6月の時候の挨拶【上旬・中旬・下旬の例文つき】

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6月・水無月の時候の挨拶【例文つき】

本来、手紙や文書は、相手に用件を伝えるための情報伝達の手段ですが、日本人の書く手紙には、それ以外にも守るべき日本独特の風習があります。

それはつまり、礼に始まり礼に終わる文化。

礼節をわきまえた文章を書くことが、手紙や文書を書く上では重要とされているのです。特に、文章のはじまりに書く、頭語・結語の組み合わせや、時候の挨拶を正しく使い分けるのは大事です。

相手との関係性や、手紙を送る時期に適した文章を書くためのポイントを、例文をふまえてお伝えしていきます。

6月の時候の挨拶を書く前に理解すべき2つのこと

時候の挨拶を書く前に理解しておくべき2つのポイントからお伝えします。

手紙の送付日によって「書き出し」がかわる

暖かい春の時期に「秋分の候」や「秋涼の候」といった秋の挨拶をつかうと不自然に感じるように、時候の挨拶は、手紙を出す時期に合わせる必要があります。

手紙を送付する日が、二十四節気(太陰太陽暦)や旧暦のいつ頃かによって、時候の挨拶もかわります。

まずは手紙を出す日が6月のいつ頃になるかを確認し、その上で、以下に記載している6月の二十四節気のどの時期に当てはまるかを理解しましょう。

  • 小満(しょうまん):5月21日頃~6月5日頃
  • 芒種(ぼうしゅ):6月6日頃~6月20日頃
  • 夏至(げし):6月21日頃~7月6日頃

※移り変わる時期を「頃」としているのは、その年によって季節感が異なるためです。

暖冬や冷夏、それに一足早い季節の訪れがあるように、その年によって季節が移り変わる時期・気候はさまざま。今の季節感に合う時候の挨拶を選びましょう。

6月の季語を入れる

時候の挨拶は、季節や天候に応じた心情や季節感を表す言葉。手紙にも6月の季語を使いたいものです。書くときの参考になる、6月の季語をご紹介します。

動物

蝉(ひぐらし)・燕(つばめ)・ホトトギス・仏法僧(ぶっぽうそう)・かたつむり・蛙(カエル)・あめんぼう

植物

あやめ・紫陽花(あじさい)・燕子花(かきつばた)・石楠花(しゃくなげ)・アマリリス・青梅・百日紅(さるすべり)

風物

衣替え・田植え・父の日・鮎釣り解禁・鵜飼い・蛍狩り・ジューンブライド

続いては6月に適した時候の挨拶と例文を、手紙を送る時期や相手との関係性別に見ていきましょう。

改まった手紙に適した「漢語調」の時候の挨拶・書き出し

漢語調の時候の挨拶は、ビジネス文書を書くときや、かしこまった表現を用いるときに適しています。

小満:6月上旬(6月5日頃まで)の時候の挨拶

6月上旬は、二十四節気のうち、小満(5月21日頃~6月5日頃)の時候の挨拶を用います。以下の表に読み方や意味についてまとめました。

時候の挨拶 読み方 意味・由来
万緑の候 ばんりょくのこう 草木が見渡す限り緑色に染まる頃
向暑の候 こうしょのこう 暑い季節に向かう今日この頃
薄暑の候 はくしょのこう 薄っすらと暑い季節が近づいてくる今日この頃
初夏の候 しょかのこう  夏の始まりを感じさせる季節

※「〇〇の候」は「〇〇というふうに季節も移り変わってきましたが」という意味です。

時候の挨拶の例文

文章の書き出しは、書式が決まっています。その順序は「頭語→時候の挨拶→相手の安否を気遣う挨拶→日頃の感謝→(主文・末文)→結語」です。

時候の挨拶を含めた、書き出しの例文をご紹介します。

丁寧な表現の例文

謹啓 万緑の候、貴社にはますますご隆盛の段、お慶び申し上げます。平素は特段のご配慮をいただき厚く御礼申し上げます。

(主文・末文省略)

謹白

謹啓は「つつしんで申し上げる」という意味。丁寧な文書に適しています。そのほかの相手を敬った表現の頭語は「粛啓・恭啓・謹白」などがあります。結語は「敬白・謹言・再拝」を記入します。

一般的な表現の例文

拝啓 初夏の候、貴殿ますますご清祥の由、何よりと存じます。日頃はなにかとご厚情をいただき誠にありがとうございます。

(主文・末文省略)

敬具

親しい間柄の人に送る場合や、一般的な表現を用いるときは、上記のように、頭語は「拝啓」、結語は「敬具」にしましょう。

芒種:6月中旬(6月6日頃~6月20日頃)の時候の挨拶

6月中旬は、二十四節気のうち、芒種(6月6日頃~6月20日頃)の時候の挨拶を用います。読み方や意味を以下に記載します。

時候の挨拶 読み方 意味・由来
入梅の候 にゅうばいのこう 梅雨に入る季節が訪れる今日この頃
長雨の候 ながあめのこう うっとうしい雨が降り続く季節
紫陽花の候 あじさいのこう 美しい紫陽花が咲く季節となりました
芒種の候 ぼうしゅのこう  種蒔きの時期が訪れました

芒種の意味を解説します。「芒(のぎ)」は、稲や麦などのイネ科の植物の先端にある、棘(とげ)のような突起がある部分を指し、穀物の種をまく時期とされていました。

時候の挨拶の例文

6月中旬の時候の挨拶をご紹介します。

丁寧な表現の例文

謹呈 長雨の候、貴社にはますますご隆盛の由、慶賀の至りに存じます。日頃は種々ご高配にあずかり厚く御礼申し上げます。

(主文・末文省略)

謹白

頭語の「謹呈」は「つつしんで申し上げます」、「隆盛」は「勢いが盛んなさま」という意味です。「慶賀」は「喜び、祝うこと」。言葉の意味を理解し、相手にふさわしい言葉かどうか見極めましょう。

一般的な表現の例文

拝啓 芒種の候、貴殿におかれましてはいよいよご健勝の趣、何よりと存じます。平素はなにかとお引き立てを賜り誠にありがとうございます。

(主文・末文省略)

敬具

「健勝」は「健康で元気なさま」の意。ビジネス文書の頭語は一般的に「拝啓」、結語は「敬具」を用いますが、相手が目上の人の場合、「謹啓・謹白」といった相手を敬う表現の頭語・結語をつかいましょう。

夏至:6月下旬(6月21日頃以降)の時候の挨拶

6月下旬は、二十四節気のうち、夏至(6月21日頃~7月6日頃)の時候の挨拶を用います。以下に読み方や意味を記載します。

時候の挨拶 読み方 意味・由来
夏至の候 げしのこう 日の出から日没までの時間が長くなるこの時期
短夜の候 たんやのこう 夏至の時期が訪れる今日この頃
梅雨晴れの候 つゆばれのこう 梅雨が明けて晴れ間をみせる今日この頃
霖雨の候 りんうのこう  幾日も降り続く雨の季節

※「〇〇の候」以外にも、「〇〇のみぎり」「〇〇の折」もつかえます。

時候の挨拶の例文

丁寧な表現の例文

恭啓 夏至の候、貴社におかれましてはますますご盛栄の由、お慶び申し上げます。平素は格別のご愛顧をいただき厚く御礼申し上げます。

(主文・末文省略)

頓首

恭啓は「うやうやしく申し上げる」、盛栄は「商売などが盛んになること」という意味です。

一般的な表現の例文

拝呈 梅雨晴れの候、貴殿いよいよご健勝の段、何よりと存じます。毎々ひとかたならぬお心遣いを賜り誠にありがとうございます。

(主文・末文省略)

敬具

健勝は「健康で元気な様子」の意です。時候の挨拶に限らず、言葉の意味を理解して用いるようにしましょう。

親しい人に送る「口語調」の時候の挨拶

気心の知れた友人や長年の付き合いのある相手に手紙を送るときは、堅苦しい挨拶を避けて、やわらかい表現の口語調を用います。親しい相手に送る時候の挨拶をご紹介していきます。

小満:6月上旬(6月5日頃まで)の時候の挨拶・結びの言葉

季節感のある挨拶と、慣用句として使いやすい結びの言葉は以下のとおりです。

時候の挨拶

今年もはや衣替えの季節となりましたが、つつがなくお過ごしのことと存じます。

初夏のさわやかな風が木々の緑とたわむれる頃となりました。

梅雨がもうそこまでやってきておりますが、お変わりございませんか。

田になみなみと水が張られ、いよいよ田植えの季節となりました。

くちなしの甘い香りが漂ってくる季節となりました。

入梅を間近に控え、落ち着かないお天気が続いています。

梅雨めいた曇り空の下、今年もいよいよ田植えが始まりました。

今年も大好物のさくらんぼが店頭に並ぶ季節となり、うれしくてなりません。

結びの言葉

若葉の色鮮やかなこの季節、ますますのご発展をお祈りしております。

もうすぐ梅雨がやってまいります。どうかご自愛専一に。

梅雨入りも間近ですが、お健やかな日々をお過ごしください。

入梅とは、梅雨の季節に入ること。例年、6月11日頃になります。逆に梅雨の季節が終わることは「出梅」「梅雨明け」といい、7月10日頃となります。

時候の挨拶の例文

丁寧な表現の例文

謹啓 今年もはや衣替えの季節となりましたが、つつがなくお過ごしのことと存じます。近頃諸事ご多忙と承り、ご健康をお案じ申し上げます。日頃は何かとご高庇にあずかり、厚く御礼申し上げます。

(主文省略)

若葉の色鮮やかなこの季節、ますますのご発展をお祈りしております。

謹白

衣替えとは、衣服を夏物に替えること。学校などでは6月1日から制服を夏物に替えるところが多いです。

一般的な表現の例文

拝啓 くちなしの甘い香りが漂ってくる季節となりました。時下ますますご清栄のことと存じます。常々たくさんのお心尽くしをいただき、感謝の念にたえません。

(主文省略)

梅雨入りも間近ですが、お健やかな日々をお過ごしください。

敬具

くちなしとは、アカネ科の常緑低木。初夏に、香りの強い白い花を咲かせます。

芒種:6月中旬(6月6日頃~6月20日頃)の時候の挨拶・結びの言葉

6月中旬に適した時候の挨拶・結びの言葉は以下のとおりです。

時候の挨拶

長雨のみぎり、お変わりはございませんでしょうか。

梅雨晴れの一日、夏本番を思わせる強い日差しとなりました。

雨に濡れたあじさいの花が、ひときわ鮮やかに咲き競っております。

重くのしかかってくるような曇天の日々が続いております。

連日の雨模様がうらめしく思われるこの頃、お元気ですか。

梅雨の中休み、ひさしぶりの青空が気持ちいい一日となりました。

梅雨に入り、花のように色とりどりの傘が街に開きました。

じめじめと湿っぽい毎日ですが、気持ちだけはカラッといきたいですね。

結びの言葉

思わぬ梅雨寒に、お風邪など召されませんように。

梅雨晴れの青空を期待しつつ、皆様のご健康をお祈りいたします。

うっとうしいこの季節、気持ちだけはさわやかにまいりましょう。

梅雨晴れとは、梅雨の季節に、一時だけ空に晴れ間が広がることの意です。

時候の挨拶の例文

丁寧な表現の例文

粛啓 梅雨晴れの一日、夏本番を思わせる強い日差しとなりました。あなた様にはその後もお変わりなく、ご精勤なさっていることと拝察いたします。私事ではございますが、当方一同無事消光いたしておりますのでご安心ください。

(主文省略)

思わぬ梅雨寒に、お風邪など召されませんように。

頓首

一般的な表現の例文

拝啓 雨に濡れたあじさいの花が、ひときわ鮮やかに咲き競っております。日々お元気でお勤めのこととお喜び申し上げます。私どもも誰一人病気もせず、壮健にしておりますのでご安心ください。

(主文省略)

梅雨晴れの青空を期待しつつ、皆様のご健康をお祈りいたします。

敬具

紫陽花(あじさい)は、ユキノシタ科の落葉低木のことです。初夏に、球状に小さな花が集まり咲きます。花の色はおおよそ紫色ですが、青味が加わったり、赤くなったりと、日ごとに変化を見せます。

夏至:6月下旬(6月21日頃以降)の時候の挨拶・結びの言葉

6月下旬に適した時候の挨拶・結びの言葉は以下のとおりです。

時候の挨拶

青田をわたる風もさわやかな頃となりました。

いつ晴れるとも知らぬ梅雨空を、窓越しにうらめしく仰ぐばかりの毎日です。

雨後の新緑がひときわ濃く感じられる今日この頃です。

梅雨明けが待ち遠しい今日この頃、ご壮健にてお過ごしのことと存じます。

梅雨前線が停滞し、今年の梅雨は長引きそうです。

五月雨の風情にもはや飽き、からりと晴れた夏空が待たれる今日この頃です。

夏至を過ぎたとはいえ、梅雨寒にふるえるような日もございます。

我が家では今年も青梅を瓶に詰め、梅酒をつくりました。

結びの言葉

この梅雨を無事に乗り越えられますよう、お祈りいたしております。

この時期、食中毒など起こされませんようお食事にはご用心ください。

梅雨明けを心待ちにする毎日、どうかお元気でお過ごしください。

青田とは、田植えが終わり、稲の色によって青々と見える水田のことです。

時候の挨拶の例文

丁寧な表現の例文

謹呈 梅雨前線が停滞し、今年の梅雨は長引きそうです。あなた様にはその後もお変わりなく、ご精勤なさっていることと拝察いたします。私どもは皆変わりなく壮健に暮らしておりますので、余事ながらご休心ください。

(主文省略)

この梅雨を無事に乗り越えられますよう、お祈りいたしております。

謹白

一般的な表現の例文

拝啓 五月雨の風情にもはや飽き、からりと晴れた夏空が待たれる今日この頃です。皆様お障りなくお過ごしでしょうか。私どもも誰一人病気もせず、壮健にておりますのでご安心ください。

(主文省略)

梅雨明けを心待ちにする毎日、どうかお元気でお過ごしください。

敬具

梅雨前線(ばいうぜんせん)とは、6月から7月にかけて、日本の上空に停滞して長雨を降らせる前線のことです。

さいごに

時候の挨拶は一般的に、手紙を送る相手に合わせるものです。

6月の季節をあらわす梅雨は、北海道ではほとんど降りません。※北海道でも、まれに梅雨のように雨が降り続くことがあり、その雨を「えぞ梅雨」と呼びます。

そのため、相手の季節感に合わせた時候の挨拶を書くことを心がけましょう。

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