新築祝いや引っ越し祝いをいただいたら、お礼状を出すのがマナーです。お祝いのお礼からはじめ、贈り物の感想、新居や環境の様子、新居への来訪を願う気持ちで結びます。
ここでは、新築祝い・引っ越し祝いのお礼状の書き方やマナーについてお伝えします。自宅や会社を新築したときなどの文例もご紹介するので、手紙を書くときの参考にしてくださいね。
目次
新築祝い・引っ越し祝いのお礼状のマナー
まずは、新築祝いや引っ越し祝いのお礼状を書くときのマナーや、注意事項についてお伝えします。
新社屋・新居の特徴や環境を述べる
会社の社屋を新築した場合のお礼状は、儀礼的色彩が強いため、定型を重んじたまとめ方が基本です。しかし、紋切り型(決まり文句)に終始してしまうと、新味のない文章となってしまうため、新社屋の特徴の紹介を具体的にすることで、文面が柔らかい印象になります。個人宅の場合は、お祝いの品のお礼の書き方や、新居周辺の環境の紹介の部分で、個性的な表現を心がけることが大切です。具体的な文例については後述しているので、確認しておいてくださいね。
新居の自慢話はNG
新築社屋や新築居宅の特徴を紹介すると、嬉しさのあまり、自慢するような表現が出てしまいがちです。嫌味にとられないよう、環境や立地条件などの紹介を、謙虚な気持ちで客観的な書き方をすることが大切です。工夫した点などの紹介も、客観的に書けば違和感がありません。ただし、「庭が狭い」「不便」など卑屈な印象を与える表現にも注意しましょう。
新築祝いのお返しは不要
一般的に、新築祝いをいただいたら、お礼状を送るだけで構いません。お返しは不要です。ですが、地域によってはお返しをするのが慣例になっていたり、日頃からお世話になっている方からお祝いをいただいたりした場合は、お返しをするとよいでしょう。ただし、高額な商品は避け、お祝いでいただいた金品の3分の1程度の金額のものにしましょう。
新居披露のお祝いのお返しも不要
新居披露を行った際にいただいたお礼に対しては、飲食のもてなしが返礼になるため、内祝いやお礼状を送る必要はありません。改めてお礼状やお返しを送ると、相手に余計な気を使わせてしまいます。基本的なマナーに則ったやり取りを心がけましょう。
新築祝い・引っ越し祝いのお礼状の書き方
つづいては、お礼状を書くときの基本構成をお伝えします。以下の図に示したように、手紙は「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの要素で構成されています。
それぞれの項目の書き方やポイントは以下のとおりです。
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自宅(一戸建て)の新築祝い・引っ越し祝いのお礼状の文例
友達・友人へ(1)
日に日に秋色が深まってまいりましたが、みなさまお元気にお過ごしのことと存じます。 このたびは、お心のこもった新築祝いをいただきまして、誠にありがとうございました。鮮やかな色合いの素敵な焼き物の傘立ては、新しい家の雰囲気ともよく合い、形も大きさも玄関にぴったりでした。大切に使わせていただきます。 おかげ様で新居もようやく片付き、落ち着いてきました。泊まっていただける部屋もありますので、ぜひ皆様で遊びにいらしてください。 なお、気持ちばかりの内祝いのしるしをお送りいたしましたので、ご笑納ください。 まずは書中にてお礼申し上げます。 |
文例中の下線部は「新居での生活にもようやく慣れてきました」と書き添えても良いでしょう。
友達・友人へ(2)
〇〇さん、その後、お変わりありませんか。 本日、心あたたまるお手紙と引っ越しのお祝いが届きました。お心遣い、どうもありがとう。さっそくいただいたフォトフレームに、新居で初めて撮った写真を飾りました。 こちらは自然が多く、野外で遊べる場所もたくさんあるので、ぜひ、皆さんで遊びに来てくださいね。 |
引っ越し先の環境が自然あふれる場所であれば、文例中の下線部は「子どもたちも新しい生活に慣れ、自然を相手にした遊びも覚えたようですので」などの表現とし、庭に家庭菜園用のスペースを設けた場合は「小さいながらも畑を作り、夏には色々な野菜を収穫する予定ですので」と伝えるのもよいでしょう。招待する言葉に添えて伝えましょう。
上司へ
拝啓 向春の候、〇〇様におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。 さて、このたび拙宅の新築にあたりまして、立派な食器をお贈りくださいまして、誠にありがとうございました。洗練された落ち着きのあるデザインは、どんな料理も引き立つようでございます。料理をする楽しみが増えました。 遠方ではございますが、こちらにいらっしゃった際にはぜひお立ち寄りください。 取り急ぎ御礼まで。 敬具 |
文例の下線部は「私どものささやかな新居落成に際しまして」と表現してもよいでしょう。また、お祝いの品をプレゼントしていただいたときは、贈り物をどう活用しているか、贈り物の感想について具体的に述べると好印象です。
先輩へ
拝啓 麗春の候、ご家族の皆様にはお元気でお過ごしのこととお喜び申し上げます。 このたびは拙宅の新築に際しまして、お心の込もったお祝いの品を賜り、誠にありがとうございました。頂戴しました掛け時計は我が家のリビングにぴったりでした。大切に使わせていただきます。 おかげ様で新生活にもようやく慣れてまいりました。こちらにお出かけの折には、ぜひご家族お揃いでお立ち寄りくださいますよう、あらためてご案内申し上げます。 取り急ぎお礼のみにて失礼いたします。 敬具 |
鉢植えをいただいた場合は、文例中の下線部を「頂戴しました鉢植えを飾らせていただいたところ、新居がパッと明るくなりました」、食器をいただいたときは「新しい家で新しい食器が使えることがとても嬉しく、家族も大喜びです」などの表現を用いるとよいでしょう。
会社の新築祝い・引っ越し祝いのお礼状の文例
取引先へ(1)
拝啓 陽春の候、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご厚誼を賜り厚く御礼申し上げます。 さて、このたびの弊社新社屋落成にあたりましては、ご多忙のところ、ささやかな宴にご出席いただき、誠にありがとうございました。また、丁寧なご祝詞ならびに過分なるご芳志を頂戴いたしまして、重ねて御礼申し上げます。 来月一日(月)より新社屋へ移転し、営業を開始いたす運びとなりましたのも、ひとえに皆様の平素より変わらぬご厚情、ご支援の賜物と深く感謝いたしております。 これを機に、社員一丸となって社業に精進いたす所存です。 今後とも倍旧のご指導、ご鞭撻をいただけますようお願い申し上げます。 略儀ながら、書中にて御礼のみ申し上げます。 敬具 |
新社屋披露の場に参加していただいたときは、出席のお礼に加え、祝辞や贈られた金銭・金品に対するお礼も忘れず書き添えましょう。文例中の下線部を「創業当時の初心にかえり、社員一人一人が誠心誠意努力してまいる所存です」と表現してもよいでしょう。
取引先へ(2)
謹啓 盛夏の候、各位にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご懇情を賜り、深く感謝申し上げます。 さて、このたびの弊社社屋の新築落成に際しましては、ご丁重なお祝いを賜り、厚くお礼申し上げます。 旧社屋時代には、老朽化した設備や狭小な屋内で、なにかとご不便をおかけいたしましたが、このたびの転居により、それらも少なからず解消されました。また、社内外の諸事連絡や交通事情などの面でも、従来に比して、大幅な改善を図ることができたかと存じております。 弊社社員一同、これを機に心機一転、さらに業務に邁進して参る所存でございますので、各位には、今後とも倍旧のお引き立てを賜りますよう、衷心よりお願い申し上げます。 末筆ながら、皆様のさらなるご健勝とご隆盛を心からお祈り申し上げ、右、略儀ながら書中にてお礼とお願いを申し上げます。 謹言 |
社屋や工場を新築・移転・引っ越ししたときは、新社屋の特徴の紹介を具体的に述べましょう。丁寧な文面を心がけ、日頃の感謝の気持ちが伝わる内容にすることも大切です。