法要・法事の案内状の書き方|文例つき

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法要・法事の案内状の書き方|文例つき

法要・法事の日取りが決まったら、早めに案内状を発送しましょう。誰のどんな法要なのか、日時や場所、食事の用意の有無など、必要な情報をわかりやすく簡潔に記し、参加を願います。悲しみなどの心情を長くつづらないようにしましょう。

ここでは、法要・法事の案内状の書き方や、マナーについてお伝えします。案内状の文例もご紹介するので、手紙やはがきを書くときの参考にしてくださいね。

法要・法事の案内状のマナー

まずは、法要・法事の案内状を書くときのポイントをお伝えします。相手に失礼のないよう、マナーや注意点について理解しておきましょう。

仏式の追悼法要・年忌法要について

法要・法事は、故人を追善・供養するための儀式であり、亡くなった人を偲ぶ節目。法事や法要は、身内だけでおこなう場合と、お世話になった方々にも案内状を送って参加していただく場合があります。どのタイミングの法要で案内状を送る必要があるのか、まずは理解しておきましょう。

仏式の法要には大きく分けて追悼法要と年忌法要の2種類があります。

追悼法要は、「初七日」から始まり、7日ごとに「四十九日」までの7回と、「百か日法要」を加えた合計8回行います。初七日は葬儀当日に繰り上げて行うことが多く、また、四十九日法要と百か日法要も合わせて行うことが多くなっており、親戚や友人、知人を招くのは「葬儀当日」と「四十九日(七七日忌)」となっています。ほかは、身内だけで行うのが一般的です。

年忌法要は祥月命日(故人が亡くなった月日と同じ月日)に合わせて行う法要で、とくに「一周忌」は僧侶、親戚、友人、知人を招いて盛大に行います。「三回忌」「七回忌」は親戚や縁の深かった人を招いて行いますが、「十三回忌」以降は身内だけで行うことが多いようです。「三十三回忌」をもって弔い上げとします。

つまり、法要・法事の案内状を出すのは、追悼法要の「七七日忌(四十九日法要)」、年忌法要の「一周忌」「三回忌」「七回忌」となっています。

法要・法事の案内状を出す時期

案内状は、法要をおこなう1ヶ月前までに送るのが礼儀です。相手の都合を考慮して早めに手配しましょう。

封書で案内状を出す場合は、出欠確認をおこなうための返信用はがきを同封します。最近は、往復はがきを用いて案内状を送るケースも増えていますが、はがきはあくまで略式です。参加を呼びかける相手との関係性から、どちらで送るかを検討しましょう。

また、出欠の返信は、会場の手配や準備期間を考慮して、少なくとも2週間前には手元に届くよう、返信用はがきに期日を明記しておきましょう。

句読点はつけない

礼儀を重んじる弔事の手紙では、句読点をつけないことで相手に敬意を示す習慣があります。そのため、法要・法事のは、句読点(「、」「。」)をつけず、1字空きにするのが一般的です。案内状以外でも、会葬礼状や死亡通知などの儀礼的な手紙では、句読点を用いません。使わないように注意しましょう。

おめでたい表現の使用はNG

法事や法要の案内状では、前文を書くときに「喜ぶ」「慶ぶ」などの表現は用いないよう、注意しなくてはなりません。少なくとも一周忌までは不謹慎な表現とされるため、避けたほうが無難です。

具体的には、前文の「相手の安否を気遣う言葉(健勝を祝う言葉)」は「お喜び(お慶び)申し上げます」を用いず、「ご健勝にてお過ごしのことと存じます」「ご清祥のことと拝察申し上げます」「皆様お変わりございませんか」などの表現にとどめましょう。

法要・法事の案内状の書き方

つづいては、法要・法事の案内状の基本構成と書き方についてご紹介します。案内状は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。

法要・法事の案内状の書き方

弔事に関する手紙は縦書きが基本です。親しい間柄の人に宛てる場合でも、カジュアルな印象を与える横書きは不適切です。間違えないよう注意しましょう。

  • 前文:法要・法事の案内状は「頭語(拝啓)」「時候の挨拶」「相手の安否を気遣う挨拶」の順番に、形式に従って明記します。
  • 主文:主文では「会葬のお礼」「法要の案内」「法要の誘い」などを書き添えます。
  • 末文:末文は「結びの挨拶」で文章を締めくくり、改行して行末に「結語(敬具など)」を書きます。結びの挨拶では、「出欠の返信のお願い」を書く場合もあります。結語の書き忘れに注意しましょう。
  • 後付け:「但し書き」「日付」「喪主名」の順に書きます。但し書きでは、服装の案内や供花・供物の辞退、返信期日などを示します。日付は、文頭から2字下げて、和暦で発送年月日を明記しましょう。

法要・法事の案内状の文例

四十九日法要(七七日忌)の案内

謹啓 紅葉の候 皆様にはご健勝にてお過ごしのことと存じます
さて 来る十一月三日は亡父〇〇の七七日忌にあたります
つきましては十一月一日(日)午前十時より〇〇寺にて法要を営み あわせて納骨をいたしたく存じます
ご多用中誠に恐れ入りますが 何卒ご参列賜りますようお願い申し上げます
なお当日は粗餐の用意がございます
まずは右ご案内申し上げます
                                         謹白

出欠の連絡をお願いする場合は、文例中の下線部を「なお法要後 粗餐を差し上げたく 恐れ入りますがご来否のほどご一報いただければ幸いでございます」「なお当日は粗餐の用意をいたしておりますのでお手数ながらご都合のほどを〇月〇日までに同封はがきにてお知らせください」と書き換えるとよいでしょう。

一周忌法要の案内(1)

謹啓 向春の候 皆様におかれましてはますますご清祥のことと拝察申し上げます
さて ときの流れは早いもので来る四月二日には亡父〇〇の一周忌を迎えます
つきましては生前ご親交を賜りました皆様にお集まりいただき 左記のとおり法要を営みたいと存じます
ご多用のところまことに恐縮ではございますが何卒ご臨席賜りますようよろしくお願い申し上げます
                                         啓白
                   記
  日時 三月二十七日(日曜日)午前十一時より
  場所 〇〇寺本堂(大阪府大阪市中央区見本町〇-〇-〇)
 法要後 引き続き 粗餐を差し上げたく おふくみおきのうえお運びください
  平成〇〇年〇月〇日
                                   喪主   〇〇〇〇

文例中の下線部は「心ばかりの法要を営みたく左記のとおりご案内申し上げます」と書き換えることができます。ちなみに「粗餐(そさん)」とは、人に出す食事をへりくだっていう言葉のことです。食事、ご馳走を表す「餐」に「粗」をつけた謙譲語であり、「粗飯」ともいいます。

一周忌法要の案内(2)

拝啓 菊薫る季節となりました 皆様にはお健やかにお過ごしのことと存じます
夫 〇〇儀 逝去の際はご丁寧なご祝辞ならびにご芳志をいただきまして 誠にありがたく 厚く御礼申し上げます
さて 夫〇〇が他界してから早一年 来る十月六日には一周忌の命日を迎えます
つきましては左記のようにささやかな法要を営みたいと存じます 法要後は〇〇駅前の「割烹〇〇」にて粗餐をご用意いたしておりますので ご多用中のところ恐れ入りますが ご来駕を賜りますようお願い申し上げます
                                         敬具
                   記
  日時 十月六日(日)午前十一時より
  場所 〇〇寺本堂(神奈川県横須賀市見本町〇-〇-〇)
     地下鉄〇〇駅一番出口から徒歩三分
なお、服装は平服にてお越しください また ご供物ご供花の段は固くご辞退申し上げます
  平成〇〇年〇月〇日
                                   喪主   〇〇〇〇

葬儀からある程度時間が経過した法要への案内では、頭語と季節の挨拶を入れるのが礼儀です。ただし弔事なので、繁栄を寿ぐ言葉や、相手の健勝を喜ぶ言葉は控えます。葬儀のときに世話になったお礼や、会葬のお礼を述べるとともに、食事の接待があることも必ず記載しましょう。上記の文例のように、法要の日時と場所は別記にまとめて記すのが一般的です。

一周忌法要の案内(3)

謹啓 秋冷の候 ますますご清祥のことと拝察申し上げます
早いもので来る十月二十七日は亡夫〇〇の一周忌にあたります
つきましては十月二十五日(日)午前十時から〇〇寺においてささやかな法要を営みたいと存じます
ご多用中誠に恐縮ではございますが ぜひともご参会賜りますよう ご案内申し上げます
なお法要後は別席にて粗餐をご用意いたしておりますので ご都合をお知らせいただければ幸いです
                                         敬白
お手数ですが十月十日までに同封のハガキにてご返信ください

法事・法要の案内状は形式的な手紙ですが、一年が過ぎ、少しずつ元気を取り戻している様子が伝えられるとよいでしょう。文例中の下線部は「粗餐をご用意させていただきますので 故人を偲び 思い出話などをお聞かせください」などと書き換えもできます。

三回忌法要の案内

謹啓 桜の花も開花し始め麗らかな季節となりましたが 皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか
私ども遺族も大過なく暮らしております
早いもので 父〇〇が他界してから二年が経とうとしています 来る四月二十日は故人の祥月命日で三回忌に当たります
つきましては 左記のとおり心ばかりの法要を営みたく存じます
法要後は 供養のしるしに粗餐を差し上げたく存じますので ご臨席を賜りたくお願い申し上げます
                                         謹言
                   記
  日時 四月二十日(日曜日)午前十一時より
  場所 〇〇寺本堂(大阪府大阪市中央区見本町〇-〇-〇)
なお 返信はがきを同封いたしましたので ご都合のほどを 四月十日までにご一報くださいますようお願い申し上げます

法事の案内状は基本的には招待状です。便宜上、出席を確認しなければならないときは返信はがきを同封します。返信はがきをつける場合は、返事の期日を明示しましょう。また、会場がわかりにくいか心配があるときは、問い合わせできる電話番号を付記するか、詳しい行き方を示したうえ、地図を添えるといいでしょう。

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