「業務の進捗状況はいかがでしょうか?」「プロジェクトの進捗は遅れていないか?」
「進捗」は、ビジネスシーンで仕事の進行状態を問い合わせるときに多用される表現のため、耳にする機会の多い言葉だと思います。
ただこの「捗」という漢字、「歩」に似ていますが1画少ない特殊な漢字で、この言葉以外ではあまり目にする機会もないかと思います。パソコンを使う場合は自動的に変換してくれますが、手書きの際は気を付けなくてはなりません。
また、意味を説明するとなると、なかなか伝え方に困る言葉でもあります。
ここでは「進捗」の意味や使い方、また類語や言い換え表現を詳しく解説します。進捗状況を確認するメールや、報告するメールの例文も紹介するので、ぜひこの機会に「進捗」の使い方をマスターしてくださいね。
目次
「進捗」の意味・使い方
「進捗」は「しんちょく」と読み、意味は「物事が進み、はかどること」です。
「捗」を訓読みすると「はか-どる」になり、物事が順調に仕上がっていく様子を表す語となります。「進捗」の「進」は「進む」ということ。つまり「進捗」とは「仕事がはかどり、先へ進んで行く」という意味になります。
ビジネスシーンでは、仕事が計画通り進んでいるかを確認するときや、プロジェクトの進み具合を報告する際に「進捗状況をご報告いたします」「進捗が遅れ気味になっています」などと使います。
【例文】
- 交渉の進捗状況を適宜ご報告いただきますようお願い申し上げます。
- 工事は完成に向けて着々と進捗している。
- 作業工程は段階Aから段階Bへ、そして段階Cへと進捗しております。
冒頭でお伝えしたとおり、「進捗」の「捗」の漢字を書くときは注意が必要です。「交渉」や「頻繁」などの「つくり」は常用漢字に加わった時に、本来の字ではなく「歩」の字が当てられていますが、常用漢字入りの遅かった「捗」だけは、本来の字体で常用漢字になった経緯があります。そのため、「進捗」だけが一画少ないのです。
「進捗が進む」は間違い!正しくは「早い・遅い」
進捗の使い方を間違えている方は少なくありません。
業務の進み具合を聞かれたときに「進捗は進んでいます/進んでいません」と答える方がいますが、これは重複表現のため間違いです。「歩行を歩く」と言っているようなものなので、伝えるときは「早い・遅い」で伝えましょう。
【例文】
- 想定外のトラブルが発生したため、進捗が遅れています。
- 効率的に作業を進められたので、計画よりも進捗が早くなっています。
- 事業計画は予定通りに進捗しています。
「進捗状況」とは
「進捗状況」とは「その仕事が現在どのような状況にあるか、完成に至るプロセスの中で、どの程度の段階にあるか」を示す表現です。
たった1人が最初から完成まで携わる職人仕事とは違って、現代のビジネスシーンでは多くの人が関わり、協力して作業を遂行します。その意味で、仕事を進めていく上での円滑なコミュニケーションが、非常に重要になってきます。
つまり、個々の作業の進行度合いと今後の見通しを共有すること抜きには、仕事全体の完成も、むずかしいものとなっているのです。
それを考えるとビジネスの場面では、「進捗状況」という言葉は、会議や文書の中でもっとも使用頻度の高い表現と言えるでしょう。
進捗のビジネスメールの例文集
つづいては、進捗に関するビジネスメールの例文を紹介します。
進捗状況を尋ねる確認メールの例文
件名: 〇〇キャンペーン企画提案の件 株式会社〇〇〇〇 日頃よりたいへんお世話になっております。 〇〇キャンペーン企画提案の件について 資料として、弊社カタログとパンフレットを 〇月〇日開催のキャンペーン本会議の前に、 お忙しいところ大変恐縮ですが、 ==================== |
そのほかの確認メールは「進捗状況の確認メールの文例集」をご覧ください。
進捗遅れをメールで伝えるときの例文
件名:〇〇調査の進捗遅れのご報告 〇〇課長 お疲れ様です。△△です。 プロジェクトの進捗状況につきまして、 調査データの提出日は、明日〇時の予定でしたが、 誠に申し訳ございません。 調査資料の収集に思ったより時間がかかってしまい、 現時点で調査資料はすべて集まっておりますが、 大変恐縮ではございますが、 ご検討いただけますと幸いです。 ==================== |
そのほかの謝罪メールは「進捗遅れのお詫びメールの文例集」をご覧ください。
進捗状況の報告を催促するメールの例文
件名:プロジェクト進捗状況のご確認 〇〇課長 お疲れ様です。営業部の△△です。 さて、先般メールにてお送りしておりました、 進捗に遅れが生じている場合、 ご多忙のところ誠に恐縮ですが、 なお、行き違いでメールをお送り頂いておりましたら 何卒宜しくお願い申し上げます。 ==================== |
そのほかの催促メールは「進捗状況を確認するときの催促メールの文例(上司・社外)」をご覧ください。
「進捗」の類義語・言い換え
進捗の類語には以下の言葉があります。
【類義語】
- 進行
- 進展
- 進み具合
【例文】
- 仕事の進捗はいかがでしょうか。
- 仕事の進み具合はいかがでしょうか。
これらの表現は「進捗」と同じ意味として使うことができます。「進捗」というよりも、柔らかい表現が好ましいときに使うことができます。
【類義語】
- 前進
- 向上
- 上達
- 改善
【例文】
- 職場の労働環境改善の取り組みが進捗しております。
- 職場の労働環境は管理職者全員の努力により、状況が改善しつつあります。
「進捗」の中身に焦点を当て、事態がどの方向に向かって進んでいるかによって、全体を言い換えることができます。
まとめ
「進捗」という言葉の意味は非常に明確なため、ひとたび意味を理解さえすれば、使い方を間違うことはないでしょう。
例文にもあるように、状況が現場であっても、会議室や研究室によっても、またその言葉の使い手がどの立場であっても、ほとんど意味が変わることはありません。その意味で、この言葉自体は、使い勝手の良い言葉と言えます。
むしろ難しいのは、進捗状況を適切に言語化し、情報を全員で共有することの方です。それに慣れていくためにも、作業状況の進捗の報告と共有を、ぜひ繰り返してくださいね。