手紙には、昔からの約束ごととして、書式に則って書く必要があります。
書式があるからこそ、支離滅裂な文章の羅列にならずに済むのです。
これまで手紙を書いた経験があまりない人や、正しい書き方を理解したい人に向けて、手紙の基本的な書式をご紹介します。
手紙の基本構成と書き方
手紙は大きく分けて5つの要素で構成されています。以下の図をご覧ください。
要素は、文章の上部にある「前文」「主文」「末文」「後付け」「副文」です。副文は、書き忘れた事柄などがあったときのみ用いるため、手紙を書くときに必ずしも構成されるものではありません。ですが、書き添えることもあると思うので、基本知識として身につけておきましょう。本文に割り振られている(1)~(12)までの番号が、前文や主文などを書く上で重要になってきます。具体的にそれぞれの書き方を解説していきます。
前文の書き方
前文を構成する要素について説明してきます。前文は以下の4つの要素で成り立っています。
(1)頭語
頭語は、手紙で用件を伝える前の挨拶言葉であり、「拝啓」「謹啓」「急啓」などの言葉を用います。末文の結語とセットで使用されるため、正しい組み合わせを選ばないといけません。
また手紙の種類や相手との関係性によって使い分けをしなければならないので注意しましょう。正しい使い方を理解したい方は「頭語・結語の正しい組み合わせ」をご覧ください。
(2)時候の挨拶
手紙を書くときは、季節感やそのときの心情を挨拶文として相手に伝えます。手紙を送る時期や気候、相手に応じて書き方を変える必要があります。例文は「時候の挨拶」でご確認ください。
(3)相手の安否を尋ねる挨拶
前文の3番目に書くのは、相手の健康を気遣う挨拶です。一方的にこちらの用件を伝える手紙は失礼ですが、この一文を書くことによって、相手への礼節をわきまえた文章になります。また自分の安否を伝える挨拶を入れることもあります。例文は「相手の安否を尋ねる挨拶」「自分の安否を伝える挨拶」でご紹介しています。
(4)お礼やお詫びの挨拶
前文の最後は、日頃お世話になっている感謝の気持ちを伝える挨拶です。書くときのポイントや例文は「感謝の気持ちを伝える挨拶」でご紹介しています。前文をより具体的に理解したい方は「前文の書き方」をご覧ください。
主文の書き方
主文では用件や本題を相手に伝えます。そのときのポイントは以下の2つです。
(5)起語(起こし言葉)
起語は「さて」「ところで」「さっそくですが」など、本題に入る前に置く言葉のことです。決まり文句なので、相手に「ここから用件が始まります」というのを伝えることができます。使い方や例文は「起語」をご覧ください。
(6)本文
本文では、用件を簡潔かつ具体的に書くことが大切です。そのためには「正しい敬語の使い方」や「二重敬語の表現」に気をつけないといけません。せっかく送った手紙の主旨が相手に伝わるようにしましょう。また、忌み言葉の使用はタブーです。手紙の内容に問題がないか「忌み言葉」を確認してくださいね。
末文の書き方
末文は「結びの挨拶」「結語」で構成され、文章を締めくくるときに使用します。
(7)結びの挨拶
結びの挨拶は、用件を繰り返し確認するものや、相手の健康や幸福を祈ったり、今後の指導をお願いして手紙の結びとするなど、さまざまな慣用句があります。文例は「末文の結びの挨拶」に記載しています。
(8)結語
結語は、前文の(1)頭語とセットで用いられる挨拶言葉です。相手との関係性や、手紙の種類に応じて「敬具」「謹言」などを選びます。詳しくは「頭語・結語の正しい組み合わせ」をご覧ください。
後付けの書き方
後付けは、手紙をいつ、誰が、誰宛てに送ったかを書き記すものです。マナーをわきまえた書き方を覚えておきましょう。
(9)日付
改まった手紙は「年月日」を入れたり、お祝いの手紙は「吉日」「佳日」と書きます。また、年賀状では年のあとに「元旦」、暑中見舞いでは「盛夏」といった言葉が使われます。日付は、行頭から1~2字ほど下げて書きましょう。
(10)署名
署名には、差出人のフルネームを行末から1字上がったところで終わるように記入します。書き方が分からない人は「署名の書き方」を見てくださいね。
(11)宛名
宛名には、手紙を受け取る相手の名前を書きます。行頭にそろえて、少し大きめの字で書きます。複数人に宛てる手紙は、敬称をそれぞれ書くよう注意しましょう。相手に応じた敬称の正しい使い分けもご覧ください。また、場合によっては敬称の左下に脇付を書くときもあります。
副文の書き方
主文で用件を書き忘れたときや、追記しておきたいことがあるときは副文を用います。
(12)追伸
副文で一般的に使用されるのは「追伸」です。ただし、目上の人に宛てる手紙などで副文を用いると失礼な印象を与えてしまいます。注意点は「副文の書き方」をご覧ください。