「益々」の意味や使い方はご存知ですか?
読み方は「ますます」です。
日常会話のなかはもちろん、ビジネスシーンでも使われる馴染み深い言葉のひとつですよね。
ここでは「益々」の意味や使い方についてご説明します。「増々」との違いや、ビジネス文書・メールの例文も紹介するので参考にしてくださいね。
目次
「益々」の意味
「益々」の意味は「程度が一層はなはだしくなるさま。いよいよ」です。
「益」という漢字は単独で「役に立つこと。ためになること」「利益。もうけ。利得」という意味があります。そして、動詞「益す(ます)」の字を重ねることで、「益々」は数量や程度が大きくなることを表しています。
上記の意味から、ビジネスシーンで「益々」を使うときは、基本的に縁起が良いことを表現したいときに用います。
「益々」と「増々」の違い
「益す」は「増える」という意味の言葉ですが、同じ意味なら「増す」という字の方が馴染み深いのではないでしょうか。
「益々」と「増々」はどちらも数量や程度が大きくなることを表しますが、使用する文脈に違いがあります。
一般的に「増々」はどのような内容の文章でも使用するのに対し、「益々」は利益や売上、業績、市場規模、体力、肩書、収入といった、増えることが喜ばしいことを表したいときに使われます。
ただし、「益々」と「増々」に明確な使い分けのルールはありません。「迷ったときは益々を使う」と覚えておくと良いでしょう。
「益々」の日常会話での使い方
日常生活で「益々」を使うときは、印象が固い漢字表記を避けて「ますます」とひらがな表記するのが基本です。
体調や天気、経済など様々な場面で、良くも悪くも数量や程度が大きくなる際に使います。日常生活における「益々」を使った例文は以下のとおりです。
【例文】
- これから夜にかけてますます天気が崩れるでしょう。
- 給与明細を見て、業績がますます悪くなったことを実感する。
- イルミネーションで街が賑やかになるにつれ、ますますクリスマスが楽しみになってくる。
「益々」のビジネスシーンでの使い方
ビジネスシーンにおいて「益々」はビジネス文書やメールで用いられます。主にビジネス文書の下記の2つの場面で使います。
- 1:前文の「繁栄を喜ぶ言葉」
- 2:末文の「結びの挨拶」
それぞれの使い方をご説明します。
1:前文での「益々(ますます)」の使い方
ビジネス文書の前文は「頭語・時候の挨拶・繁栄を喜ぶ言葉・日頃の感謝の言葉」で構成されています。その「繁栄を喜ぶ言葉」で「益々」は使われます。下図の(3)をご覧ください。
「益々」「ますます」と漢字・ひらがな表記のどちらでも使います。
【例文】
- 時下益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
- 拝啓 新緑の候、貴社益々ご清栄のことと心からお喜び申し上げます。
- 貴社におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
- 貴社ますますご盛栄の段、お慶び申し上げます。
- 貴店におかれましてはますますご繁盛のことと大慶に存じます。
ただし、「益々」そのものには相手に対する敬意は含まれません。相手に失礼がないよう、後に続く文章でしっかり敬意を示しましょう。
その他にも、「益々」は「ご愛顧」「ご繁栄」「ご支援」「ご活躍」「ご隆盛」といった言葉と組み合わせて使うこともできます。
詳しくは「相手の安否を尋ねる挨拶|すぐに使える例文つき」をご覧ください。
2:末文での「益々(ますます)」の使い方
「益々」は、ビジネス文書の末文で結びの挨拶としても使われます。位置は下図の(7)です。
ビジネスシーンにおける「益々」を使った例文は以下の通りです。
【例文】
- 末筆ながら貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
- ますますのお引き立てをよろしくお願い申し上げます。
- 貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
- 〇〇様と貴社の益々のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。
その他の例文も確認したい方は「結びの挨拶の例文|ビジネス文書の書き方」をご覧ください。
「益々」を使ったビジネス文書例文
前文で使った例文
平成〇〇年〇月〇日 取引先各位 株式会社〇〇〇〇 会食のご案内 拝啓 新秋の候、皆様におかれましては益々ご盛栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、深く感謝申し上げます。 敬具 記 日時 平成〇〇年〇月〇日(〇)18時~21時 以上 |
末文で使ったビジネス文書例文
拝啓 春暖の候、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。 敬具 |
末文で使ったビジネスメール例文
件名:支店着任のご挨拶 株式会社〇〇〇〇 平素より大変お世話になっております。 さて、この度〇月〇日付で無事、 在任中は大変お世話になりました。 〇〇様とのお仕事を通じて、私自身、 〇〇支店では〇〇様の教えを生かして業務に精励いたす所存です。 〇〇様におかれましてはご多忙とは存じますが、 〇〇様と貴社の益々のご健勝とご発展を 〇年もの間、本当にありがとうございました。 ==================== |
「益々」の類語・言い換え表現
「益々」にはどのような言い換え表現があるのか、ご紹介します。日常会話に取り入れやすい類語もあるので参考にしてください。
「より一層」
「より一層」は「程度がいちだんと進むさま。ひときわ。ますます」という意味です。
「益々」とほぼ同じ意味で、「より」「一層」とそれぞれ単独で使っても、同じような意味になります。「より一層」は文章と会話の両方で使うことができる上に、改まったスピーチのような場面でも使うことができます。基本的にはポジティブな文脈を中心に使います。
「輪をかけて」
「輪をかけて」は「程度をさらにはなはだしくする」という意味です。
元は「輪をかける」という形ですが、「輪をかけて」と連用形にすることで後ろに文章を続けることができます。少し固い文語寄りの表現のため、日常生活で耳にする頻度はそう高くありません。
「更なる」
「更なる」は「一層の。ますますの」という意味です。
「益々」「より一層」とほぼ同じ意味になります。使い方も同様で、文章と会話の両方で使うことができ、改まったスピーチにも向いています。「より一層」に比べて、どことなくスケールの大きさを感じさせる表現です。
「一段と」
「一段と」は「比べると、かなりのちがいのあるさま。ひときわ。いっそう。ずっと」という意味です。
「益々」とほぼ同じ意味なので言い換えて使うこともできますが、「一段と」は以前との段階の違いを明確に印象付けることができます。したがって、褒め言葉には、「益々」よりも「一段と」を用いる方がふさわしいでしょう。
「以前にも増して」
「以前にも増して」は「今より前の時点に比べていっそう。さらに。もっと」という意味です。どんな文脈でも使うことができるフレーズなので、非常に使い勝手がよく重宝します。
さいごに
ここでは「益々」の意味や使い方をご説明しましたが、いかがでしょうか。
上でも述べた通り、ビジネスシーンでは特にビジネス文書でよく使います。
この機会に覚えておいてくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました!