「早速」や「早々」「迅速」といった言葉は、ビジネスシーンでよく使われる言葉ですよね。ですが、いまこの記事を読んでくださっている方の中には「使い方がよく分からない」「使っているけど正しい使い方はわかっていない」という方もいらっしゃるかと思います。
「早速のご対応、ありがとうございます」「早速ですが」などの使い方をする場面がありますが、上司や取引先など、目上の方に使っても失礼にあたらないのでしょうか。また、「早々」や「迅速」との厳密な使い方の違いはあるのでしょうか。
ここでは、ビジネスシーンでよく使われる「早速」の意味や使い方、「早々」と「迅速」の違いはもちろん、ビジネスメールの例文についても紹介するので参考にしてくださいね。
目次
「早速」の意味・使い方
「早速」には「行動や対応が素早い、すみやか、すぐに」といった意味があります。素早く動く、物事にすぐ取り掛かるといったニュアンスのある言葉で、目上の人や初対面の方にも使えます。
使い方には、大きく分けて3つのケースがあります。
- (1)起こし言葉として
- (2)速やかな対応をしてくれた相手へのお礼の表現
- (3)素早く対応する(した)ことを伝えるとき
それぞれの使い方を例文つきで解説します。
(1)起こし言葉として
例えば、打ち合わせの場で談笑を交えたあと、仕事に関する話などの本題を切り出すときに「早速ですが」「早速ではございますが」などと使います。
「さて」「ところで」と同様に、話の転換点で使うことにより、相手にこれから本題に入ることをそれとなく伝えることができます。
【例文】
- 早速ですが、今日の会議の本題に入ります。
- 早速ではございますが、先日のご提案に対するご回答を申し上げます。
(2)速やかな対応をしてくれた相手へのお礼の表現
「早速」は、依頼したことを素早く対処してくれたときに、感謝の気持ちを伝える表現としても使います。
ビジネスの世界では、相手の心遣いに対して都度お礼を述べるのがマナー。下記の例文は常套句として覚えておくと便利です。直接お礼を伝えるときはもちろん、メールを送るときに使うと謝意の伝わる温かみのある文面にまとまります。
【例文】
- 早速のご対応、誠にありがとうございます。
- 早速のご手配、感謝申し上げます。
(3)素早く対応することを伝えるとき
相手から「資料を作成してほしい」「データを送付してくれ」などと依頼があり、それに対する返答をするときなど、素早さを強調するときにも「早速」を使います。
【例文】
- それでは早速取り掛からせていただきます。
- ご送付いただきました資料、早速拝見いたしました。
「早速」「早々」「迅速」の違い
まず「早々」と「迅速」のそれぞれの意味を確認しましょう。
- 早々(そうそう):すぐに、急いで
- 迅速(じんそく):すみやか、非常に素早い
「早速」と同様に「早く、急いで」を伝えるときによく使われる言葉です。ただし、相手や素早さによって細かい違いがあります。下表をご覧ください。
相手 | 素早さの基準 | |
早速 | 目上・目下・同僚など立場に関係なく使える | 対応が早いとき |
早々 | 自分と同等か目下に対して使う | 対応が早いとき |
迅速 | 目上・目下・同僚など立場に関係なく使える | 対応が非常に早いとき |
「早々」も「早速」と同じように「すぐ」という意味がありますが、相手が上司や目上の人の場合、急かすようなニュアンスになってしまうため、失礼です。「早々のご対応、ありがとうございます」はNG。
基本的に自分に対して使うか、自分と同等、もしくは目下の人に対して使います。使い間違いしやすい敬語のため、覚えておきましょう。
【例文】
- クライアントに提出する資料は早々に作成するように。
- 今日は早々に失礼します。
- 早々に資料を確認します。
自分の対応に対して「早々」を使用したり、部下に対して使いましょう。
「迅速」は「早速」と同様、目上の方に対しても使える言葉です。自分の行動について素早さを強調して伝えたいときや、相手が早急に対応をしてくれたことに対して感謝の気持ちを添えるときに使います。
【例文】
- 迅速なご対応、誠にありがとうございます。
- 迅速に対処いたします。
相手に「素早く連絡をくれてありがとうございます」ということを丁寧に伝えたいときや「今すぐ確認します」と丁寧さやスピーディーさを相手に伝えたいときに使いましょう。
間違い敬語に要注意
下記の敬語は、すべて誤用表現です。
【間違い敬語表現】
- 早速ご対応いただき、ありがとうございます。
- 早々ご対応いただきましてありがとうございました。
- 迅速にご対応いただき、誠にありがとうございます。
間違いポイントは「ご対応いただき(まして)」の部分です。「ご対応」のように「ご」や「お」がついた言葉に、「もらう」の尊敬語である「いただき」を付けるのは不適切な敬語表現なので気をつけましょう。
「ご対応いただき」を正しく言い換えると「対応をしていただき」となります。
【正しい敬語表現】
- 早速の対応をしていただき、ありがとうございました。
- 早々の対応をしていただき、ありがとうございました。
- 迅速に対応をしていただき、誠にありがとうございます。
「早速」を使ったビジネスメールの例文集
「早速ではございますが」を使ったメールの例文
件名:資料送付のご案内 株式会社〇〇〇〇 平素より大変お世話になっております。 早速ではございますが、ご依頼いただきました資料を ―――――――――――――― お手元に届きましたら内容をご確認いただきますよう ご不明な点やご質問など御座いましたら、 上記につきまして何卒宜しくお願い申し上げます。 ==================== |
そのほかの文例は「資料送付・書類送付の案内メールの例文集」をご覧ください。
「早速のご返信」を使ったメールの例文
件名:Re:Re:ご面談日時のご相談 株式会社〇〇〇〇 いつも大変お世話になっております。 この度はご多忙にもかかわらず、 ご指定をしていただきました通り、 なお、急なご事情によりご都合が悪くなられましたら、 また、ご不明な点などございましたら それでは、当日ご面談のお時間を頂きますが、 ==================== |
そのほかの文例は「営業のアポイント取得のお礼メールの文例集」をご覧ください。
「早速」を使ったメールの例文
件名:資料作成のお礼 株式会社〇〇〇〇 平素より大変お世話になっております。 本日、〇〇の資料を拝受いたしましたので この度は当方の急なお願いにもかかわらず 早速、〇日の社内会議にて使わせていただきます。 貴社製品導入の可否につきましては、改めてご連絡致しますので、 取り急ぎ、受領の報告とお礼を申し上げます。 ==================== |
そのほかの文例は「資料作成のお礼メールの文例」をご覧ください。
まとめ
「早速」「迅速」「早々」のそれぞれの意味や違いについて解説しましたが、いかがでしょうか。
正しい敬語の使い方を身につけることは、社会人として活躍するための第一歩。それぞれのビジネスシーンにふさわしく適切な言葉使いを身につけることは基本であり、最低限のマナーでもあります。
この機会に使いこなせるように覚えてくださいね。