破損や紛失の手紙では、お詫びの言葉だけでなく、償いの方法を相手に伺うことが大切。ですが、必ずしも弁償すればいいわけではないため、弁償の申し出は、お詫びの最後に書きます。
ここでは、借用物を破損してしまったときのお詫び状の書き方をお伝えします。破損や紛失がキッカケで、人間関係がこじれる場合もあるので、今後同じ失敗をして迷惑をかけないことを誓う気持ちを添えるなど、反省の気持ちがより伝わる文例もご紹介します。お詫び状を書くときの参考にしてくださいね。
借用物破損のお詫び状のマナー
まずは、借用物破損のお詫び状を書くうえで、押さえておくべきマナーや注意事項をお伝えします。最低限理解しておきたい3つのポイントをご紹介するので、確認しておきましょう。
間髪入れずに書いて出す
お詫びの手紙は、遅くなるほど書きにくくなってしまいます。遅くなってから謝った場合、誠意が伝わるどころか相手の怒りの炎に油を注ぎ、謝罪を受け入れてもらえないことさえあります。
誰かに迷惑をかけたときには、一刻も早くお詫びの手紙を出します。タイミングを逃さず「叱られる前に謝る」ことが、事態を早く収束させるポイントです。
誠意ある謝罪が大人の礼儀
トラブルは日常的に起こり得るものです。他人に怪我をさせたり、共有物を破損したり、失火や交通事故、約束の不履行、飲酒による失態、業務上の過失、思わぬ迷惑行為など、いつ自分がトラブルの元凶にならないとも限りません。そういう状況に陥ったとき、きちんとした謝罪をするのが礼儀です。
お詫びの言葉には「申し訳ございません」「すみません」「ごめんなさい」など、相手との関係で使い分けられるいくつかのフレーズがありますが、お詫び状で謝罪の意を述べる場合は、日頃の関係から考えればよいでしょう。
謝罪の気持ちを伝える一番のポイントは、そうした言葉ではなく、自分が起こした不始末を今後どう改めるかという点にこそあるのです。言い訳がましい言葉や弁明をすることよりも、まずは誠意をもって謝罪することを心がけましょう。
今後の対応を明記する
借用品を壊してしまったときは、お詫び状に謝罪の言葉を書き添えるとともに、破損理由や事情を説明します。また、修理は可能かどうか、修理にかかる日数についても明記し、補償についての先方の意向も確かめます。
修理ができない状態の場合は、新品を購入してお返ししたり、代替品の発送について伝える、購入価格と同じ金額を支払うことで許しを請うなど、具体策を述べて、相手が安心できる解決策を提示することが大切です。
借用物破損のお詫び状の書き方
つづいては、借用品破損のお詫び状を書くときの基本構成と書き方についてご紹介します。詫び状は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。
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借用物破損のお詫び状の文例
修理ができる場合
急啓 とり急ぎ一筆差し上げます。 じつは、〇〇様からお預かりしておりました〇〇を壊してしまいました。私の不注意でご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。 お借りした〇〇なので慎重に扱っていたつもりでしたが、誤って落としたことが原因で弁解の余地もなく、自分の責任感のなさを恥じるとともに、私がもっと注意していればと今更ながら後悔するばかりです。破損状況は、角の部分がやや凹んでおり、塗装も剥げています。 私の無責任さから大切な〇〇を傷つけてしまい、深く反省いたしております。早速修理工場へ問い合わせ、修理の手配をいたしました。修理すれば済むという問題ではないことは重々承知しておりますが、なにとぞご了解をいただきますようお願い申し上げます。 修理が済み次第、改めてご連絡のうえ、お詫びかたがたご返納に参上いたします。 右、ご報告とお詫びまで。 草々 |
反省の言葉と今後の対応を述べる箇所は、お詫びの手紙で一番大事な部分です。誠意のある対応を示すしか、相手の怒りを和らげる方法はありません。破損した借用品の修理ができる場合は、可能なかぎり修理方法や修理にかかる日数を書き添えるようにしましょう。
修理ができない場合
とり急ぎお詫びを申し上げます。 先日ご貸与くださいました〇〇を、私の過失により損傷してしまいました。しっかりと管理ができずに、大変申し訳ございません。 修理センターに問い合わせたところ、元の状態に戻すのは困難とのことでございました。 身勝手なお願いとは重々承知いたしておりますが、できれば同じものを弁償させていただくことでご容赦願えませんでしょうか。〇〇様のご意向をお聞かせください。あらためてお電話いたしますので、その際にご指示をくださいますようお願い申し上げます。 誠に勝手ながら、まずはお詫びとお願いを申し上げます。 |
弁償の申し出は、あくまで謝罪の方法のひとつ。「弁償するので許してください」といった書き方にならないよう、相手の意向を確かめる姿勢をもちましょう。壊した借用物が、持ち主が長年愛用している思い出の品であれば、弁償すれば済む問題ではありません。相手の気持ちを考えて、配慮ある言葉を伝えましょう。