「末筆ながら」の意味・使い方|メール・ビジネス文書の例文つき

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「末筆ながら」の意味・使い方|メール・ビジネス文書の例文つき

「末筆ながら」という表現をご存知でしょうか?

手紙や、ビジネスメールの結びの挨拶で使われることの多いフレーズですね。

何気なく使ってはいるものの、「末筆ながら」の意味や正しい使い方を理解している方は少なくありません。

手紙やメールのやり取りでは、用件を正確に伝えることのみならず、形式を重んじて書くのがマナーです。

ここでは「末筆ながら」の意味や使い方について詳しくお伝えします。ビジネス文書やメールの例文も紹介するので参考にしてくださいね。

「末筆ながら」の意味・読み方

「末筆ながら」の読み方は「まっぴつながら」です。「まつひつ」と読み間違える人も多いので注意しなくてはなりません。

「末筆ながら」の意味は「これで手紙を書き終えますが」「これで筆を置きますが」という意味です。

手紙やメールで用件を書き記した後、最後に相手を気遣う挨拶を伝えたり、謝意を述べたりして締めくくるときに、結びの挨拶として「末筆ながら」と前置きを入れて使うのが基本です。

そもそも、礼儀として、相手の健康を気遣う挨拶や感謝の意を表す言葉は、用件よりも先に書きます。しかし、いきなりこれらの挨拶から書き出すと不自然になってしまうため、文末に「末筆ながら」を入れて気持ちを伝えるのが、手紙や文書を書くときの形式的なルールとなっているのです。

また、「末筆ながら」には「相手のことを最後に書いて申し訳ない」という気持ちも込められているので、より丁寧な表現です。ぜひ使ってみましょう。

「末筆ながら」は結びの挨拶で使う言葉

「末筆ながら」は、手紙やビジネス文書・ビジネスメールだと、どの部分に書く言葉なのでしょうか。それぞれの場所についてお伝えします。

ビジネス文書・手紙の「末筆ながら」の使い方

一般的な手紙の構成は、以下の図に示した「前文」「主文」「末文」「後付け」の4つの項目に分かれます。

「末筆ながら」は下図の「末文」の箇所に記す挨拶文です。

ビジネス文書

なお、個人に宛てる手紙では、相手の健康や幸福を祈念する言葉を書いたり、安否を気遣う挨拶を書き記すのが基本です。ビジネス文書で企業や団体に対して「末筆ながら」を使うときは、先方の繁栄や成功、活躍や発展を願う言葉を書き記します。

ビジネスメールの「末筆ながら」の使い方

「末筆ながら」をビジネスメールで書くときも同様に、結びの挨拶で使います。早速、例文を確認してみましょう。

件名;〇月〇日面接のお礼(△△△△)

株式会社〇〇〇〇
人事部 〇〇 〇〇 様

お世話になっております。

〇月〇日に面接のご機会を頂いた△△と申します。

この度はお忙しい中、貴重なお時間を頂き
誠にありがとうございます。

〇〇様のお話を伺うことで、
貴社のビジョンや経営方針をより深く理解することができました。

また、新規事業や海外展開を積極的に行うなど、
挑戦し続ける「攻めの経営」のなかで、
会社と自身の飛躍的な成長を実現するために、
ますます貴社で仕事をしたいという気持ちが強くなりました。

あらためてとなりますが、本日はご多用中にもかかわらず、
面接のご機会を賜り、心から感謝申し上げます。

末筆ながら、面接のお礼を申し上げますとともに、
貴社のご発展と社員皆様のご多幸をお祈りいたします。

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署名
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「末筆ながら」は「これで手紙を書き終えますが」という意味なので、最後の一文を書くときに使われます。そのため、「末筆ながら」を使ったのに、まだ文章が続くのはNGです。

「末筆ながら」の使い方(例文)

つづいては、ビジネスシーンで使える「末筆ながら」の例文を紹介します。

転職・転勤・退職の挨拶

  • 末筆ながら、お礼かたがた退職のご挨拶を申し上げます。
  • 末筆ながら、書中をもって御礼と担当者交代のご挨拶を申し上げます。
  • 末筆ながら、書面にてご挨拶申し上げます。
  • 末筆ながら、ご挨拶とご報告まで申し上げます。
  • 末筆ではございますが、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、お礼かたがたご挨拶申し上げます。
  • 末筆ではございますが、皆様にどうぞよろしくお伝えくださいませ。
  • 末筆ながら、ご家族の皆様にもよろしくお伝えください。
  • 末筆ながら、まずは書中をもちまして御礼申し上げます。

入院やお見舞いなど安否を気遣う挨拶

  • 末筆ながら、どうぞご自愛ください。
  • 末筆ながら、〇〇様の1日も早いご回復をお祈りいたしております
  • 末筆ながら、季節の変わり目、どうかお体ご留意くださいませ。
  • 末筆ながら、猛暑のみぎり、ご自愛専一になさってください。
  • 末筆ながら、暑さ厳しい折くれぐれもお身体ご自愛下さい。

手紙で使う定型の挨拶

  • 末筆ながら皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、年の瀬に当たりご多忙かと存じますが、どうかお気を付けて年末をお過ごしください。
  • 末筆ではございますが、本年も変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
  • 末筆ながら、皆様のご健康をお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、挙式のご盛会とおふたりのご多幸を心よりお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、おふたりの末永い幸せをお祈り申し上げ、まずは書中にてお詫び申し上げます。

ビジネス文書・ビジネスメールの定型句

  • 末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、貴社のご隆盛とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら、皆様のなお一層のご発展ならびにご活躍とご健勝をお祈り申し上げます。
  • 末筆ながら一段のご健勝をお祈りいたし、まずは書中をもちましてご挨拶とさせていただきます。
  • 末筆ながら、皆様のご健勝と貴社ますますのご隆盛を、心より御礼申し上げます。

なお、よく似た言葉に「略儀ながら書中にて」という表現があります。この使い方も確認しておきたい方は『「略儀ながら書中にて・メールにて」の意味と使い方』をご覧ください。

「末筆ながら」の使い方(ビジネス文書の例文集)

転勤・異動の挨拶状

拝啓 春暖の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

 さて、私こと四月一日付をもって〇〇支店勤務を命ぜられ過日着任いたしました。在勤中は公私にわたり格別のご懇情を賜り、誠にありがとうございました。

 新天地におきましても新たな職務に精進して参る所存でおりますので、今後ともなお一層のご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。

 末筆ではございますが、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、お礼かたがたご挨拶申し上げます。

そのほかの例文を確認したい方は「転勤の挨拶状の文例集」をご覧ください。

退職の挨拶状

拝啓 初冬の候、皆様におかれましてはご壮健にお過ごしのこととお慶び申し上げます。

さて、私こと

このたび、〇年間勤めてまいりました株式会社〇〇〇〇を退職いたしました。永い歳月大過なく勤めさせていただきましたことはひとえに皆様のご厚情の賜と深く感謝いたしております。
 退社を決意いたしましたのも急なことであり、今後につきましては未定の状態です。いずれ落ちつき先が決まりましたら改めてご挨拶申し上げたく存じます。今後とも何卒変わらぬご交誼を賜りますようお願い申し上げます。
 末筆ではございますが、書中をもってお礼かたがたご挨拶申し上げます。

敬具

  平成〇〇年〇月〇日

〇〇〇〇

株式会社〇〇〇
総務部 〇〇〇〇様

そのほかの例文を確認したい方は「退職の挨拶状の書き方|文例集」をご覧ください。

贈り物のお礼状

拝啓 猛暑の候、皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご愛顧を賜りありがたく感謝申し上げます。
 さて、このたびはご丁寧なご挨拶に加え、結構なお品をいただきまして、誠にありがとうございます。弊社一同でおいしく賞味させていただきました。大変なおいしさに、夏を乗り切る元気が出てまいりました。ご厚志に深く感謝いたします。
 ささやかではございますが、お礼の品を別送にてお送りいたしますので、ご受納いただければ幸甚でございます。
 皆様のいつもながらのお心づくしの応えるため、なお一層の努力をしてまいりますので、今後ともご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
 末筆ですが、時節柄、皆様のご自愛をお祈り申し上げます。
 まずは書中にて御礼まで申し上げます。

敬具

そのほかの例文を確認したい方は「贈り物のお礼状の書き方|文例つき」をご覧ください。

「末筆ながら」の使い方(ビジネスメールの例文集)

就職活動の会社説明会のお礼メール

件名:〇月〇日会社説明会のお礼

株式会社〇〇〇〇
人事部 〇〇 〇〇 様

本日、貴社の会社説明会に参加させていただきました、
〇〇大学〇〇学部の〇〇〇〇と申します。

このたびは貴重なお時間を頂戴し、誠にありがとうございます。

貴社の業務内容や企業理念について
詳しいお話を伺うことができ、非常に勉強になりました。

また、現場で活躍される社員の方々から、仕事のやりがいや、
働くうえで大変なことをお聞きすることができたので
営業職の仕事の難しさと、醍醐味の一端を理解できたように思います。

本日の会社説明会に参加したことで、
貴社への入社意欲がますます高まりました。

本日いただいた資料を熟読し、さらに貴社への理解を深めて参ります。

末筆ながら、まずはメールにてお礼を申し上げます。

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署名
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そのほかの例文を確認したい方は「会社説明会のお礼メールの文例集」をご覧ください。

退職の挨拶メールに返信するときの文例

件名:Re:退職のご挨拶

〇〇課長

お疲れ様です。

ご丁寧に、退職のご挨拶を頂戴し、
誠に有難うございます。

〇〇課長には長年にわたり営業部を引っ張って頂き
心から感謝しております。

また、私の仕事に対する姿勢も〇〇課長から学んだものでした。
重ねてお礼申し上げます。

〇〇課長の手腕や人望があれば、
どんな仕事も成功すると信じております。

陰ながら応援しております。

末筆となりますが、健康には十分注意してお過ごしください。

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署名
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そのほかの例文を確認したい方は「退職の挨拶メールに返信するときの文例集」をご覧ください。

「末筆ながら」の類語・言い換え表現

「末筆ながら」と似た言葉にはどのような表現があるのでしょうか。一般的な言い換え表現は、下記の類語をご覧ください。

  • 最後になりましたが
  • 時節柄
  • また、手紙を書く季節を表した結びの挨拶の書き出しは、下記のような表現があります。
  • 陽春のみぎり
  • 春光うららかな好季節
  • 晩夏の折
  • 残暑の折柄
  • 秋雨の折
  • 秋たけなわの好季節
  • めっきり寒くなってまいりましたが
  • 追々寒さに向かいますが

さいごに

ここでは「末筆ながら」の意味や読み方・使い方について詳しくお伝えしましたが、いかがでしょうか。

手紙やビジネスメールには形式があります。適切な箇所にふさわしい言葉を書き記すことによって、文章は成り立つのです。

ただ用件を伝えるだけの手段ではなく、相手の健康や体調を気遣う言葉を添えることにより、深みのある文章となり、相手を思う気持ちが伝わることを覚えておいてくださいね。

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