通夜・葬儀に参列しなかった方から、お悔やみ状や供花、供物、弔電をいただく場合があります。その場合は、お礼の手紙を出すのが基本です。受け取っていることを通知するとともに、感謝の気持ちを伝えましょう。
ここでは、お悔やみ状の返信・お礼の手紙の書き方やマナーについてお伝えします。手紙の文例もご紹介するので、書くときの参考にしてくださいね。
目次
お悔やみ状への返信・お礼の手紙のマナー
まずは、お悔やみ状のお礼の手紙を書くときのポイントをお伝えします。相手に失礼のないよう、お悔やみ状のマナーや注意点について理解しておきましょう。
お悔やみ状のお礼は形式に則り礼儀正しく書く
お悔やみをいただいた方には、あらためてお礼の手紙を書いて送るのがマナーです。弔事の手紙は、さまざまな手紙のなかでも特に礼儀が求められます。
形式にのっとり、普段は使わない儀礼的な慣用句もまじえて、お礼の気持ちを伝えましょう。特に、親しい間柄の友人などに手紙を書くときは、文面がカジュアルになりすぎないよう注意しなくてはなりません。
お悔やみ状に香典が同封されていた場合
お悔やみ状に香典が同封されていた場合は、忌明け(七七日忌、五十日祭)に「香典返し」を送りましょう。まずはお礼の手紙を送りますが、そのなかの一文に、香典返しを発送した旨についても書き添えておきます。
忌明けがないキリスト教の場合も、ひと月後の召天記念日や追悼ミサのあとに記念品を贈ることが多いようです。これらの節目には礼をつくすことが大切です。
お悔やみ状への返信・お礼の手紙の書き方
つづいては、お悔やみ状のお礼の手紙の基本構成と書き方についてご紹介します。お悔やみの手紙は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。
弔事に関する手紙は縦書きが基本です。親しい間柄の人に宛てる場合でも、カジュアルな印象を与える横書きは不適切です。間違えないよう注意しましょう。
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お悔やみ状への返信・お礼の手紙の文例
父の友人へ
拝復 このたびは、父〇〇〇〇の永眠に際しまして、ご懇篤なるご弔慰のお手紙と過分なるご香料を賜り、厚く御礼申し上げます。 〇〇様には、父の長期にわたる入院中にも幾度もお見舞いいただき、誠にありがたく、家族一同、感謝の気持ちでいっぱいです。 父も、〇〇様とお話ししていると元気だった頃を思い出すのか、とても楽しそうで、〇〇様が帰られたあともしばらくは、嬉しそうに昔話をしておりました。私自身も、仕事と看病の疲れで心が折れそうな中、〇〇様からいただいた温かいお言葉に励まされ、父を最期まで看取ることができました。誠にありがとうございます。 父にかわりまして生前のご厚情に深謝いたしますとともに、今後も変わらぬご指導ご厚誼をお願い申し上げます。 略儀ながら、まずは書中にて御礼まで申し上げます。 敬具 |
文例中の下線文は「このたびは亡父〇〇の永眠に際しまして、お心の込もったお悔やみを賜り、誠にありがとうございました」「〇〇の逝去に際し、ご懇切なご弔慰のお言葉を賜り、かつご丁重なご厚志までお送りいただき、心より御礼申し上げます」などと書き換えることができます。
故人との生前の親交に感謝するとともに、可能なら具体的なエピソードを書き添えましょう。
友人へ(1)
拝啓 先日は父の死去に際し、励ましのお手紙とお供物をいただき、ありがとうございました。覚悟はしていましたが、やはり今は悲しみが先に立ちます。でも、悲しんでばかりもいられないと気を取り直しているところです。 これからは、子どもたちと力をあわせ、暮らしていこうと思います。いつも気遣ってくれて、本当にありがとう。〇〇さんも体に気をつけてね。ご主人にもどうぞよろしく。まずはお礼まで。 敬具 |
相手の名前を出して感謝することで、その人に対する感謝だということが、はっきりと伝わります。同居の子どもがいない場合は、文例中の下線部を「きっと夫も見守っていてくれることでしょう」と書き換えましょう。
友人へ(2)
拝復 このたびは、お心の込もったお悔やみをいただきありがとうございました。早速霊前に供えさせていただきました。 母が倒れてからのこの半年間は、とにかく毎日がめまぐるしく、初七日を終え、ようやく時間に追われることもなくなりました。葬儀の際には忙しくて実感がなかったけれど、ここにきて母の不在が身にしみる毎日です。今は、母のことを思い出すだけで涙が止まらず、もっと親孝行すればよかったと後悔することばかりですが、母のためにも早く立ち直らなくては、と思っています。 〇〇さんにもご心配をおかけしました。でも、もう大丈夫です。今回のお礼も兼ねて、近いうちにごはんでもご一緒しましょう。 また連絡しますが、取り急ぎお礼まで申し上げます。 かしこ |
相手からの励ましの言葉や、厚意に感謝する気持ちを伝えましょう。また、できるだけ落胆している様子を表さないようにして、前向きな印象を与えることも大切です。深刻になりすぎると、かえって相手を心配させてしまいます。
亡き妻の知人へ(1)
先般、妻〇〇の永眠に際しましてはご丁重なお悔やみのお手紙をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。そのうえ、過分なるご芳志まで賜りまして誠にありがとうございました。 すぐにお礼状をお送りすべきところですが、悲しみの中では何をするのも億劫で、筆をとるのも今日に至ってしまいました。申し訳ございません。 あなた様の温かい励ましを受けて気持ちが落ち着き、残された者が力を合わせ、頑張らねばという気力が湧いてまいりました。ご厚情に感謝申し上げます。 このたび、四十九日の法要を営み、納骨を済ませましたので、心ばかりの品をお送りさせていただきました。ご受納ください。 本来ならば拝眉のうえ、お礼を言上しなければならないところですが、略儀ながら書中にてお礼のご挨拶とさせていただきます。 |
生前の故人がお世話になったことへのお礼を述べ、励ましの言葉に対する感謝の気持ちを表します。また、故人の気持ちを代弁するような文言を用いても、失礼にはなりません。言葉遣いが丁寧であれば、相手への深い感謝の気持ちをより強く表現することができます。
亡き妻の知人へ(2)
謹啓 このたびの妻〇〇の死去に際しましては、お心のこもったお悔やみに、ご供花、また過分なご香料まで頂戴いたしまして、まことにありがとうございました。謹んでお受けし、霊前にそなえさせていただきました。 〇〇様をはじめ多くの方のあたたかいお心遣いに支えられ、葬儀もとどこおりなくすませることができました。美しい花に囲まれて、妻も心やすらかに旅立っていったことと存じます。 〇〇様のお名前は妻よりよく聞いておりました。長く賜りましたご厚情に、妻にかわりまして家族一同深く感謝申し上げます。 本来であれば、うかがってお礼申し上げるべきところではございますが、略儀ながら書中をもってごあいさつ申し上げます。 謹白 |
「ご香料」は、仏式の場合の書き方です。キリスト教式の場合は「お花料」、神式の場合は「お玉串料」「お榊料」と書き添えます。