ビジネスメールの本文を結びの挨拶で締めたあと、本題とは別の内容の話を付け加える方法として「追記」「追伸」があります。
「追記」は、例えば、本題とは話は違うけれど、同時進行している業務の内容をひと言添えたい場合などに使います。追記に似た「追伸」は、手紙を書き忘れたことを最後に書き足すものとして使われてきたものです。
ここでは、ビジネスメールで追伸を使うときのマナーや書き方についてお伝えします。使い方について例文も紹介するので参考にしてくださいね。
目次
基本、ビジネスメールでの追伸はマナー違反
原則、ビジネスメールは1つのメールに1つの本題を書きます。追伸は、本題とは違う別の内容を書くため、ビジネスメールの基本マナーに反してしまい、相手に用件が伝わりづらくなってしまいます。
また、追伸は「書き忘れたことを書き足しました」ということを表す意味も含まれるため、相手に「書き直すのが面倒だったんだな」と捉えられてしまう可能性もあります。そのため、目上の方に出すときは文章を直して出すか、新たにメールを作成したほうが良いでしょう。
追伸を使ってよい3つのシーンと例文
ただし、追伸を書き記したメールを送る相手と、追伸の内容によっては使用しても構いません。追伸を書き加えたメールを送っても良い相手については下表を参考にしてください。
相手 | ビジネスメールでの追伸の使用 |
上司 | ✕ |
目上の方・社外・取引先 | ✕ |
親しい上司・先輩 | △ |
親しい同僚 | △ |
部下・後輩 | △ |
ビジネスメールでは追伸を使わないのが基本のため、「〇(使用しても良い)」のケースはありませんが、親しい間柄の上司や同僚に送る場合、下記の用途に限って使用しても問題ありません。
- 相手に対する心遣いを表現したいとき
- 食事に誘うとき
- 相手の健康を気遣うとき
上司や同僚・部下に追伸を送るときの、それぞれの使い方や例文を見ていきましょう。
心遣いを表現したいときの追伸(P.S.)の書き方・例文
件名:〇〇に関するデータのご送付 〇〇係長 お疲れ様です。△△です。 先程ご指示いただいた〇〇の資料を ご確認くださいますようお願い申し上げます。 P.S. いつも残業お疲れ様です。 ==================== |
心遣いを表現したいときの追伸の例文
- 連日の残業、お疲れ様です。お忙しいとは思いますが、お体にも気を遣ってくださいね。
- 微力ですが、私に手伝えることがあれば何でもおっしゃってくださいね。
追伸の書き方
追伸は「Post Script」の「P」と「S」をとった略号のこと。正しい表記については下記をご覧ください。
- 〇:「P.S.」「PS」「p.s.」「ps」
- ✕ :「P.S」「ps.」
追伸の「PS」は大文字でも小文字でもどちらを使用しても構いません。ただし、略字の印(ピリオド)は、全て抜かすか、全て入れるかのどちらかが正しい使い方です。そのため「P.S」「ps.」は間違いのため注意しましょう。
食事に誘うときの追伸(PS)の書き方・例文
件名:資料作成のお礼 〇〇さん お疲れ様です。△△です。 昨日は忙しい中、資料の作成を協力してくれてありがとう。 おかげさまで、期日に間に合わせることができ、 今後は仕事に取り掛かる前に 〇〇さんも困ったことがあったときは 今回は本当にありがとう。助かりました。 PS 先日、雰囲気の良いお店を見つけました。 ==================== |
食事に誘うときの追伸の例文
- お忙しいと思いますが、息抜きにお食事でもいかがですか。
- 美味しいお店を見つけたので、時間があるときに是非一緒に行きましょう。
相手の健康を気遣うときの追伸(PS)の書き方・例文
件名:お食事のお礼 〇〇主任 お疲れ様です。△△です。 昨夜はお忙しい中、お食事に誘っていただき 〇〇主任行きつけの焼き鳥店はお肉が柔らかく、 また、趣味のゴルフや釣りなど、 またお食事ご一緒させてくださいね。 メールで失礼ですが、お食事のお礼を申し上げます。 P.S. 季節柄、体調を崩しやすくなります。 ==================== |
相手の健康を気遣うときの追伸の例文
- 厳しい暑さが続きますが、くれぐれも夏バテしないようご用心くださいね。
- 寒い日が続いていますが風邪など引かれないようお気をつけください。
相手から追伸が送られてきたときの返信マナー
メールのやり取りをしている相手から追伸が入ったメールが送られてきたときは、本題への返事のあとに続けて、追伸への返答を書き加えて返信しましょう。冒頭でお伝えしたように追伸は「書き忘れたことを書き足す」ものとして使われるため、返信メールに追伸をつける必要はありません。
また、追伸は相手の気遣いや心遣いを書くのが一般的のため、メールで絶対に返事しなくてはならないものではありません。直接顔を合わせたときに「ありがとうございます」と相手の厚意に応えても良いでしょう。