火事・火災のお見舞いの手紙の書き方|文例つき

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火事・火災のお見舞いの手紙の書き方|文例つき

火事・火災を見舞う手紙では、相手の安否を気遣い、無事を喜ぶ文面にするのが礼儀です。また、相手の心痛やダメージに、心から寄り添い、同情する一文を添えることが大切です。

ここでは、火事・火災のお見舞いの手紙の書き方や、マナーについてお伝えします。お見舞い状の文例もご紹介するので、手紙を書くときの参考にしてくださいね。

火事・火災のお見舞いの手紙のマナー

まずは、火事・火災のお見舞いの手紙を書くときに、気をつけないといけないポイントをお伝えします。相手に失礼のないよう、お見舞い状のマナーや注意点について理解しておきましょう。

罹災直後ならハガキでもOK

火事や火災の被害状況をニュースで確認したら、すぐにお見舞い状を送るのがマナーです。知らせを聞いたら、早めに出しましょう。

一般的に、お見舞いの手紙は封書を送るのが基本ですが、罹災後一週間くらいまでなら、ハガキで送っても構いません。無事を知って安心したことを伝えたうえで、正式に封書で送ります。あくまでもハガキは略式のため、災害の緊急時のみ使用すると理解しておきましょう。

また、災害見舞いには、協力や援助を申し出る一文を添えて、相手を気遣い、配慮することが大切です。

忌み言葉の使用は避ける

忌み言葉とは、病状が長引くことや繰り返すことなど、不吉なことを連想させる言葉です。火事・火災などの災害見舞いの手紙を書くときは、以下の言葉を用いないように注意しましょう。

  • 災害見舞いの忌み言葉:再び、再度、重ね重ね、たびたび、たまたま、返す返す、繰り返す、離ればなれ、ばらばらになる、苦しい、失う、見失う、さらに

また、「不幸中の幸い」という言葉も用いてはいけません。この言葉は、見舞われる側が、自身の状況について述べるときに使用する言葉のため、見舞う側が用いるのは不適切です。その他の気をつけたい忌み言葉については、忌み言葉の一覧をご覧ください。

火災の原因によって言葉を選ぶ

火事見舞いでは、火災の原因も考慮に入れて表現を工夫する必要があります。

漏電などが原因の場合は「不慮の出火で」などと出火に言及してもかまいませんが、火の不始末などによる失火の場合は、「罹災」や「思いがけないことで」などの抽象的な表現にとどめ、出火原因にはふれないようにするのが思いやりです。類火(もらい火)の場合も、出火した家のことを非難するのは慎むのがマナーです。

追伸(二伸)はNG

追伸や二伸は、主文で書き漏らしたことや念押ししたいことなどを、手紙の後付けのうしろに追記したいときに用いる文章の構成要素のひとつです。詳細は追伸とはをご確認ください。

追伸は、忌み言葉同様、繰り返しを連想させてしまうため、災害見舞いの手紙では使用を控えなければなりません。相手を気遣い、励ます文面にすることを心がけましょう。

火事・火災のお見舞いの手紙の書き方

つづいては、火事・火災のお見舞いの基本構成と書き方についてご紹介します。お見舞いの手紙は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。

火事・火災のお見舞いの手紙の書き方

災害見舞いは縦書きが基本です。親しい間柄の人に宛てる場合でも、カジュアルな印象を与える横書きは不適切です。間違えないよう注意しましょう。

  • 前文:火事や火災のお見舞いの前文は「頭語」と「出だしの挨拶」を書き添えます。頭語は「急啓」「急呈」などを記します。ただし、災害や緊急時は、前文そのものを省いても構いません。また、時候の挨拶は省略するのが一般的です。
  • 主文:「相手の安否を尋ねる言葉」「火災に対する驚きや悲しみ、心配、慰めなどの気持ち」「復興を祈る言葉」「協力・援助を申し出る言葉」を述べます。
  • 末文:末文は「結びの挨拶」で文章を締めくくります。前文に頭語を書き記す場合は、改行して行末に「結語(草々、不一など)」を書きます。
  • 後付け:「日付」「差出人」「宛名」の順に書きます。日付は、文頭から2字下げて、和暦で発送年月日を明記しましょう。宛名には、敬称(様)も忘れず書きます。

火事・火災のお見舞いの手紙の文例

類火・もらい火による火災の場合(1)

急呈 母からこのたびのご災難の知らせを受け、取り急ぎ書中にてお見舞い申し上げます。
 まずは、ご家族の皆様がご無事ということで、安堵いたしました。伺うところによれば、隣家からのもらい火とのこと。ご家族のご心中はいかばかりかとお察しいたします。
 本来なら、すぐにでもお手伝いに駆けつけたいところですが、遠方にてかないません。ささやかですが、お見舞いを同封いたしましたので、当座のご用にお使いいただければ幸いです。
 一日も早い再建と皆様のご健康を、心よりお祈り申し上げます。
                                        不一

お見舞い状には、手伝いに行けないことを詫び、復興を願う励ましの言葉で結びます。文例中の下線部は「ご自宅が火災に遭われたと伺い」と買い添えてもよいでしょう。ただし、類火の場合は「火事」「火災」と書いてもいいですが、失火の場合は「災難」にとどめ、原因についてふれないのがマナーです。覚えておきましょう。

類火・もらい火による火災の場合(2)

 このたびは、ご近所で火災が発生し、お宅様の間近まで類焼したとのこと、本日、〇〇様より伺いました。さぞ驚かれ、ご心配だったことでしょう。心よりお見舞い申し上げます。
 幸いにも、ご自宅は罹災をまぬがれたとのお知らせに、安堵いたしました。ただ、家財道具も一部運び出されたそうで、避難のお疲れもさぞかしと拝察しております。
 おとり込み中と存じまして、お見舞いに伺うのは差し控えさせていただきますが、後片付けの合間にでもお召し上がりいただきたく、甘味を少々、お見舞いのしるしにお届けいたします。
 しばらくは落ち着かず、お忙しい日がつづくことでしょうが、どうぞご自愛くださいますように。
 まずはとり急ぎお見舞いまで。
                                        かしこ

文例中の下線部は「伺えば、深夜の火災発生でご避難なさったとのこと、さぞご不安な一夜をお過ごしだったことでしょう」と書き換えてもよいでしょう。自宅に被害がなかった、あるいは軽微だった場合、おのずと文面は明るくなりますが、火災発生時には避難したり不安感に包まれたりと、被害は受けています。そうした心痛を思いやり、力づける文面にしましょう。

類火・もらい火による火災の場合(3)

 ご自宅が火災に遭ったと聞き、驚いています。隣家からの出火による類焼とは。
 ご家族は無事ということで、ひとまず安心しましたが、〇〇さんの気持ちを考えると言葉もみつかりません。
 住まいが遠く、駆けつけることができず、ごめんなさい。
 心ばかりですが、お見舞いのしるしを同封します。役に立てば幸いです。まずは体を大切に、一日も早く気持ちをとり直されるよう、心よりお祈りしています。

上記の文例は、友人に宛てる火災のお見舞いです。相手の家族の様子が分からない場合は、文例中の下線部を「ご家族の皆様はおけがなどされていませんか。詳しいことがわからず、とても心配しています」と書き換えます。

失火による火災の場合

 このたびは、ご自宅が罹災なさったとのこと、たいへん驚き、心配しております。
 ご家族の皆様も、さぞお力落としのことでしょう。ただ、皆様がおけがもなく無事に避難されましたことが、せめてもの救いと存じます。このうえは、お心を強くお持ちになり、ご家族の皆様の息災を糧になさって、復興へお励みになられますよう、心よりお祈り申し上げます。
 当面はなにかとご不自由と存じまして、まことに失礼ではございますが、心ばかりのお見舞いを同封させていただきます。
 本来ならばお手伝いに参上したいところですが、遠方ゆえそれもかなわず、何のお役にも立てず申し訳なく存じます。
 まずはとり急ぎ書中にてお見舞い申し上げます。

上記の文例は、罹災者への火事見舞いです。火災などの災害時に同封するお見舞いの品は、生活必需品が好まれます。相手が受け取れる状況かを確認してから、水や日持ちのする食料、寝具、衣類、タオルなどが一般的です。

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