普段から手紙を書く習慣のない方にとって、「手紙を書く」という行為はとてもハードルの高いものに感じられると思います。文字の上手下手が気になって書けない、という方も多いでしょう。しかし、メール全盛期の現代だからこそ、「手書きの手紙」というのはそれだけで特別視されます。文字の巧拙は気にせず、「手で書くこと」そのものが大事なのだと思って、気軽に書いてみてください。
一通り書き終えたら、正しく手紙が書けているか、隅々までチェックすることが大切です。誤字や脱字、それに書式に則って書けていない箇所が見つかるなど、意外とミスをしてしまうものです。ここでは、郵送物を投函する前にチェックしておきたい、見落としがちな項目をご紹介します。
目次
手紙を書くときにミスしがちな項目
1.用途に合った便箋を選ぶ
便箋は、相手との関係性や距離感に応じて、適したものを選ぶのがマナーです。親しい人に送る場合と、目上の人に送る場合では、違う便箋を選ぶべきです。詳しくは便箋の選び方を確認してください。また、便箋はたとえ1枚で書き終えても、白紙を重ねて2枚以上で送る場合があります。便箋の枚数のマナーを理解しておきましょう。
2.手紙を出す相手との関係性
親や兄弟、幼馴染みなどの親しい人や、面識のない人、恩師や上司・社外の人などの目上の人に宛てる手紙は、それぞれ書き方を変える必要があります。特に、親しい人に宛てる手紙では、書式や形式にこだわり過ぎると、堅苦しい文章になってしまうことも。相手は違和感を持ち、かえって失礼になることもあります。手紙を送る相手の立場から、文章を読み返してみましょう。
3.手紙の種類
お祝い状やお礼状といった手紙と、お悔やみ状などの弔事やお見舞い状では、書き出しから異なります。また、苦情やクレームのお詫び状では、相手に誠意が伝わる文章にしなくてはなりません。手紙の種類に応じて適切な表現が使えているか、確認しましょう。せっかく送った手紙が相手の怒りを買ってしまい、逆効果になってしまうことのないよう見直しすることが大切です。
4.手紙の構成・位置
手紙は書式に則って書くことが基本です。構成と改行している位置をチェックしましょう。改まった手紙は、頭語にはじまり、時候の挨拶や相手の安否を尋ねる挨拶など、基本構成に沿って書くことによって、シンプルで見やすい手紙となります。特に手紙の基本構成で間違いやすいのは以下のポイントです。
- 前文・主文・末文など、手紙の基本構成に沿って書いているか
- 手紙の種類や相手に適した頭語・結語を選べているか
- 時候の挨拶は手紙を出す時期の挨拶文を選んでいるか
- 相手の安否を気遣う挨拶や安否を伝える挨拶は書いているか
手紙の書式を確かめたい人は、手紙の基本構成を確認しましょう。慣用的な表現も含めて、ご紹介しています。
5.誤字・脱字
手紙に誤字があってはいけません。手書きの手紙における誤字は、書いた人の教養の程度を表します。うる覚えの字があれば、必ず辞書で調べましょう。誤字があると、辞書を引く努力をしていないことを相手に見抜かれてしまいます。また、脱字の多くは、送り仮名の思い違いによるものです。やはりこれも、辞書で調べて確認するしか防ぐ手立てはありません。
しかし、誤字脱字は、最後に読み返す習慣をつければミスを防ぐことができます。誤字を発見しても、修正液を使用したり、訂正の二重線を引いたりせず、一から書き直しましょう。
文末に「乱文乱筆」を詫びる手紙もあり、謙遜してみせるのもマナーのひとつと思われがちですが、乱文乱筆の文書を送ること自体が失礼なことなので、こうした謙遜はいりません。字は丁寧に書き、文章は何度も推敲し整えてこそ、礼儀正しい手紙といえます。
6.敬語の使い方
相手を尊重していることをわかりやすく伝えられるのが言葉遣いです。その中でも特に大事なのが敬語。敬語を正しく使うことで、相手への敬意を表し、へりくだった姿勢を見せることができます。
ただし、敬語はいわば「諸刃の剣」で、正しく使うことができれば相手に敬意がそのまま伝わりますが、間違って使うと、逆に軽んじていると受け取られることもあります。手紙を書くときは、正しく敬語が使えているか、二重敬語になっていないか、見直しましょう。また、忌み言葉もタブーです。詳しくは、以下をご覧ください。
礼儀正しい手紙のはずが、言葉の使い方を間違えると、無礼な手紙となってしまいます。もしその手紙がお詫び状なら、トラブルの種になってしまうかもしれません。言葉の使い方には十分注意しましょう。
7.客観的な表現を心がける
親しい仲間同士によるやり取りでは、自分の気持ちをぶつけ合い、感想を述べ合うこともありますが、改まった手紙ではこれをやってはいけません。公式な手紙では「感情的にならない」という原則があります。公式文書の目的は儀礼的なやり取りであって、個人的な心情を打ち明けることではないからです。
しかし、まったく感情を封印する必要があるわけではなく、たとえばお祝い状では祝意を、お礼状では謝意を、お悔やみ状では弔意を述べなくてはなりません。それを伝えることこそが用件のため、感情を表現するのが必要な場合もあります。ただし、その場合でも、慣用的な表現方法があり、客観的な言い回しができます。控えめでも誠意のある表現を選択しているか、確認しましょう。
8.字配りに気をつける
手紙を書くときに気をつけたいのが字配りです。古いしきたりといってしまえばそれまでなのですが、相手の名前やその人を指す言葉を下のほうに置いてはならない、自分のことを指す言葉を上のほうに書いてはならない、といった決まりごとがあります。人の名前を行末と行頭に分けて書くのもタブーで、同様に地名、数字、熟語なども二行にまたがらないようにしなければなりません。
さらに、「です」「ます」といった文章を締めくくる言葉を行頭に置かないとか、「が」「を」「は」などの助詞で行を始めてはならない字配りのルールがあります。こうした配慮は、相手が読みやすい手紙を書くことを考えると納得できます。上記のような言葉で行をまたいでいないか、見直してみましょう。
9.封筒(敬称)の書き方
手紙を書き終えても、それで終わりではありません。次は封筒に、宛名や差出人を書く必要があります。用件に応じた封筒の選び方や、封筒の書き方、切手の貼り方についても、最後まで手を抜かず書き上げましょう。
意外と勘違いしやすい封筒や切手のマナーを正しく理解しておきましょう。
10.手紙の折り方(三つ折り・四つ折り)
手紙には、正式な折り方・封筒への入れ方があります。そして、和封筒(縦書き)と洋封筒(横書き)のそれぞれで、相応しい手紙の折り方は異なります。正しい手紙の折り方や注意点は手紙の折り方(三つ折り・四つ折り)をご覧ください。