前文とは|手紙の書き方

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前文とは|手紙の書き方

手紙の「前文」の書き方をご紹介します。

前文は、読み手に挨拶をする大事な部分であることから、決められた書式に則って書くことが、昔からの約束ごとです。

決められた書式で書くというのは、堅苦しくて面倒だと思われがちですが、用件をスムーズに伝えるためにはとても有効なもの。前文の書き方を理解して、失礼のない文章を書き上げましょう。

前文とは

前文とは、主文で本題を伝える前に、前置きとして述べられる挨拶のことです。前文は、基本的には「頭語」「時候の挨拶」「安否を尋ねる挨拶」「お礼やお詫びの挨拶」の4つの要素で構成されています。以下の図をご覧ください。

手紙の前文

赤線で囲った部分が手紙の前文にあたる部分であり、割り振られている番号はそれぞれ(1)頭語、(2)時候の挨拶、(3)安否を尋ねる挨拶、(4)お礼やお詫びの挨拶です。

前文は4つの要素で構成されている

改めてとなりますが、前文を構成する4つの要素をもう一度理解しておきましょう。

  • (1)頭語
  • (2)時候の挨拶
  • (3)安否を尋ねる挨拶
  • (4)お礼やお詫びの挨拶

4つも要素があると、うまく書けるか不安に思うかもしれませんが、これらは書式に則るだけで、見事な手紙を書くことができます。それぞれの要素の書き方を見ていきましょう。

(1)頭語

頭語は、手紙の一番はじめにくる挨拶言葉です。頭語には「こんにちは」という意味合いがあり、相手との関係性や、手紙の内容に応じて「拝啓」「謹啓」などで表現します。また、頭語は結語(※敬具や敬白)とセットで使われ、間違った組み合わせをしてしまうとマナー違反です。正しい使い方を知りたい方は「頭語・結語の組み合わせ」をご覧ください。

(2)時候の挨拶

時候の挨拶は、季節の移り変わりや差出人の心情を挨拶文として表現する部分です。頭語のあとに一文字分スペースをとって、記入します。時候の挨拶は、手紙を出す時期やそのときの気候によって、使い分けなければなりません。それぞれの月ごとに、季節感のこもった挨拶の例文は「時候の挨拶」を確認してくださいね。

(3)安否を尋ねる挨拶

時候の挨拶の次は、相手の安否を気遣う挨拶を書くのが一般的です。「ご機嫌いかがですか」「お元気のことと存じます」といった言葉で、相手への思いやりを表します。なお、それに続けて、「お蔭様で、私どもも元気で暮らしています」など、こちらの安否を伝えることもあります。それぞれの書き方については「安否を尋ねる挨拶」と「自分の安否を伝える挨拶」で例文を記載してるので、確認しておきましょう。

(4)お礼やお詫びの挨拶

前文の最後は、日頃お世話になっているお礼や感謝の気持ちを伝えたり、お詫びの挨拶を伝える言葉で締めくくります。確実に正しく書きたい方は「日頃の感謝・お礼を伝える挨拶」をご覧ください。

場合によっては前文を省略することもある

前文は、どのような手紙・ビジネス文書でも必ず書くといったものではありません。前文を書くかどうか迷った時は、以下の表を目安にしてください。

前文を書く手紙
  • 目上の人に差し出す手紙
  • 前文がある手紙への返信の手紙
前文を省略可能な手紙
  •  親しい人に宛てる手紙
  • 事務的な内容の手紙
  • 急用の手紙
  • はがき

たとえば、お詫び状を書くときは頭語を「拝啓」「急啓」などにして、時候の挨拶は省略するのが一般的ですが、もっとも大事なのは、相手との関係や用件によって使い分けることです。特に、前文を省略できる手紙では、書き方ひとつで読み手の印象も大きく変わります。

お見舞い状やお悔やみ状は、前文を省略する

お見舞い状やお悔やみ状、あるいは緊急の用件を伝える手紙では、時候の挨拶とあわせて、その次にくる言葉もすべて省略します。先方が明らかに喜ぶべき状態にないと分かっているお悔やみの手紙で、「お元気にしていますか」「私どもは元気にしています」などといった挨拶を入れるのは、大変失礼です。以下のような手紙の種類には、時候の挨拶とあわせて、安否を尋ねる挨拶や安否を伝える挨拶も、前文をすべて省略します。

  • 病気や災害などのお見舞い状
  • お悔やみ状
  • 死亡の通知の手紙
  • 会葬のお礼の手紙
  • 緊急の用件を伝える手紙

また、フランクに話のできる、ごく親しい相手に宛てた手紙では、前文を省略してもかまいません。ただし、前文を省略する手紙でも、「急啓」や「冠省」「前略」といった頭語だけを、主文の前に入れることがあります。頭語を入れたときには、頭語に対応する「草々」などの結語を、末文の一番最後に必ず入れましょう。前文を省略して書くときの例を以下にご紹介します。

見舞い状の前文の例

前略 このたびは、突然の病に倒れられご入院されたとのこと、突然のことで驚いております。ここに謹んでお見舞い申し上げます。 

悔やみ状の前文の例

このたびの悲報を知り、いまだに信じられない思いがしております。心からお悔やみ申し上げます。

今後、用件ごとの文例をご紹介していくので、それを見て確認してくださいね。前文を書いたあとは、次の項目の「手紙の主文」をご覧ください。

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