会葬礼状は、形式を重んじた文面のものを印刷し、葬儀場で返礼品とおもに渡すことが一般的ですが、とくにお世話になった相手には、自筆の手紙を出すと丁寧な印象を与えます。
ここでは、会葬礼状の書き方やマナーについてお伝えします。お礼状の文例もご紹介するので、手紙やはがきを書くときの参考にしてくださいね。
会葬礼状のマナー
まずは、会葬礼状を書くときのポイントをお伝えします。相手に失礼のないよう、マナーや注意点について理解しておきましょう。
句読点は用いない
礼儀を重んじる弔事の手紙では、句読点をつけないことで相手に敬意を示す習慣があります。そのため、会葬礼状では、句読点(「、」「。」)をつけず、1字空きにするのが一般的です。会葬礼状以外でも、死亡通知などの儀礼的な手紙では、句読点を用いません。使わないように注意しましょう。
表書き・文面とも薄墨で書く
弔事の手紙は「涙が硯に落ちて墨が薄くなってしまった」という意味から、薄墨を使うのが正式。筆書きに慣れておらずペンで書く場合は、インクは黒かブルーブラックを用いましょう。
また、手紙はかならず封書で出しましょう。便箋や封筒は、白色のものを使用するのがマナーです。二重の封筒は、不幸が重なることを連想させてしまうため、使用してはいけません。親しい間柄の人に送る場合でも形式に則ってまとめることが大切です。
会葬礼状の書き方
つづいては、会葬礼状の基本構成と書き方についてご紹介します。会葬の礼状は、以下の図に示した8つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。
弔事に関する手紙は縦書きが基本です。親しい間柄の人に宛てる場合でも、カジュアルな印象を与える横書きは不適切です。間違えないよう注意しましょう。
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会葬礼状の文例
一般的な会葬礼状(1)
故 〇〇〇〇 葬儀に際しましては ご多用中のところ 遠路わざわざご会葬いただき厚くお礼申し上げます またご鄭重なるご厚志を賜り ご芳情の程有難く厚くお礼申し上げます 故人生前中は一方ならぬご厚情を戴きましたことを ここに併せて深謝申し上げます 早速拝趨の上ご挨拶申し上げるべきところですが 略儀ながら書中をもって謹んで御礼申し上げます 平成〇〇年一月十二日 通夜 十三日 葬儀告別式 〒〇〇〇-〇〇〇〇 東京都中央区見本橋一丁目一番地 喪主 〇〇〇〇 外 親戚一同 なお 本日は何かと混雑に取り紛れ不行き届きの段 悪しからずご容赦くださいますようお願い申し上げます |
生前の交誼のお礼は会葬礼状の核となります。「遺族への交誼のお願い」は会葬礼状の定型にはない項目ですが、挨拶として加えても構いません。文章に加える場合は「これからも 故人同様のお付き合いをお願い申し上げますとともに 故人が皆様から生前賜りましたご懇情に対しまして 併せてお礼申し上げます」などと書き添えます。
一般的な会葬礼状(2)
故 〇〇〇〇の葬儀告別式に際しましては ご多用にもかかわらずご会葬くださいましたうえ ご丁重なご芳志を賜り 厚く御礼申し上げます 立て込んでいたため失礼申し上げた点も多々あることかと存じますが 何卒あしからずご海容くださるようお願い申し上げます 早速拝趨のうえ 御礼申し上げるべきところですが 略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます 平成〇〇年〇月〇日 〒〇〇〇-〇〇〇〇 東京都中央区見本橋一丁目一番地 喪主 〇〇〇〇 外 親戚一同 |
一般的な形式に則り、礼儀正しく書くとともに、定型文例の故人名を差し換えるだけでなく、できるだけ一語一語を含味して文章を整えましょう。また、会葬礼状は本来、葬儀後に郵送しますが、現在は通夜や告別式の会場で手渡しするのが一般的です。どちらにすべきかも考えておきましょう。
香典返しを兼ねた会葬礼状(1)
この度 葬儀に際しましては ご多忙中にもかかわらず ご来駕のうえ霊前にご丁重なるご芳志を賜り 誠に有難く 厚く御礼申し上げます つきましては 供養の印までに 御香典返しとして 心ばかりの品を用意いたしましたので 何卒ご受納くださいますようお願い申し上げます まずは略儀ながら書中をもって 謹んでご挨拶申し上げます 喪主 |
上記の文例は、葬儀が終わった後、会場出口で香典返しの返礼品を手渡すときに添える礼状です。香典返しは仏式では四十九日の忌明けの後に送るのが普通ですが、葬儀の日に渡すケースも増えています。これを即日返しといい、香典の金額に関わらず参列者には同じものを手渡します。
香典返しを兼ねた会葬礼状(2)
このたびはご多忙のところ わざわざ弔問賜り またご鄭重なるご芳志を頂戴し 誠にありがたく 衷心よりお礼申し上げます 本日 略儀ながら 心ばかりの品を用意いたしました ご香典返しとしてご受納くだされば幸甚に存じます 何かと不行き届きの点をお詫び申し上げ 書中を以って御礼のご挨拶といたします 喪主 |
香典返しを兼ねた会葬礼状では、個人名を入れずに「喪主」と記すだけでも失礼にはなりません。より丁寧に記述する場合は、喪主名や葬儀の日時などの特定の固有名詞も入れるようにしましょう。