昇進祝い・栄転祝いのお礼状の書き方|文例つき

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昇進祝い・栄転祝いのお礼状の書き方|文例つき

昇進祝いや栄転祝いをいただいたら、これまでお世話になった感謝の気持ちを第一に、心を込めてお礼状を書きましょう。

ここでは、お礼状の書き方やマナーについてお伝えします。元の職場の上司や同僚に、今後の抱負や、変わらぬ指導、お付き合いをお願いする言葉を書くときに、そのまま使える文例もご紹介します。

昇進祝い・栄転祝いのお礼状のマナー

お礼状は、正式なマナーに沿って書くことが大切です。まずは、昇進・栄転祝いのお礼状のマナーを理解しておきましょう。

自慢するような表現はNG

「栄転」「昇進」「就任」は自らを称える表現のため、使用してはいけません。「転任」「着任」と書くのがマナーです。また、「これからが不安です」「自分には大役です」「わたくしのようなものが」など、お礼状を読んだ相手が心配・不快になるような表現や、自分を卑下するような表現には注意しなくてはなりません。一語一句、配慮した表現を用いるよう心がけましょう。これまでお世話になった方々へのお礼と感謝の気持ちを、謙虚な姿勢で述べることが大切です。

お礼状の差出人名には新役職名を添える

昇進・栄転祝いへのお礼状では、差出人名に新しい役職名を添えるのが基本です。旧役職名を記すと、混乱のもとになります。実際に着任する前に出す場合は、新役職名のうしろに「(新任)」と書き添えておく配慮も大切です。お礼状ではなく、人事異動に伴うあいさつ状の場合は、新旧両方の役職名を記すので、その点に注意しましょう。

昇進祝い・栄転祝いのお礼状の書き方

昇進・栄転祝いのお礼状は、社交上の改まったやり取りのため、定型を踏まえた形でまとめることが必要です。以下の図に示したように、構成の柱は、「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの要素で構成されています。

昇進祝い・栄転祝いのお礼状の書き方

それぞれの項目の書き方やポイントは以下のとおりです。

  • 前文:お礼状の前文は「頭語(拝啓)」「時候の挨拶」「相手の安否を気遣う挨拶」の順番に形式に従って書き進めます。頭語のあとは一文字あけて時候の挨拶を書きましょう。時候の挨拶はお礼状を出す時期の季節感や気候に適した言葉を選びます。
  • 主文:主文では「昇進・栄転祝いへのお礼の言葉」「これまでに受けた交誼へのお礼」「今後へ向けての決意・抱負」「今後の指導・支援のお願いの言葉」の4点を明記します。
  • 末文:末文では、文章を締めくくる際に用いる「結びの挨拶」「結語(敬具など)」を書きましょう。結語は、結びの挨拶を書き記した後、改行して行末に明記します。書き忘れに注意します。
  • 後付け:「日付」「差出人」「宛名」の順に書きます。日付は、文頭から2字下げて、和暦で発送年月日を明記しましょう。宛名には、敬称(様)も忘れず書きます。他の会社に所属している担当者や代表にお礼状を書くときは、相手の会社名・役職名(肩書き)を正式名称で明記しましょう。詳細は宛名の使い分け方をご覧ください。

昇進祝い・栄転祝いのお礼状の文例

元上司へ(1)

謹啓 春光うららかな季節となりました。〇〇部長にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
 今回の私の着任にあたっては、心あたたまる激励のお言葉と過分なお祝いをいただきまして、誠にありがとうございました。
 今後も社業のさらなる発展を目指し邁進してまいる所存です。
 これまでのご指導に感謝いたしますと同時に今後も変わらぬご鞭撻のほどお願い申し上げます。
                                        謹白

文例中の下線部は「今後も未熟ながら精進してまいりたいと存じます」「微力ながら社業発展のためにいっそうの努力を重ねてまいります」「社業の隆盛に誠心誠意努めていく覚悟でございます」など、これからの抱負を述べ、前向きな姿勢を見せましょう。

元上司へ(2)

拝啓 孟春の折、ご清祥のこととお喜び申し上げます。
 このたびの私の転任に際しましては、お祝いの宴席を開いていただいたうえに、過分なご芳志を頂戴し、恐縮の極みでございます。
 〇〇様には在任中、格別のご高配を賜り、家族ぐるみで親しくさせていただいて、これまでの公私にわたる数々のご恩に対し、心より深く感謝申し上げます。
 転任先では(1)これまで以上に、皆様の期待に添えるよう誠心誠意努力していく所存(2)でございます。何卒倍旧のご高庇を賜りますよう、お願い申し上げます。
 まずは略儀ながら、御礼申し上げます。
                                        敬具

文例の下線部(1)は「新任地においては」「新しい勤務地では」などと書き換えてもよいでしょう。(2)は「社業の発展に向けて奮励努力する所存」と表現するなど、あなたが新任地でやり遂げたい目標や、今後の抱負・決意を述べましょう。

元職場の先輩・同僚へ

拝啓 春爛漫のみぎり、〇〇様におかれましてはますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。
 このたび、私の転任に際しまして、お心のこもったご祝詞とご厚志を賜り(1)、厚くお礼申し上げます。
 大阪支社在勤中は、公私にわたりまして並々ならぬご厚情をいただきまして(2)、感謝いたします。今後とも変わらぬご教導のほどお願い申し上げます。遠方ではございますが、こちらにいらっしゃる機会がありましたら、ぜひお立ち寄りください。
 まずは書中にて御礼申し上げます。
                                        敬具

文例中の下線部(1)は「ご丁重なご祝詞と過分なご芳志を頂戴し」、「あたたかい励ましのお言葉と記念品を頂戴し」に書き換えてもよいでしょう。(2)は「お世話になり」、「ご厚誼を頂戴し」などと書き添えてもよいです。

仕事の取引先関係者へ(1)

謹啓 陽春の候、皆様にはいよいよご清栄の段、お喜び申し上げます。平素は格別のご厚情を賜り、ありがたく厚くお礼申し上げます。
 このたびの転勤に際しましては、身に余るご祝詞ならびにお祝いをいただき、誠にありがとうございました。前職在職中に賜ったご厚情を含め、心よりお礼申し上げます。
 今後、一意専心の姿勢で精進して参りますので、倍旧のご支援ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 本来なら拝眉のうえ、ごあいさつ申し上げますところ、まずは右、略儀ながら書中をもちまして、お礼かたがたお願いを申し上げます。
                                        謹白

文例中の下線部を「今後は、浅学非才の身に鞭打って社業の一層の発展に尽くす覚悟でございますので、さらなるご懇情を賜りますようお願い申し上げます」、「お別れに際して賜った激励や教訓のお言葉をしっかりと胸に刻み、今後に生かして参りますので、これからもお見守りくださいますよう、よろしくお願い申し上げます」などと言い換えてもよいでしょう。

仕事の取引先関係者へ(2)

拝復 貴社におかれましては、時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
 このたびの私の横浜支店への転任に際しまして、はなむけの席を設けていただいたうえ、記念の品をお贈りくださいまして、感激いたしました。心からお礼申し上げます。おかげ様で、無事に着任いたしました。
 着任してまだわずかしか経過しておりませんが、〇〇社長、〇〇営業部長のほか、貴社の皆様のお顔が、懐かしく思い出されます。
 皆様には、筆舌に尽くしがたいほどお世話になりました。皆様に育てていただいたことを宝として、今後の職務に生かして参りたいと存じております。また、私の後任・〇〇に対しましても、変わらぬご厚誼を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 これまでのご厚情、ありがとうございました。
                                        敬具

取引先にお礼状を出すときは、これまで受けた先方からの支援や親切な心配りに感謝するとともに、これからお世話になる後任についてもふれておくとよいでしょう。

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