「手軽に使いやすいfaxの送付状テンプレートが欲しい」、「送付状の正しい書き方を習得したい!」という人に役立つ内容をお届けします。
faxの書き方や送るときの注意点を網羅した、fax送付時のマニュアルをご覧ください。
現在使用している送付状の書き方が間違っていないか、チェックするのにも使ってみてくださいね。
すぐに使える無料のテンプレート(Word・Excelの両方あり)もダウンロードできます。すぐにダウンロードしたい方は「fax送付状の書き方」をクリックしてください。
目次
faxの基本とマナー
faxの送付状を作る前に、まずはfaxの基本とマナーに関する7つのポイントをお伝えします。
1.送付状はつけて送ろう
書類だけでも送信できるのに、わざわざ送付状をつけるのは、送信する側にとっても、受ける側にとっても、紙の無駄遣いと思えるかもしれません。
ですが、原則、送付状はつけましょう。本来、書類は持参して手渡しするのが最も丁寧な方法です。それをfaxという簡略な方法で済ませるのですから、せめて送付状をつけることで、丁寧な対応を印象づけましょう。事前に電話などで、先方から了解を得ている場合は、送付状をつけず、書類の隅の空いたスペースに宛名や発信者名を書いて送ってもいいでしょう。
2.大量の枚数を送るときは事前に相手の了解を得よう
faxを送ると、送信先の用紙を使用することになります。大量の枚数をfaxで送れば、先方も当然、それだけの用紙を使うことになるのです。受信用紙は相手持ちだと理解しておきましょう。一度に5枚を超えるような枚数を送るときは、「送信する枚数が5枚ありますが、faxでお送りしてもよろしいでしょうか?」などと電話であらかじめ先方の了解を得てからにしましょう。
3.細かい文字や図は適さない
機械の性能にもよるとはいえ、実物よりは不鮮明です。faxで送られてきた文書で細かい文字や図を判別するのは、相手も面倒です。また、色でなにかを表現したり区別しても、送受信先ともにカラーfaxに対応していなければ、相手にはモノクロで送られます。マナーとしては、そうした書類はfax以外の別の方法で送りましょう。
4.社交・儀礼文書は送らない
気持ちを伝えるための以下の社交文書・儀礼文書は、faxで送るのは不適切です。
- お礼状
- 祝い状
- お見舞い状
- お詫び状
- お悔やみ状
お詫びの文書をfaxで送ったら、先方はきっと気持ちを逆なでされた気分になるはずです。社交・儀礼文書は、郵送するのがマナーです。
5.プライバシーに関する内容は書かない
先方の会社では、faxで送られてきた文書を誰が最初に見るか、わかりません。個人の私事・人事照会などの情報や、内密の相談をした場合、漏洩してしまう可能性があります。人に見られたくないプライバシーに関わる内容を送るのは控えましょう。
6.送信前のfax番号確認を怠らない
文書をfaxにセットしてfax番号を入れても、そのまま送信ボタンを押してはいけません。番号に間違いがないか、必ず確認しましょう。送信間違いがあった場合、本来送るべき相手に届かないのはもちろんのこと、間違って送られた相手にも迷惑がかかります。指差し呼称で確認する習慣を身につけましょう。
7.送信後は、先方に受信確認の電話をしよう
送信したあと、連絡をせずそのままにしておくと、チラシと勘違い破棄してしまったり、受信したことに気づかず、放置してしまったりすることもあります。faxの送信が完了したら、先方にすぐ電話を入れて受信確認をおこないましょう。
多忙で電話が繋がりにくい相手の場合はメールで通知するのも効果的です。メールの書き方を知りたい方はfax送信後に送る確認メールの文例をご覧ください。
faxを送付するメリット・デメリット
faxの送信準備を始める前に、そもそもあなたが送ろうとしている文書がfaxで送信するメリットがあるか確認しましょう。もしかするとデメリットに当てはまる事項のほうが多いかもしれません。
faxのメリット
Faxを送るときのメリットを以下に記載します。
- 手早く送れて記録に残せる
- 電話では分かりづらい用件を伝えやすくする
- 相手が不在でも送れる
- コストが安い
先方に急な要件を伝えたいときや、簡易な文書を確認してほしいときに、faxは役に立ちます。
faxのデメリット
faxで文書を送るときは、以下のデメリットを理解した上で使いましょう。
- 不特定多数の目に触れる可能性がある
- 大量の送受信には不向き
- 文字が不鮮明で読みにくい場合がある
- 社交・儀礼文書には適さない
- 相手の用紙やインクを消費する
faxやメール・電話・郵送などの伝達手段にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、faxは特に、文書の内容や相手を考慮した上で送るようにしないと、相手に失礼な印象を与えてしまいます。
fax送付状の無料テンプレート(Word・Excel)
以下のフォーマットをダウンロードして、本文の内容と照らし合わせて読み進めていくと、より理解を深めることができます。
※左側:Excelのfax送付状、右側:Wordのfax送付状
fax送付状の書き方
続いては、faxの送付状の書き方を解説していきます。faxは以下の8つの構成要素から成り立っています。
もう一度整理しておきます。どの要素も大切なので、しっかり覚えておきましょう。
- 用紙のタイトル
- 日付
- 宛名
- 発信者名
- 件名
- 本文
- 送信枚数
- 別記
それぞれのポイントを解説していきます。
(1)用紙のタイトル
faxの送付状であることが相手に一目で分かるように記載します。以下のタイトルから自社に合うものを選びましょう。
- FAX送付案内状
- FAX送付のご案内
- FAX送信状
- FAX送付状
- 書類送付のご案内
相手のもとには日々さまざまなfaxが送られてきています。営業のDMや取引先とやりとりをしている文書などと間違えられないよう、フォントサイズを大きくしたり、目立つ位置に記入するなどの工夫をしましょう。
(2)日付
先方がすぐに、faxで送った書類に目を通すとはかぎりません。必ず、書類を送信した日付を記入しておきましょう。日付には「送信年月日」を書きます。基本は和暦(例:平成〇〇年〇月〇日)ですが、社内で書類の作成方法が西暦に統一されている場合もあります。社内のルールに従って記入しましょう。
(3)宛名
faxを送る相手の会社名・部署名・役職(肩書)・氏名を書きます。送信間違いなどがあったときのために、fax番号が記入してあると便利です。宛名のよくある間違いと正しい書き方をお伝えします。
・名前を省略しない
誤:㈱田中
正:株式会社田中
会社名を記載するときに「㈱」と省略するのは失礼です。正式名称で表記しましょう。
誤:山田様
正:山田 太郎 様
先方の会社や部署に、同じ苗字の人が在籍している可能性があります。名前が分かっているときは必ず記入しましょう。
・二重敬語にならないようにする
誤:山田部長様
正:部長 山田 太郎 様
正:部長 山田 様
役職名には敬称が含まれています。「氏名(名字)+役職名+様」だと二重敬語になってしまうため、NGです。正しい順序は「役職名+氏名(名字)+様」です。覚えておいてくださいね。
・「様」と「御中」を使い分ける
誤:株式会社田中様
正:株式会社田中 御中
法人名に「様」は不適切です。「御中」を使用しましょう。
誤:株式会社田中様
総務部様
誤:株式会社田中
総務部様
正:株式会社田中
総務部 御中
会社名・部署名のあとには「様」を使うのはNGです。また担当部署宛てに送る場合は「会社名+部署名+御中」の組み合わせにしましょう。
誤:株式会社田中 御中
営業部 山田 太郎 様
正:株式会社田中
営業部 山田 太郎 様
「会社名+部署名+氏名」のあとは「様」のみです。会社名や部署名のあとに「御中」は不要です。
・担当者名の漢字が分からないときの対処法
担当者の名前はわかっていても、漢字が分からないときもあります。送付する前に、相手に尋ねるのが一番ですが、それができない状況のときは片仮名で書きましょう。
誤:やまだ様
正:ヤマダ様
平仮名で書いたり、推測で書くのは失礼です。片仮名で記入するときも、「お名前の表記が分からず、カタカナにてお送りする失礼をお許しください」という一文を添えましょう。
(4)発信者名
差出人の情報を記載します。最低限、記載しておきたい情報は以下の6点です。
- 会社名
- 会社の所在地
- 担当部署名
- 担当者名
- 電話番号
- FAX番号
発信者名は、宛名より一段下に記入して敬意を表します。
(5)件名
用件がひと目でわかるよう、具体的かつ簡潔に書きましょう。書き方の例を記載します。
- 見積書のご送付
- 申込内容ご確認のご依頼
- アンケートのご依頼
件名は長くても20文字以内に収まるようにしましょう。
(6)本文
本文は以下の3つの構成で成り立っています。
- 書き出し
- 用件
- 末文
それぞれの正しい書き方を見ていきましょう。
1.本文の書き出し
本文の書き出しは、相手との関係性によってかえましょう。目上の人などに丁寧な印象を与えたいときは、あらたまった挨拶から入り、親しい間柄の人には簡単な挨拶を入れます。
あらたまった挨拶を入れる場合
書き出しは「頭語+先方の繁栄を喜ぶ言葉」を記入します。時候の挨拶はいりません。例文は以下の通りです。
本文の書き方の例(1) 拝啓 貴社におかれましては益々ご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。 (用件・末文) 敬具 本文の書き方の例(2) 謹啓 貴社にはますますご隆盛の段、心よりお喜び申し上げます。 (用件・末文) 謹白 |
末文の一行下に右詰めで結語(上記の例文では「敬具」「謹白」)を入れましょう。
一般的な挨拶を入れる場合
本文の書き方の例
|
fax送付状は、相手がひと目で用件を把握できるようにしなくてはなりません。長い挨拶は不要です。
2.本題(用件)を伝える
用件はメールの場合と同様に、簡潔にわかりやすくまとめることが大切です。用件に入るときは決まり文句をうまく使いこなすことでメリハリのある、わかりやすい文書になります。書き出しの次の行に記入する決まり文句をご紹介します。
用いる言葉 | 用例 |
早速ですが | 早速ですが、下記の書類をお送り致しますので… |
さて | さて、このたび弊社が開催を予定しております「〇〇セミナー」の… |
決まり文句を用いて必要なことだけをシンプルに伝えるよう心がけましょう。
3.末文で締めくくる
末文は、用件の要旨を一言にまとめて結びの挨拶とします。書き方の例を以下に記載します。
- ご検討の上、ぜひご用命賜りますようお願い申し上げます。
- ご査収くださいますようお願い申し上げます。
- 取り急ぎ書面にてご案内申し上げます。
- まずは書中をもってお願い申し上げます。
慣用的な表現を使って、マナーにかなった文書に仕上げましょう。
(7)送信枚数
先方に届いた枚数をチェックしてもらうためにも、送信枚数は必ず記入しましょう。fax送付状に書いた枚数と、実際に届いた枚数とが異なる場合は、相手から問い合わせがくるはずです。
送信枚数の書き方の例を以下に記載します。
- 送信枚数:〇枚(この用紙を含む)
- 送信枚数:〇枚(この用紙を除く)
faxの場合、通信障害や紙切れ・紙詰まりなどのトラブルが原因で、送信中に通信が遮断されることがあります。送信した書面の一部が先方に届かないこともあるため、送信枚数をfax送付状に記入しておくほうが親切です。
(8)別記
別紙の書類について、内容と枚数を記入します。以下の書き方の例を参考にしてください。
記 添付書類:お見積書 一通 以上 |
別記を記入するときは上部に「記」、内容と枚数の一行下に右詰めで「以上」を入れます。
記 移転日 平成〇〇年〇月〇日 以上 |
別紙がなく、送付状に用件を書いて済ますときは、本文に書くと紛れてしまいそうな日時や場所、数量などの内容を箇条書きにします。上記にないパターンで送付状を作成する方はビジネス文書の別記の書き方を参考にしてくださいね。
さいごに
急ぎのやりとりが必要なときは、faxはとても役に立つツールですが、そんなときこそ、マナーに則って丁寧に作成することが大事です。faxは手軽に利用できる情報伝達の手段ですが、注意しないといけない項目がたくさんあります。ひとつひとつ、ポイントをしっかり押さえて、先方に失礼な印象を与えることのないよう、心がけましょう。