「恐縮」の意味や正しい使い方を知りたいと思っていませんか?
「恐縮」の読み方は「きょうしゅく」です。
「恐縮」はビジネスシーンで目上の人との会話の中や、メールや文書などで見聞きすることが多い言葉ですよね。
「恐縮です」「恐縮ではございますが」などの使い方があり、丁寧な印象を与えてくれる表現なので使い勝手がよくて便利な言葉ですが、注意しなければならないこともあります。
ここでは「恐縮」の意味や使い方を例文つきでご説明します。類語や言い換え表現についてもお伝えするので参考にしてくださいね。
目次
「恐縮」の意味
辞書を見ると「恐縮」には以下の2つの意味があります。
- おそれて身がすくむこと。身が縮まるほど恐れ入ること。
- 相手に迷惑をかけたり、相手の厚意を受けたりして申し訳なく思うこと。
ビジネスシーンでは後者の、申し訳ない気持ちを表す意味で使われます。
「恐縮」は取引先や上司とのやりとりで使える便利な言葉ですが、基本的には書き言葉として使用します。話し言葉だと相手に堅苦しく冷たい印象を与えてしまうので注意しましょう。
「恐縮」の使い方
「恐縮」は大きく分けて2つの場面で使われます。
一つ目は相手に感謝する気持ちを表すとき、二つ目は依頼やお願いをするときに使います。それぞれの使い方を見ていきましょう。
感謝の気持ちを表すとき
「恐縮」には「相手の厚意を受けて恐れ入る」という意味があるので、上司や取引先といった目上の人に感謝やお礼の気持ちを伝えるときに使うことができます。言い回しとしては
- 恐縮です
- 恐縮いたしております
- 恐縮の限りでございます
などがあります。
「恐縮です」は「ありがとうございます」と返答するのに比べて「相手の厚意をありがたく思っている」という意味合いを含むとともに、気恥ずかしさや照れくささを謙遜して表現する言葉となります。
【例文】
- 暖かい励ましのお言葉に、ただただ恐縮するばかりです。
- 過分なるご配慮をいただきまして、恐縮いたしております。
- この度はご丁寧なお中元の品を賜り、大変恐縮です。
- お忙しい中わざわざ弊社までご足労いただき恐縮です。
また、恐れ入る気持ちをさらに強調して伝える表現に以下の言い回しがあります。
- 恐縮至極に存じます
- 恐縮の至りでございます
- 恐縮しきりでございます
これらの表現はかしこまった印象を与える言葉なので、相手から過分な厚意を受けたときや格式ばった場面で使うようにしましょう。
依頼やお願いをするとき
「恐縮」は、目上の人に依頼をするときや無理を聞いてほしいとき、了承を得たいときにも使われる言葉です。ビジネスメールでは結びの挨拶で使用します。
使い方は「よろしくお願いいたします」や「〇〇していただけないでしょうか」といったお願い文の前にクッション言葉として「恐縮ですが」「恐縮ではございますが」とつけるのが基本です。
- 恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。
- 恐縮ではございますが、ご検討をお願いできますでしょうか。
なお、「恐縮ですが」に前置きを入れると相手に配慮を示した、より丁寧な言い回しになります。以下をご覧ください。
- ご面倒をおかけしてしまい恐縮ですが
- 重ね重ね恐縮ではございますが
- ご迷惑も顧みずのお願いで恐縮ですが
- 不躾なお願いとなり大変恐縮ではございますが
- お手数をおかけして恐縮ですが
- ご多忙にもかかわらず恐縮ですが
- 厚かましいお願いで恐縮ですが
依頼やお願いをするときの「恐縮」を使った例文は下記の通りです。
【例文】
- 私事で大変恐縮ですが、来週は現地視察のため不在となります。
- メールにて恐縮ですが、取引数量変更の件お願い申し上げます。
- つきましては誠に恐縮ではございますが、ご面談の機会をいただけないでしょうか。
- 急なお願いとなり誠に恐縮ですが、ご対応をお願い申し上げます。
- お忙しいところ恐縮ですが、ご返信いただければ幸いです。
- ご多忙のところ大変恐縮ですが、カタログをお送りいただけないでしょうか。
要注意:「恐縮ですが」は、相手に手間や負担をかけることを申し訳なく思う気持ちを伝える言い回しですが、そこに謝罪の意味合いは含みません。謝罪の意を明確に示すときは「申し訳ございません」や「お詫び申し上げます」といったフレーズを使いましょう。
「恐縮」を使ったビジネスメール例文集
つづいては「恐縮」を使ったメールの例文をご紹介します。
「恐縮」を使った感謝・お礼メール
件名:お食事のお礼 〇〇課長 お疲れ様です。△△です。 本日はお忙しいなか、お食事にお誘いいただき、 また、美味しい食事やお酒をご馳走にまでなり、 仕事の成果が上がらず不安を抱えていましたが、 おかげ様で、気持ちが楽になりました。 課長から助言いただきました、 いち早く仕事で恩返しができますよう 本当にありがとうございました。 ==================== |
上司に食事を奢ってもらったお礼メールを詳しく見たい方は「飲み会でご馳走・おごってもらったお礼メールの例文集」をご覧ください。
「恐縮」を使った催促メール
件名:プロジェクト進捗状況のご確認 〇〇課長 お疲れ様です。営業部の△△です。 さて、先般メールにてお送りしておりました、 進捗に遅れが生じている場合、 ご多忙のところ誠に恐縮ですが、 なお、行き違いでメールをお送り頂いておりましたら 宜しくお願い申し上げます。 ==================== |
その他の文例も詳しく見たい方は「進捗状況を確認する催促メールの文例」をご覧ください。
「恐縮」を使った上司への依頼・お願いメール
件名:会議資料ご確認のお願い 〇〇部長 お疲れ様です。△△です。 〇月〇日の営業部会議で使用する資料が完成致しましたので 内容をご確認いただき、修正や変更箇所がございましたら お忙しいところお手数をおかけして恐縮ですが、 ご対応の程、何卒宜しくお願い申し上げます。 ==================== |
その他の文例も詳しく見たい方は「上司に確認をお願いする依頼メールの文例集」をご覧ください。
返信メールで「恐縮」を使うとき
件名:Re:会食のお礼 株式会社〇〇〇〇 平素よりお世話になっております。 先日はお忙しい中、会食のお時間をいただき またご丁寧なお言葉まで頂戴し、誠に恐縮でございます。 こちらこそ〇〇様の貴重なお話をお聞きすることができ、 また、お食事の際にご質問いただいた〇〇の件ですが、 こちらに関しましては分かり次第、改めてご連絡致します。 引き続き、何卒宜しくお願い申し上げます。 メールにて恐れ入りますが、 ==================== |
その他の文例も詳しく見たい方は「接待のお礼への返信メールの文例」をご覧ください。
「恐縮」の類語・言い換え表現
ビジネスシーンでは目上の人に感謝の気持ちを伝えたり、依頼や許可を得たりする機会はとても多く、日常茶飯事といえます。そのため「恐縮です」の正しい使い方を覚えておくと非常に便利です。
しかし、同じ言葉を繰り返し使うと、相手に伝わる気持ちが薄れてしまいます。「恐縮」を重複して使ってしまわないよう言い換え表現を覚えておきましょう。
感謝の気持ちを表すとき
感謝の気持ちを伝えるときの「恐縮」の類語には以下の表現があります。
- ありがとうございます
- 心より感謝申し上げます
- 痛み入ります
- もったいないことでございます
- もったいないお言葉です
- 大変恐れ多いことでございます
【例文】
- お褒めいただき、誠にありがとうございます。
- お足元が悪い中、私どものためにご足労いただき心より感謝いたします。
- 皆様のお心遣い、痛み入ります。
- これほどまでのおもてなし、私にはもったいないことでございます。
- 私などにはもったいないお言葉ですが、とても励みになります。
- 会長自らお越しとは、大変恐れ多いことでございます。
依頼やお願いをするとき
相手に依頼やお願い事があり、申し訳ない気持ちを表すときの「恐縮」の類語には以下の言い回しがあります。
- すみませんが
- お手数をおかけいたしますが
- 申し訳ありませんが
- 恐れ入りますが
- 生憎ですが
- 不躾なお願いで失礼ですが
- 厚かましいお願いとは存じますが
- ご迷惑をおかけするのは心苦しいのですが
【例文】
- すみませんが、この資料を50部コピーしておいていただけますか。
- お手数をおかけしますが、ご本人様情報をご確認の上、ご署名と捺印をお願いします。
- 申し訳ありませんが、鈴木様がお戻り次第ご連絡くださいますようお伝えいただけますか。
- 恐れ入りますが、在庫はこちらの展示品のみとなっております。
- 生憎ですが、今は持ち合わせがありません。
- 厚かましいお願いとは存じますが、ご承諾いただけますようお願い申し上げます。
さいごに
ここでは「恐縮」の意味や使い方についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。
「恐縮」を使ったフレーズは、ビジネスシーンのなかで相手とのコミュニケーションを円滑にするクッション言葉なので、この機会に覚えておいてくださいね。
ビジネスメールの例文や類語・言い換え表現についても今一度確認しておくと、敬語の言い回しも広がるので宜しければ参考にしてくださいね。