手紙の書式は5つの要素で構成されています。
「前文」で挨拶を述べ、「主文」で用件を伝え、「末文」で締めくくります。そして差出人や宛名を書く「後付け」、必要に応じて「副文」を用います。
ここでは、文章を締めくくるときに欠かせない、末文の書き方をご紹介します。
末文とは
末文とは、文章を締めくくるときに書く言葉のことです。主文で用件をつたえてそれでおしまいというのでは、どことなく失礼な感じが残りますが、末文を丁寧に書くことによって、手紙全体の印象も良くなります。以下の図の赤線で囲った部分が末文にあたります。
線で囲った末文のなかのそれぞれの要素は、(1)結びの挨拶、(2)結語を示しています。それぞれの要素を解説していきます。
末文を構成する2つの要素
末文は、前文や主文と同様、手紙を書く上で非常に大事なパートです。読み手に失礼のない書き方をするためにも、2つの要素についてしっかり理解を深めておきましょう。
(1)結びの挨拶
結びの挨拶は、文章を締めくくるときに用います。結びの挨拶はさまざまな表現がありますが、慣用句としてよく使われるのは「取り急ぎお祝いまで」や「まずはお礼まで」といった用件を繰り返し確認するものです。そのほかにも、相手の健康や幸福を祈ったり、今後の指導などをお願いして手紙の結びとします。いくつか文例をご紹介します。
用件を繰り返し確認する「結びの挨拶」
- まずは略儀ながら、書面をもちましてお祝い申し上げます。
- 失礼とは存じますが、まずは書中をもってお願い申し上げます。
- まずは一筆お詫び申し上げます。
- まずは取り急ぎ用件のみ。
- 取り急ぎ、お見舞いまで。
- 取りあえずご様子おうかがいまで。
相手の健康や幸福を祈る「結びの挨拶」
- 皆々様のいっそうのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
- 時節柄、ご健康にはくれぐれもご留意くださいますようお願い申し上げます。
- お風邪など召されませんよう、どうかおからだを大切にお過ごしください。
- さらなるご飛躍をお祈りしております。
- 今後ともなおいっそうのご活躍を期待いたしております。
- ご自愛ご発展のほどお念じ申し上げます。
今後の指導などをお願いするときの「結びの挨拶」
- なお今後とも変わらぬご厚誼のほどよろしくお願い申し上げます。
- なにとぞ末永くお引きまわしのほどよろしくお願い申し上げます。
- 今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
- 末永くお導きくださいますようお願い申し上げます。
手紙の内容に合った結びを選びましょう。
(2)結語
結語は、頭語とセットで使用される挨拶言葉であり、手紙の本文の一番最後に書き記します。縦書きの手紙では一文字分、字上げして書くのがマナー。手紙の種類や相手との関係性によって、頭語と結語は使い分ける必要があります。また、文頭で用いた「拝啓」「謹啓」など頭語に対応する結語を使用しなくてはなりません。頭語と結語の使い分けを理解したい人は「頭語・結語の正しい組み合わせ」をご覧ください。
さいごに
末文は、本文を構成する最後のパートです。締めくくり方次第で、相手に伝わる印象も大きく変わるので、丁寧に書くことを心がけましょう。末文を書き終えたら、続いては「後付けの書き方」をご説明します。