思いやりをもって早めに返事を出しましょう。

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