古希祝いとは、数え年で70歳を迎える方に長寿のお祝いをすること。
還暦のお年だと、現役で活躍している人も多いことから、今は古希や喜寿(77歳)あたりから、長寿のお祝いをすることが多くなりました。
古希祝いの手紙では、祝意と尊敬の念を表し、健康を願う言葉を伝えることが大切です。ここでは、古希祝いの手紙の書き方やマナーをお伝えします。相手別の文例もご紹介するので、手紙を書くときの参考にしてくださいね。
目次
古希祝いの手紙のマナー
せっかくお祝い状を書いても、礼節をわきまえていない文面では、祝意が十分に伝わりません。まずは、古希祝いの手紙を書くときのマナーや注意事項を確認しておきましょう。
古希祝いの手紙を送るタイミング
お祝い状を渡す時期は、誕生日前後や敬老の日、親戚などの身内が集まる日に渡すのが一般的です。お食事会を開くときは、その席で贈り物とともに手紙を直接渡ししましょう。郵送する際は、誕生日の前日には相手に届くよう手配するのがマナーです。
当初は喜びでいっぱいだった相手の気持ちも、時間が経過するにつれて落ち着いてきます。お祝い状はいつ受け取っても嬉しいものですが、気持ちが落ち着いてしまってからでは、こちらの祝意が十分には伝わりません。発送するときは、後日到着することのないよう、気をつけましょう。
年寄り扱いするような書き方はNG
古希のあたりまでは現役でまだ働いている方も少なくありません。そのため、「足腰も弱くなって」「病気がち」といった心身の衰えや老いを連想させる表現は避けましょう。
誰しも老いとは向き合いたくないものです。年を重ねても元気な様子や、若々しい姿をたたえる言葉を選ぶと喜ばれます。若さを保つ秘訣を尋ねる一文を書き添えるのもよいでしょう。
忌み言葉の使用は避ける
忌み言葉とは、不吉な意味のある言葉や、縁起の悪い意味合いを連想する言葉であり、手紙を書くときに使用してはいけません。
長寿のお祝い状を書くときに注意しておきたい代表的な忌み言葉には「衰える、枯れる、病む、寝る、ぼける」などがありますが、先方が病床にある場合に、病状を尋ねる際にうっかり忌み言葉を書き記してしまうこともあるので注意しましょう。
最近は気にする人も少なくなりましたが、縁起の悪い意味合いの言葉や、それを連想させたりする言葉は基本的にすべてNGです。メールよりも、手紙の文化に慣れ親しんだご高齢の方へ手紙を出すときは、言葉選びに注意が必要です。
古希祝いの手紙の基本構成と書き方
つづいては、古希祝いの手紙の構成をお伝えします。お祝い状は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。
|
古希祝いの文例
恩師・上司へ(1)
拝啓 新緑の候、〇〇先生にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。 このたび、先生には矍鑠として古希の賀をお迎えとのこと、誠におめでとうございます。心からのご祝詞を捧げます。 私どもが感服いたしますのは、先生が今も現役でご活躍をされ、後進を導いていらっしゃることです。その活気に満ち溢れたお姿こそ、先生の薫陶を受ける者すべての道しるべであると存じます。 先生には、これからも健康に留意され、末長くご活躍くださるようお祈り申し上げます。 後日、改めてご都合を伺ったうえ、先生の教え子有志が集ってのお祝いの会を催させていただきたく存じます。その節は、どうぞよろしくお願い申し上げます。 まずは右、書中をもちまして、お祝いかたがたお願いを申し上げます。 敬具 |
矍鑠(かくしゃく)とは、年を取っても丈夫で元気のよいさまのことです。薫陶(くんとう)とは、徳の力で人を感化・教育すること。祝意とともに尊敬の念を伝えましょう。
恩師・上司へ(2)
拝呈 青葉のみぎり、先生にはこのたび古希の賀寿を迎えられました由、謹んでお祝い申し上げます。 いまなお第一線でご活躍のご様子には、ただただ敬服いたすばかりでございます。 ささやかではございますが、お祝いの品をお贈りさせていただきました。 今後も変わらぬご教導をお願いするとともに、さらなるご健康とご活躍をお祈り申し上げます。 敬白 |
お祝いの品を贈るときは、シンプルなメッセージでもよいので、先方に祝意を表すとともに、日ごろの感謝の気持ちを伝える言葉を書き添えましょう。
親へ(1)
お父さん、古希おめでとう。七十歳の記念すべき節目を迎えることができて、本当によかったです。 いつも元気で、周囲を明るくしてくれるお父さんのおかげで、深く温かみのある家庭で過ごすことができました。本当に感謝してもしきれません。 古希のお祝いに、今から七十年前の、お父さんが生まれた日の新聞を贈ります。 いつまでも元気なお父さんでいてください。古希どころか喜寿、米寿、白寿と長寿を重ねられることを願っています。 |
親に古希祝いの手紙を添えるときは、大黒柱として家族を支えてくれたことへの感謝の気持ちや、遊んでくれた昔の思い出など、普段口に出していえない素直な気持ちを伝えましょう。
親へ(2)
お母さん、古希おめでとう。七十歳の誕生日を迎えることができて本当にうれしいです。 元気でいることが当たり前だと思っていたお母さんが、昨年、突然入院することすることになったときはとても心配しました。それから半年、順調に回復していることに安堵しています。 ささやかですが、古希のお祝いの品をお贈りします。 お母さん、体調には十分に気をつけてね。家族一同、お母さんの健康をお祈りしています。 お父さんにもよろしくお伝えください。 |
相手が病床にある場合は、その状態により、お祝い状を出すかどうかを考えましょう。状態が落ち着いているようなら、実情に即した形で激励の言葉を書き添えます。
義親へ
拝啓 爽やかな秋晴れの日々が続くこの頃、お健やかにお過ごしのことと存じます。こちらも皆、毎日を穏やかに過ごしております。 さて、このたびは、めでたく古希をお迎えとのこと、まことにおめでとうございます。たくさんの趣味をお持ちで、一年中活動的に過ごされるお父様はいつも若々しく、とても古希を迎えるように思えません。素敵にお年を重ねられているお父様は、私たちの憧れです。 日ごろの感謝の気持ちも込めまして、心ばかりですが、お祝いのしるしを別送いたしました。 これからもどうかますますお元気で、めでたき年輪を刻まれますようお祈りしています。 お正月には帰省する予定です。息子もとても楽しみにしていますので、家族そろって盛大にお祝いしましょう。 日ごろの感謝と敬意を込めて、まずはお祝いまで。 敬具 |
お義父さんやお義母さんに手紙を送るときは、前置きから書き始めます。丁寧な文章を心がけ、お祝いの気持ちを伝えます。ただし、あまり堅苦しい文面になると、冷たい印象を与えてしまうので気をつけましょう。
祖父母へ
おじいちゃん、古希おめでとう。 いつも優しくしてくれてありがとう。またいっしょにお出かけしたり、たくさん遊ぼうね。 大好きなおじいちゃん、これからも健康に気をつけて長生きしてね。 |
お孫さんからのメッセージは嬉しいものです。あまり手伝いすぎてしまうと、ご両親の色に染まった文面になってしまうため、注意しましょう。お子さんの気持ちをストレートに表現したほうが喜ばれます。