事故で骨折や怪我をした相手に手紙を送るときは、病気のお見舞いと同様、相手を思いやり、回復を願う気持ちを込めることが大切です。また、突発的な出来事に動揺している家族へのいたわりや励ましも添えることが大切です。
ここでは、事故のお見舞いの手紙の書き方やマナーについてお伝えします。お見舞いの文例もご紹介するので、手紙を書くときの参考にしてくださいね。
目次
事故のお見舞いのマナー
事故のお見舞いの手紙を書くときは、気をつけないといけないポイントがたくさんあります。まずは、お見舞いのマナーや注意点について理解しておきましょう。
早めに封書を出す
交通事故の知らせを聞いたり、怪我をして入院することを知ったら、すぐにお見舞いの手紙を出すのがマナーです。事故の直後は相手も落ち着かず、迷惑をかけてしまうことから、すぐにお見舞いに伺うことは控え、代わりに手紙を出しましょう。
手紙を書くときは、事故を起こしたときの様子や怪我の状態について、しつこく聞かないよう注意しなくてはなりません。事故の状況を思い出し、相手に不安感や不快感を与えることがあります。必要以上の同情も控えましょう。
時候の挨拶は省く
急いで相手を見舞う手紙では、時候の挨拶などの前文は省略し、「事故にあわれたとお聞きし、お見舞い申し上げます」などの安否を気遣う言葉から書き出します。
頭語も省略できますが、目上の人に出す場合は「急啓」「急呈」などをつかい、結語は「草々」「不一」などで結ぶと丁寧です。
忌み言葉の使用は避ける
忌み言葉とは、病状が長引くことや繰り返すことなど、不吉なことを連想させる言葉です。事故のお見舞いの手紙を書くときは、以下の言葉を用いないようにしましょう。
- 事故見舞いの忌み言葉:再び、再度、重ね重ね、たびたび、たまたま、返す返す、繰り返す、死、逝く、四(死)、九(苦)、苦しい、寝つく、根づく、寝込む、衰える、枯れる、落ちる
その他の忌み言葉については、忌み言葉の一覧をご覧ください。
追伸はNG
「追伸」は、主文で書き漏らしたことや念押ししたいことなどを、手紙の後付けのうしろに追記したいときに用いる文章の構成要素のひとつです。
追伸は、忌み言葉同様、繰り返しを連想させてしまうため、お見舞いの手紙では使用を控えなければなりません。相手を気遣い、励ます文面にすることを心がけましょう。
事故のお見舞いの書き方
つづいては、事故のお見舞いの基本構成と書き方についてご紹介します。お見舞いの手紙は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。形式に従って書きましょう。
|
事故のお見舞いの文例
事故のお見舞い
急啓 事故にあい骨折されたと聞いて、大変驚いております。痛みのほうは、いくぶんか落ち着かれましたでしょうか。 大事には至らなかったとのことですが、三週間ほど入院するとうかがいました。病院での生活は何かと制限もあり、いつも活動的な〇〇様にとってはご不便なことも多いかと思います。ご家族の皆様もとても心配されていることでしょう。看病の疲れが出ないよう皆様にもよろしくお伝えください。 〇〇様のご容体を職場の仲間も心配しています。月末には、〇〇様の好物を持って、お見舞いに伺います。家のことも気になられると思いますが、どうぞ十分に養生なさってください。まずは取り急ぎ書中にて失礼いたします。 草々 |
心配しているのは自分だけではないということを伝えるのも、相手にとってよい励ましになります。怪我が重い場合は「ご家族のご心痛を考えると言葉もございません。どうぞお気持ちを強くもたれて、私でお役に立てることがあれば、何なりとお申しつけください。」などと書き添えるとよいでしょう。
交通事故の入院見舞い
さっそくですが、その後おかげんはいかがですか。 事故に遭われてご入院と聞いたときは、本当に驚きました。しかし、詳細を伺いますと、大変な大事故だったそうですね。足の骨折だけですんだのは、失礼ながら幸運だったといえるかもしれません。運転の上手なあなただから、軽傷ですんだのかもしれないと推察しております。 お仕事のことなど気がかりも多いことでしょうが、この際はご入院を天の配剤とお考えになり、治療に専念なさることです。 近々お見舞いに伺います。どうぞお大事になさってください。 |
交通事故では事故の責任の所在で表現が変わってきます。事故原因についてはふれず、けがの回復を祈る言葉を主体にしましょう。
怪我のお見舞い
〇〇からアキレス腱を切ったと聞いて、びっくりしました。テニスをしている最中だったとか。 きっと張りきって、学生のときのように動き回っていたのでしょう。ギプスをしての生活はさぞ不自由だと思いますが、この際、ご主人やお子さんに甘えてもいいと思います。家事など手伝ってもらい、みんなで乗り切ってくださいね。 お見舞いに、△△の好きな果物を送ります。また電話します。 |
友人に宛てる手紙の文例です。親しい間柄の友人には、あらたまった表現を用いるよりも、普段の会話と同じようなやわらかい文面にすることが大切です。あまりかしこまると、相手に違和感を与えてしまいます。
子どもの事故のお見舞い(1)
急白 お子様が、交通事故に遭われておけがをなさったと伺い、大変驚きました。命に別状はないとのことで何よりですが、突然のことで、ご家族のご心痛はいかばかりかとお察しいたします。 事故の原因は、相手のドライバーの前方不注意だとか。あまりのことに、憤懣やるかたない思いでいっぱいです。 しばらくは入院生活が続くと伺い、絵本を同封いたしました。お子様のお気持ちが少しでも和らぎますれば幸いです。 一日も早い退院とご回復を心よりお祈り申し上げます。 不一 |
入院当初の見舞い状は、手短に行います。丁寧でも長くなりすぎると、相手は煩わしく感じます。大事に至らず安堵していることを伝える文例中の下線部は、「経過も順調とのことで」「術後の容体も安定しているとのことで」などと書き添えると良いでしょう。
子どもの事故のお見舞い(2)
急啓 〇〇くんが事故にあわれたとお聞きし、取り急ぎお見舞い申し上げます。 まさかと思いましたが、出会い頭の事故だったとか。娘も同じ年ごろであり、〇〇くんのことを案ずるばかりです。 ご家族の皆様もご心労が溜まっていることでしょう。どうぞお体をご自愛ください。 よろしければあらためてお見舞いにうかがいたいと存じます。一日も早い〇〇くんの回復をお祈りしております。 草々 |
ケガが比較的軽い場合は「けがが軽かったということで、まずはホッとしましたが」「大事には至らず何よりですが」などの言葉を書き添えます。
怪我をさせた相手へのお見舞い
急啓 昨日はこちらの不注意からおけがをさせてしまい、誠に申し訳ございません。心よりお詫び申し上げます。 「すり傷程度なので心配無用」とおっしゃっていると伺いましたが、その後体調にお変わりございませんでしょうか。 スピードが出ていなかったとはいえ、自転車同士の接触ゆえ、転倒されたときに打ちどころが悪かったらと心配いたしております。 今後、今回のことで不都合がございましたら、誠意をもって対処させていただきますので、お手数でも私宛てにご一報くださいますよう、お願い申し上げます。 敬具 |
相手に怪我をさせてしまったときは、誠心誠意謝罪することはもちろん、今後の対応やお願いをしっかり伝えましょう。ただし、相手にも過失があり、過失責任の割合が微妙なときは、不用意に謝らないほうがよい場合もあります。そのときは、相手のケガの具合を心配している言葉を伝えましょう。