「日ごろのご愛顧に感謝して」「ご愛顧いただきますよう」などの挨拶文は、ダイレクトメールなどで非常によく見かける表現です。
「ご愛顧」には「愛」という言葉が入っていることから、「愛用」みたいな意味かな、と思っている人も多いかもしれませんね。ただ、この「ご愛顧」という言葉、ちょっと使い方に注意が必要な言葉でもあるのです。
ここでは、「ご愛顧」の意味や正しい使い方について詳しく解説します。「ご愛顧」の言い換え表現や、メールの例文も紹介するので参考にしてくださいね。
特に販売に関連する仕事をしている人にとっては、うまく使いこなせると便利な表現ですのでぜひこの機会に意味と使用法を押さえておいてください。
目次
「ご愛顧」の意味と使い方
「ご愛顧」は「ごあいこ」と読みます。
「ご愛顧」の「愛」は「愛する、かわいがる」という意味であり、「顧」という語には「目をかける」「好意的に世話をする」という意味があります。
そのふたつの言葉が一緒になった「愛顧」は「目をかけ、引き立てること」という意味ですが、ここで気を付けなければならないことがあります。「ご愛顧」は、贔屓する側(お客様)ではなく、贔屓にしてもらう側(会社や商店)の側から使う表現になっています。
- 〇:(お客様の)日ごろのご愛顧に感謝し
- ✕:(当店からの)日ごろのご愛顧をこめて
ときどき、折り込みチラシなどで間違った表現を目にすることもあるので、「ご愛顧」は「贔屓にしてもらっている側が用いる表現」だということを、忘れないでくださいね。
【例文】
- このたび当店は下記の場所に移転いたしますが、従前の通りご愛顧のほどお願いいたします。
- 〇〇様におかれましては、常日頃、特別のお引き立てとご愛顧をいただき、深く感謝申し上げます。
- 長らくの間、ご愛顧くださいましたこと、心よりお礼申し上げます。※閉店や商品の販売・サービスの終了のときの挨拶文
「ご愛顧」を使った例文(挨拶・メール)
つづいては「ご愛顧」のフレーズを使ったビジネスメールの例文を紹介するので参考にしてくださいね。
日頃のご愛顧に対する感謝の気持ちを込めたキャンペーンメールの例文
件名:冬の売り尽くしキャンペーンのご案内 お客様各位 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。 さて、弊社は平成〇〇年〇月〇日をもちまして そこで、これまでの皆様のご愛顧に感謝を致しまして、 期間中は、全店にて対象商品を最大30%割引の特別価格で ■〇周年記念セールのご案内 社員一同、皆様のご来店を心よりお待ちしております。 ==================== |
年末年始の挨拶メールで「ご愛顧」を使った例文
件名:年末年始休業日のご通知 株式会社〇〇〇〇 いつも大変お世話になっております。 年の瀬も近くなり、ご多忙のところ失礼致します。 誠に勝手ながら、弊社の年末年始の休暇につきまして ■年末年始の休暇 なお、仕事始めは1月〇日午前〇時からとなります。 本年のご愛顧に心よりお礼申し上げますとともに、 ==================== |
サービス終了メールで「ご愛顧」を使った例文
件名:〇〇サービス終了のお知らせ お客様各位 平素より弊社〇〇サービス(製品)をご愛顧いただき、 突然ではございますが、この度、 〇〇サービスは、社員間の円滑なコミュニケーションを サービス終了に伴い、〇〇年〇月〇日(〇)午後〇時(予定)より 〇〇年〇月のサービス開始より、 サービス終了に伴い、皆様には多大なご迷惑をおかけ致しますことを 今後とも弊社サービスをご愛顧くださいますようお願い致します。 【本件に関するお問い合わせ先】 ==================== |
その他の「ご愛顧」の例文
新商品や新しいサービスの案内
平素より〇〇をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。さて、このたび当店(弊社、〇〇オンラインショップなど)では△△のサービスを開始いたしました。
割引クーポンや送料無料サービスなどを提供する場合
いつも当店(弊社、〇〇オンラインショップなど)をご利用いただき誠にありがとうございます。日ごろのご愛顧に感謝して、〇〇ご購入の際にお使いいただけるお得なクーポンをご用意いたしました。
移転のお知らせで今後の関係の継続を求める場合
このたび弊社は下記の住所へ移転し、業務を行うこととなりました。これを機に、皆様のさらなるご愛顧を得られますよう専心努力いたしますので、今後ともなお一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
「ご愛顧」の言い換え・類義語
「ご愛顧」の類語には、以下のものがあります。
- お引き立て
- ご贔屓
- お力添え
- ご支援
- 恩顧
- ご厚意
- お目をかけて
「お引き立て」「ご贔屓」の言葉は「ご愛顧」とほぼ同じ意味で使うことができます。また、「助けてもらっている」「力を貸してもらいたい」というニュアンスを強めた表現として「お力添え」「ご支援」の言葉に言い換えることができます。
「恩顧」は「ご愛顧」とほぼ同じ意ですが、使い方が異なり、「ご」はつけず、「蒙る(こうむる)」という動詞で受けます。
また、「ご愛顧いただき」の代わりに「ご厚意」「お目にかけて」のふたつの表現を使うことができますが、相手との関係性に重点を置いた言葉です。
【例文】
- 日ごろは格別のお引き立てを賜り、心から感謝申し上げます。
- 長年ご贔屓にあずかり、誠にありがとうございます。
- 今後とも引き続きお力添えのほど、お願い申し上げます。
- 本年も弊社に並々ならぬご支援をいただき、誠にありがとうございました。
- 一方ならぬ恩顧に心より感謝申し上げますとともに、今後とも一層のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
- 過分なるご厚意を賜り、誠に感謝申し上げます。
- 長年、お目をかけていただき、御礼申し上げます。
まとめ
「ご愛顧」は、商品やサービスを購入するお客様の立場である私たちにとって、ことのほかなじみ深い表現です。
ただ、使う側に回らなければ、「ご愛顧ありがとうございます」とメールが来ても、特にピンとこなかったのではないでしょうか。
たとえ直接販売に関わっていなくても、現代のビジネスパーソンは何らかの形で商品の流通には関係しています。その意味で、私たちは誰もが、この言葉の受け手であるだけでなく、送り手でもあるのです。
自分がビジネスを行っている相手に感謝の意を込めたり、支援を要請するときに、心を込めて「ご愛顧お願いいたします」と使ってみましょう。ここに挙げた例文や類語をどうぞ参考になさってください。