ビジネスメールのやり取りにおいて、相手に用件や連絡事項を伝えることができれば、わざわざ時間を割いて返信してもらう必要がないとき、「返信不要」の言葉をつけてメールを送ることがあります。
「返信不要」はよく使われる言葉ではありますが、上から目線の印象を与えるため、上司や目上の人に使う表現としてふさわしくないという意見もあります。
そもそも「返信不要」は敬語ではありません。多忙な相手に気遣いや配慮をしたつもりが、失礼な印象になってしまっては勿体ないですよね。
また、相手から「返信不要」の言葉が入ったメールを受け取ったら、返信は控えたほうがよいのでしょうか?
ここでは「返信不要」のメールが失礼にあたる理由や、丁寧な言い方・敬語表現について詳しく解説します。また、上司や目上の人から「返信不要」と来たメールには返信するべきなのかについてもお伝えするので参考にしてくださいね。
目次
「返信不要」メールを送るのは失礼?
「返信不要」の言葉は「このメールへの返事は必要ありません」という意味です。
多くの場合、忙しい相手に「わざわざ時間を割いて返信してもらわなくてもけっこうですよ」ということを意図して使う言葉ですが、誤解を与える言葉でもあることに注意しなくてはなりません。
というのも、受け取る相手によっては「あなたとのメールのやり取りはしたくありません」という失礼な印象を受ける表現なのです。メールの文末に「返信不要」「返信は不要です」「返信はいりません」などと書くと、「相手に断られた」という印象を与えてしまうのです。
また、冒頭でお伝えしたとおり、「返信不要」は敬語ではなく、そのうえ言葉を省略した書き方です。上司やお客様といった、目上の人に使う場合は、より丁寧で柔らかい表現になるよう言葉を選ぶ必要があるでしょう。
では「返信不要」を丁寧に言い換えた表現にはどのような言い方があるのでしょうか。次章をご覧ください。
「返信不要」の丁寧な言い方(例文つき)
まずは「返信不要」の丁寧な言い方を下記に記載します。
フォーマル度 | 返信不要の丁寧な言い方 |
★★☆ | このメールへのご返信は不要です。 |
★★☆ | ご返信はいただかなくても結構です。 |
★★☆ | なお、返信はご無用です。 |
★★★ | ご確認いただければ、ご返信には及びません。 |
★★★ | 特に問題がなければ、ご返信をいただくには及びません。 |
★★★ | この後のご返事はお気遣いなさらないようお願い致します。 |
★★★ | お忙しいことと存じますので、どうぞお返事はお気を遣われませんように。 |
★★★ | ご返信はどうかお気遣いなさいませんようお願い申し上げます。 |
上司や目上の人には上記したような丁寧な言葉遣いを心がけることが基本です。「返信不要」だけの無愛想な書き方はくれぐれも避けましょう。
なお、相手に配慮した上記の言葉のあとに「なにかあったら返信してください」と書くときは、下記の言葉を追記しておきましょう。
- 何かご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
- ご不明な点やご質問がございましたら、ご遠慮なくお申し付けくださいませ。
- ご不明な点がございましたら、どうぞお知らせくださいませ。
「返信不要」を使ったビジネスメールの例文集
つづいては、「返信不要」を使ったメールの例文を紹介します。
上司への連絡メールの例文
件名:契約のご報告 〇〇課長 お休みのところ失礼いたします。△△です。 先ほど、株式会社〇〇の〇〇様よりお電話があり、 これも〇〇課長にご協力いただいたおかげです。 詳細につきましては週明けの月曜日にご報告いたします。 なお、ご返信には及びませんので ==================== |
気心のしれた間柄である、直属の上司にも「返信不要」と書くのは避けたほうが無難です。ですが、「ご返信はどうかお気遣いなさいませんようお願い申し上げます」などの書き方は堅苦しい印象を与えるため、上記の例文のような柔らかい言い回しで伝えるのが適切です。
目上の人に送るお見舞いメールの例文
件名:お見舞い申し上げます 〇〇部長 この度、〇〇部長がご入院されたとお聞きし、 その後のご経過はいかがでしょうか。 仕事のほうは、部長にご迷惑をおかけしないようにと 一日も早く〇〇部長の元気なお顔を拝見できますことを なお、この後のご返事はお気遣いなさらないようお願い致します。 メールにて恐縮ですが、 ==================== |
お見舞いメールでは挨拶文は省略し、体調を気遣う言葉から書き出すのがマナー。病状によっては入院中、自由に体を動かせないこともあるため、上記した「返信不要」を言い換えた一文を書き記しておきましょう。
返信不要を使ったビジネスメールの例文
教授への報告メールの例文
件名:ご助言のお礼(〇〇学部・△△) 〇〇先生 お世話になっております。△△学部の△△です。 昨日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、 先生から有益なご助言・ご提言を頂いたおかげで、 教授のご助言を活かして、まずは目標を設定し、 また、いろいろご指導を仰ぐ機会もあるかと存じますが、 メールにて恐縮ですが、 なお、お忙しいことと存じますので、 ==================== |
ビジネスメールの結びの挨拶で「返信不要」を伝えた表現です。日頃お世話になっている教授や先生などの目上の人には丁寧な表現を使うのが基本です。
「返信不要」に返信するのは失礼?
ここまでは「返信不要」の書き方やマナーについてお伝えしました。では、相手から返信不要メールが来たときはどうすればいいのでしょうか。
これまでお伝えした通り、「返信不要」は「このメールへの返事は必要ありません」という意味の言葉です。
しかし、ここで気をつけたいのが、「返信不要」は「不要」と言い切っているものの、「返信してはいけない」という意味ではないという点です。言葉の正しい意味は「返信しなくてもいい」です。
では、「返信しなくてもいい」メールにはどのように対応するのが望ましいのでしょうか。
結論をお伝えすると、「返信不要」と書かれたメールにも返信するのがマナーです。
「返信しなくてもいい」ということは、言い換えれば「返信をしてもいい」ということでもあるのです。そのため、返信しても失礼には当たりません。
相手の立場からしても、あなたから返信がなければ、送ったメールをちゃんと確認してくれているのかもわかりません。そのため、「〇〇の件、承知いたしました」や「お気遣いありがとうございます」などと簡単な一言でもよいのでメールを返しておきましょう。
「返信不要」への返信方法(メール例文集)
さいごに、「返信不要」のメールが来たときの返信例について紹介します。
「返信不要」メールを見たことを報告する場合(社内メール)
件名:Re:営業会議の日程の件 〇〇課長 お疲れ様です。 会議日程の件、承知いたしました。 お忙しいところ、ご連絡いただき ==================== |
特に用件がなくても、上記したように返信メールを送るのがマナーです。多忙な相手を気遣う一文を添えるとより丁寧です。
「返信不要」と書かれたメールに返信する場合
件名:Re:お見舞い申し上げます 株式会社〇〇〇〇 お世話になっております。 この度はお心のこもったお言葉をいただき、 おかげさまで、大事には至らずにすみ、 今は早く仕事に復帰ができるよう、療養に専念する日々ですので、 なお、ご迷惑をおかけしておりましたが、 復帰したら遅れを取り戻すように鋭意努力する所存でございます。 メールにて恐縮ですが、 ==================== |
あなたのことを気遣って送ってくれたメールには「返信不要」の言葉があったとしても、感謝の気持ちや状況報告を兼ねたメールを返信するのが礼儀です。ただし、入院や怪我・重病の場合はすぐのタイミングで返信しなくても構いません。退院したときに送りましょう。
なお、返信メールの書き方を知りたい方は100以上の文例を紹介している「返信メールの書き方・文例集」をご覧ください。
さいごに
ここでは「返信不要」と書かれたメールについて、上司や目上の人に失礼にあたることや、丁寧な言い方について紹介しました。
また、返信メールの書き方をお伝えしましたが、理解することはできましたでしょうか。
相手に配慮を示したつもりが、誤解を与え、冷たい印象を持たれるのは避けたいところです。ここで正しい使い方をマスターしておきましょう。