取引先に対して不良品を納入したときは、お詫び状を出すのがマナーです。相手が最も知りたい情報は、こちらの誠意ある対応です。お詫び状では、早急に不良品を交換する方法と、混入した原因が不明の場合でも積極的に対応していることを伝えるのが基本です。
ここでは、不良品を納品してしまったときのお詫び状の書き方や、手紙を書くときに心がけておきたいマナーについてお伝えします。文例もご紹介するので、お詫び状を書くときの参考にしてくださいね。
不良品のお詫び状のマナー
まずは、不良品を納品したときのお詫び状を書くときに心がけておきたいマナーや、押さえておくべきポイント、注意事項について理解しておきましょう。
同じミスを繰り返さないと誓う
不良品納入が発生したら、ただちに対応するのが基本です。まずは先方からの指摘を真摯に受け、お詫びの言葉を述べます。一般的に、正式なお詫びは文書ですが、一刻も早く返事をするにはメールや電話などの連絡手段も含めて対応しましょう。
文書、メール、電話、ファックスのいずれかで、対応策や原因の究明についてきちんと説明し、最後に同じミスを繰り返さないと誓いの言葉を述べ、今後の取引の継続をお願いしましょう。言い訳をしたり、無責任な発言をしたりしないよう注意しましょう。
善後策についても明記しておく
欠陥品を混入してしまった原因や、今後同じミスを繰り返さないための対策をお詫び状に明記するのはもちろんですが、先方が最も気にするのは、納入した不良品を今後どのように対応してもらえるかということ。返金による対応とするのか、早急に代替品と交換するのかについても文面に記しておくと、相手は安心します。
不良品のお詫び状の書き方
つづいては、不良品を納品したときのお詫び状の基本構成についてご紹介します。詫び状は、書式に則って明記するのがマナー。構成要素とポイントは図の下に記載しておきます。
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不良品のお詫び状の文例
さいごに、不良品を納品したときのお詫び状の文例をご紹介します。文例のあとに記載しているポイントについても目を通しておいてくださいね。
文例1
平成〇〇年〇月〇日 株式会社〇〇〇 総務部 〇〇〇〇様 株式会社〇〇〇〇 〇〇〇〇 不良品納品のお詫び 拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 さて、ご返送いただきました弊社商品「〇〇〇〇」を品質管理部が検査したところ、ご指摘のとおり、重量に〇gの誤差があることが判明しました。検査に万全を期し〇個中〇個の抜き取り検査をしておりましたが、このような事態となり心よりお詫び申し上げます。 弊社では、原因解明をするため貴社へ納入いたしました商品を全数回収させていただきたいと考えております。代品は全数検査したものを本日送付いたしました。また、返品に際して生じた費用に関しましては当社にご請求くださるようお願いいたします。 また、本不良の原因が判明し対策が講じられるまでは、全数検査を実施することといたしました。 今後はこのようなご迷惑をかけないよう検査体制をさらに強化しますので、何卒ご容赦のほどお願い申し上げます。 なお、本トラブルの原因と対策に関しましては至急明らかにし、別途ご報告いたします。 敬具 |
製品の品質問題は、今後の取引に大きく影響してくるため、慎重かつ迅速な対応を心がけます。文面では、お詫びの言葉を添えるのはもちろん、引き続き誠意を持って対処していく意思を見せることが大切です。
文例2
平成〇〇年〇月〇日 株式会社〇〇〇 工事部長 〇〇〇〇様 株式会社〇〇〇〇 営業部長 〇〇〇〇 弊社「〇〇〇」不良品納品のお詫び 拝啓 時下ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。平素はひとかたならぬご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。 さて、〇月〇日付で納品しました「〇〇〇」に、一部不良品が混入していたとのご連絡をいただいた件、誠に恐縮に存じ、深くお詫び申し上げます。 つきましては、ご都合のよろしい日時に、弊社営業担当の〇〇がお伺いし、不良品を交換させていただきたいと存じます。 従来、弊社におきましては厳重な品質管理を行っており、このようなことは初めての経験でございます。今回どの段階で遺漏が生じたのか入念に調査しております。原因がわかり次第、またご連絡いたしたいと存じますが、今後はこのようなことのないよう体制を強化する所存でございますので、何卒ご容赦くださいますようよろしくお願い申し上げます。 まずは略儀ながら書面をもってお詫びを申し上げます。 敬具 |
不良品混入のお詫び状で誠意が伝わる文書には、かならず「お詫びの言葉」「早急に不良品を交換する方法」「同じミスを繰り返さないための改善策」の3点が明記されています。不良品混入におけるミスは、たった一度起こっただけでも、企業の管理体制に不信感を与える重大なこと。対応には十分注意しましょう。
文例3
平成〇〇年〇月〇日 株式会社〇〇〇 工事部長 〇〇〇〇様 株式会社〇〇〇〇 営業部長 〇〇〇〇 不良品出荷のお詫び 拝復 平素は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。 さて、〇月〇日出荷の「〇〇〇」に一部欠陥品が混入していたとのこと、誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。さっそく、明日着荷の便で代替品を発送いたしました。 欠陥の原因につきましても、明日、弊社の担当者を派遣して調査申し上げたく存じます。ご迷惑とは存じますが、それまで欠陥品の保管をお願い申し上げます。 また、調査の結果がわかり次第対策を講じて、今後このような不祥事が起こりませんよう、鋭意努力する所存でございます。 まずは書中にてお詫び申し上げます。 敬具 |
文面では、お詫びを述べ、すぐに代替品を発送したことを伝えます。原因を究明するには、不良品の現物を調査する必要がある場合、「調査結果がわかり次第…」という一文でまとめます。後日、調査の結果と善後策を報告すると、先方の印象も良くなるため、できる限り伝えるほうが望ましいといえます。
文例4
平成〇〇年〇月〇日 株式会社〇〇〇 工事部長 〇〇〇〇様 株式会社〇〇〇〇 営業部長 〇〇〇〇 不良品のお詫び 拝復 貴社におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。平素はひとかたならぬご厚誼を賜り深謝申し上げます。 さて、〇月〇日付で貴社に納品いたしました弊社製品「〇〇〇」に一部不良品が混入していたとのこと、誠に申し訳ございません。深くお詫びいたします。 さっそく明日〇月〇日着荷の便で代替品を配送いたしました。お手数をおかけして誠に恐縮ですが、不良品は着払いにてご返送くださいますようお願い申し上げます。 弊社では今回の製品不良が発生した原因につきまして、入念に調査中でございます。今後このような不祥事が起こりませんよう、十分な対策を講じる所存でございますので、引き続きご高配を賜りますようお願い申し上げます。 まずは書中にてお詫び申し上げます。 敬具 |
件名には「お詫び」という言葉を入れ、謝意を強調します。不良品が混入したことをお詫びすることはもちろん、返送の手間をかけさせることについてもお詫びしましょう。