- ひとえに皆様方のご指導ご鞭撻の賜物と、心より感謝申し上げます。
- これもひとえに皆様方のご支援の賜物と心より御礼申し上げます。
- 皆様の優れた手腕とたゆまぬ努力の賜物と敬服いたす所存です。
上記のような使い方で、ビジネス文書やメールで「賜物」という表現を目にすることがありますね。
「賜物」の読み方は「たまもの」です。
「賜物」はどのような場面で使う言葉なのでしょうか。
ここでは「賜物」の意味や使い方についてお伝えします。また「賜物」「賜」「賜もの」の違い・使い分け方についてもお伝えするので参考にしてくださいね。
目次
「賜物」の意味・使い方
「賜物」の意味は下記の3点です。
- 1:天や神からたまわったもの。いただいたもの。
- 2:他者から受けた恩恵。
- 3:よいことや試練などの結果与えられた成果。
1の意味では「水は天からの賜物」という使い方をします。恩恵や祝福として与えられたものを表す言葉です。
2の意味では「お力添えの賜物」「ご尽力の賜物」「指導の賜物」などと、相手にしてもらった事柄をそえて「〇〇の賜物」といった使い方をします。
2の意味で使う場合は、感謝の気持ちを込めた丁寧な表現のため、目上の人にも使えます。お礼状やお祝い状、挨拶状などでよく使われる表現ですね。
3の意味では「努力の賜物」という使い方をします。相手の資質や努力を賞賛するときに使う言葉です。何かを成し遂げたとき、上司が部下を褒めるときによく使われるフレーズですね。
なお、3の意味で使うときは目上の人には使いません。上から目線の印象を与えて不快にさせてしまう可能性もあるのでくれぐれも避けましょう。
「賜物」は、基本的に才能や努力・支援・協力といった、目に見えないものを対象に使われる言葉です。
【例文】
- 彼女の才能はまさに天からの賜物だ。
- これもひとえに先生の薫陶の賜物です。
- これもひとえに、関係者の皆様のご支援ご高配の賜物と心より感謝申し上げます。
- 大会に優勝できたのは皆さんの努力の賜物です。
「賜物」「賜」「賜もの」の違い
「賜物」には「賜」「賜もの」という表記もあります。読み方はいずれも「たまもの」です。これらにはどのような違いや使い分けがあるのでしょうか。
結論からお伝えすると、ビジネス文書や手紙で一般的に使われるのは「賜物」ですが、意味はどれも同じです。
もともと「たまもの」という言葉は「賜」の一文字で書かれていました。
「賜」は名詞で「たまもの」と読むほか、動詞では「たま(う)」「たまわ(る)」と読みます。この名詞の意味で「努力の賜」という使い方をされていたのですね。
そこから転じて、「賜物」という表記も使われるようになったのですが、現代では「賜物」と書くのが基本です。
そのため、新聞やニュースなどで「たまもの」を表記するときは「賜物」で統一されています。
また、「賜物」の「物」という漢字に対して「与えられるのは”モノ”ではない」という考えから「賜もの」と平仮名で表記する方もいますが、これも決して間違いではありません。
ですが、意味や使い方に違いはないものの、「賜物」と表現するのが無難といえるでしょう。
「賜物」を使った敬語表現
つづいては「賜物」を使った敬語表現の例文を紹介します。
他者から受けた恩恵や成果に対して、感謝の気持ちを伝えたり、賞賛の意を表したりするときの表現ですね。
【例文】
- 創立30周年を迎えることができましたのは、ここにいる社員の皆様の日頃の努力の賜物と、心より感謝しております。
- 当社が上場することができましたのは、これまで支えていただいたお客様のご支援ご高配の賜物と心より感謝申し上げます。
- 私、〇〇は〇〇市長選挙において、〇〇市民の皆様のご協力の賜物により当選することができました。
- ご子息の志望校合格におかれましては、ご本人の努力もさることながらご家族のご支援の賜物と感服いたしております。
- 貴社の近年のご活躍は、日頃からの貴社ご一同様のご精進の賜物と、敬服の至りに存じます。
感謝の気持ちを伝える「皆様のご協力の賜物」の言葉は、「ご協力のおかげ」と言い換えることができます。「おかげ」を丁寧な表現にしたのが「賜物」といえますね。
「賜物」を使った手紙・ビジネス文書の例文集
挨拶状の例文
謹啓 秋晴の候、ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。 敬白 平成〇〇年〇月吉日 株式会社〇〇〇〇 記 新事務所の名称 株式会社〇〇〇〇 以上 |
挨拶状の文例を確認したい方は「挨拶状の文例集」をご覧ください。
就職先紹介のお礼状の例文
拝啓 このたびは私の就職に際しまして、ご多忙中にもかかわらず、大変ご面倒なお願いをお聞き届けくださいまして、誠にありがとうございました。 敬具 |
その他の文例は「就職先紹介のお礼状の書き方」をご覧ください。
「賜物」を使ったビジネスメールの例文集
式典の案内メール
件名:創立記念式典のご案内 株式会社〇〇〇〇 平素より大変お世話になっております。 さて、弊社は平成〇年〇月〇日をもちまして これもひとえに貴社をはじめとした つきましては、日頃よりご厚情を賜っております ご多忙中とは存じますが、何卒ご臨席頂きますようお願い申し上げます。 ■創立記念式典の詳細 準備の都合がございますので、誠に恐れ入りますが ■お問い合わせ先 上記につきまして何卒宜しくお願い申し上げます。 ================== |
「この度〇月をもちまして弊社は創立30周年を迎えることと相成りました。これもひとえに貴社をはじめとした皆様方のご協力あっての賜物と存じております」と書いてもよいでしょう。
その他の式典の文例は「式典の案内メールの文例集」をご覧ください。
打ち上げの案内メール
件名:〇〇プロジェクト打ち上げのご案内 株式会社〇〇〇〇 いつも大変お世話になっております。 この度は〇〇プロジェクトにご参加いただき、 プロジェクトが成功を収めることができましたのは、 そこで心ばかりではございますが 詳細を以下に記載致します。 ■打ち上げ会の詳細 恐れ入りますが、出席のお返事は〇月〇日までに幹事である△△まで ご多忙とは存じますがご参加頂きますよう ================== |
打ち上げの案内メールの書き方は「打ち上げの案内メールの文例」をご覧ください。
さいごに
ここでは「賜物」の意味や使い方についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。
日本は基本的に謙遜の姿勢が美しいとされる文化のため、「賜物」は自分の行為に対して使わないように注意しましょう。
お世話になった方に感謝の気持ちを伝えたいときに使える表現であり、あらたまった場でも使える表現のため、この機会に覚えておいてくださいね。