貸したお金を返してくれない相手に、返済の催促をする手紙は、相手が誰であれ書きにくいもの。催促といっても、いきなり感情的に相手を責めるのではなく、相手の事情を配慮した丁寧なお願いの手紙にしましょう。
ここでは、借金返済の催促状の書き方やマナーについてお伝えします。手紙の文例もご紹介するので、催促状を書くときの参考にしてくださいね。
目次
借金返済の催促状のマナー
お金の貸し借りができるというのは、ある程度、信頼関係が築かれている証拠です。催促する際には、その関係を崩さないような配慮が必要です。まずは、借金返済の催促状を書くときのマナーや注意点について理解しておきましょう。
丁寧な言葉遣いが基本
貸したお金を返してもらう催促の手紙では、期限内に返さないのは相手の落ち度ですが、そこを責めるのではなく、「いつものあなたと違うようだが、どうしたのか」と相手の様子を尋ねる一文から書き始めます。
すでに相手への信頼が揺らいでいても、お金を貸したときの信頼関係の延長線上での手紙にすることが大切です。まずは連絡をもらい、返済が遅れている理由を説明してもらうことを目標に、丁寧な言葉遣いで心配している気持ちを表現しましょう。
感情的になって怒りの気持ちをぶつけるような文面はマイナス効果。相手を非難する書き方は避けましょう。とくに最初の催促は、相手の手違いによって返済期日を守れなかった可能性もあると考え、丁寧に再度依頼する形をとります。相手が事実に気づき、善処してくれるように、冷静にお願いする形で伝えることを心がけましょう。
返済の催促に用いる理由
返済をお願いする際には、ただ「お金を返してほしい」「約束を守ってほしい」と伝えるのではなく、こちらの窮状を述べることが必要です。実際に何か困っていることがあれば、それを膨らませて伝えてみましょう。返済の意思や反省の気持ちを改めて持ってもらうためには必要なことです。
しかし、たとえ事実でも、あまり深刻な内容までに触れる必要はありません。「どうしても入り用になり」「急に必要になって」など、理由をぼかして伝えてもよいでしょう。
何度催促しても返事がない場合
何度催促しても返事がない場合は、相手に催促状が届いていることを確認する意味でも、「配達証明郵便」を利用するのもひとつの方法です。一般書留にして「配達証明をつけてください」と郵便局の窓口で伝えれば、相手に郵便が届いたあとに配達証明はがきが送られてきます。
いつ、だれが、だれに向けて、どんな手紙を送ったのか、手紙に書かれている内容も含めて郵便局が公的に証明してくれるため、相手が聞き入れてくれなかったり、改善されなかったりしたときは、効果的な場合もあります。
借金返済の催促状の書き方
つづいては、借金返済の催促状の基本構成と書き方についてご紹介します。催促状は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。
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借金返済の催促状の文例
初回の催促(1)
拝啓 立春を過ぎても毎日寒い日が続きますが、お変わりなくお過ごしのことと思います。 さて、さっそくですが、先日ご用立ていたした百万円の件、ご返済期日が過ぎてもご連絡がなく大変困っております。催促がましいお手紙を差し上げるのは不本意ではございますが、私どもも余裕があってご用立てしたのではないことをご理解ください。 〇〇様にも何かご事情がおありかと存じますが、今月末までにご返済くださいますようお願い申し上げます。 なお、このお手紙が届くまでにご入金がお済みの場合はどうぞお許しください。 まずはご連絡だけでもお待ちしております。 取り急ぎ、お願い申し上げます。 敬具 |
よりやわらかい表現で催促をしたい場合は、文例中の下線部を「お約束の期日が過ぎておりますが、ご都合はいかがでしょうか」「お約束の期日を過ぎましたが、入金がまだのようです」と書き添えましょう。初回の催促状では、相手を気遣う配慮をした文面を心がけます。
初回の催促(2)
拝啓 春霞の漂う季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。 さて、先日ご用立ていたしましたお金の返済期限を一週間ほど過ぎておりますが、いかがなりましたでしょうか。いろいろと事情もおありでしょうが、何のご連絡もないので少々気をもんでおります。 あのお金は、ほかならぬ〇〇様からのご依頼ということで無理をしてご用立てしたもので、こちらも決してゆとりがあるわけではありません。催促がましくて申し訳ございませんが、当方の事情もお察しいただき、まずはご連絡だけでもいただきたく存じます。 取り急ぎ、お願いまで。 敬具 |
より改まった相手に書状を出す場合は、文例中の下線部を「誠に申し上げにくいのですが、先日ご用立ていたしました〇万円についてお伺い申し上げます」と書き添えます。催促は抗議ではなく、強いお願いです。基本的な礼儀をわきまえて行うことが大切です。
初回の催促(3)
拝啓 いつまでも暑さが続く毎日ですが、お元気でお過ごしのことと存じます。 本日、お便りを差し上げますのは、本年四月にご用立ていたしました〇万円のご返済の件でございます。最初のお話ではお盆前には返していただけるとのお約束でしたが、いかがなりましたでしょうか。 実は拙宅も耐震リフォームが必要で、来月から工事に入るため、お金が入り用になってしまい、早急に資金を調達しなければならなくなりました。〇〇様に催促申し上げるのは心苦しいのですが、至急ご返済いただければ幸いです。 〇〇様にも何かご事情があってのことと存じます。なにとぞこちらの窮状をご賢察いただき、ご対処いただけますよう、お願い申し上げます。 敬具 |
催促状では返済されないことで、どれほど困っているかを述べます。一括での返済が難しい場合は、期限の延期や返済方法の変更など、解決策があれば具体的に提示しましょう。
2回目以降の催促
前略 取り急ぎ申し上げます。 すでに用件はご承知のことと思います。先日お送りした書状にもご返事をいただけず、お電話でもお話ができておりません。何か事情があってのこととしても、ご連絡くらいはいただけるものと信じておりました。 当方も差し迫った状況におります。〇月〇日までにご返却いただけない場合は、不本意ですがなんらかの法的な手段に出ざるを得なくなります。 しかし、そのようなことはしたくありません。どうか、ご連絡だけでもいただけますよう、お願い申し上げます。 草々 |
催促しても連絡がなかった場合は、上記文例のように多少強めの表現でも構いません。連絡をもらうことを条件に返済方法の変更を伝える場合は「分割でのご返済をご希望でしたら、ご相談させていただきます」と明記するのもよいでしょう。