突然ですが、「修正」と「訂正」の違いをご存知ですか?
どちらも何かの内容を正すことを意味する言葉ですが、「修正」と「訂正」の意味や使い方には細かな違いがあります。
上司から「この文書の三行目の部分を直しておいて」と言われたら、「修正いたします」「訂正いたします」のどちらの言葉で返答すれば良いのでしょうか。
また、取引先の担当者が作成した資料に誤字や脱字があったときは、「修正」と「訂正」のどちらの言葉を使うのが適切なのでしょうか。
ここでは「修正」と「訂正」の違い・使い分け方についてご説明します。それぞれの意味や使い方についてもお伝えするので参考にしてくださいね。ビジネスシーンでは頻繁に出てくる言葉だけに使い方を間違えないよう、この機会に覚えておいてくださいね。
「修正」の意味・使い方
「修正」の意味は「不十分・不適当と思われるところを改め直すこと」です。
「修正」には「間違いを直す」という意味もありますが、厳密には、直す対象に必ずしも間違いが存在するとは限りません。「現状のものをより良くする」という意味合いを含んだ言葉なのです。
その代表例が「軌道修正」という言葉です。
「軌道修正」は「物事の進むべき方向のずれを正すこと」という意味ですが、「現状を改善する」というニュアンスが強く表れた表現ですね。
「修正」は、文章や語句に限らず、考えや意見・方向性などを改めるときにも使われます。
【例文】
- 原稿に加筆修正を行う。
- 税務署に修正申告を提出する。
- 今期の売上を上方修正した。
ビジネスシーンでの「修正」の使い方
「修正」は、「相手の間違いやミスを指摘する」ことよりも「現状を改善するよう依頼する」という意味合いの言葉です。
そのため、ビジネスシーンでは相手に間違いがあったときや、書類の手直しをお願いするなど、事務的な改善の依頼をするときに使います。
たとえば、上司や先輩に間違いを直すよう依頼するときは「書類に不備があったので修正をお願いいたします」と伝えます。
相手のミスをこちらで直したときは「資料の一部を修正しました」「修正した資料をお送りいたします」などと、相手の視点に立った柔らかい表現にするのが基本です。
「訂正」の意味・使い方
「訂正」の意味は「誤りを正しく直すこと。特に言葉や文章・文字の誤りを正しくすること」です。
「訂正」は、直す対象に明確な間違いがあるときに使います。
たとえば、テレビのニュース番組で間違いがあったとき、アナウンサーの方が「只今のニュースの中で〇〇とお伝えしましたが、正しくは△△でした。お詫びして訂正致します」といったフレーズを見聞きすることがありますね。
また、謝罪会見の場で「発言を訂正する」という表現で使われたりもしますよね。
「訂正」は間違いを正すときに使う言葉なので覚えておきましょう。
なお、「訂正」は特に文章や誤字、発言などの誤りを正しくするときに用いられる言葉です。
【例文】
- 誤記・誤植を訂正する。
- 訂正した上で改めたことを注記で記した。
- 以下の通り訂正いたしました。
ビジネスシーンでの「訂正」の使い方
「訂正」は、直す対象に明確な間違いがあるときに使う言葉なので、ビジネスシーンでは自分以外の人に使用するのは不適切です。
ミスや間違いを指摘する印象が強調されてしまうため、くれぐれも避けましょう。
ですが、自分がミスをしたときは「訂正」を使うと素直で誠実な姿勢が伝わりやすくなります。
「ご指摘の内容をすぐに訂正します」と伝え、お詫びの言葉を添えるとよいでしょう。
「校正」「変更」「是正」の意味や違いは?
「修正」と「訂正」以外にも、似た意味の言葉に「校正」や「変更」「是正」があります。それぞれの意味や使い方についても理解しておきましょう。
「校正」の意味は「文字・文章を比べ合わせ、誤りを正すこと」です。
ここでの誤りとは、誤字脱字や誤変換・誤表記のことを指しています。
また、パンフレットを作成するときに、校正刷り(校正するために1部だけ印刷したもの)と原稿を引き合わせて、文字の誤りや不備を見つけることも「校正」と言います。
「変更」の意味は「決められた物事などを変えること」です。
日時や議題・予定や計画など、事柄が変わるときに使うことができます。変更の依頼をお願いするときは、何をどのように変えたいのか、簡潔に依頼するのがマナーです。
「是正」の意味は「悪い点や不都合な点を改め正すこと」です。
「訂正」が日常的に使われる言葉であるのに対し、「是正」とは文語的な表現であるため「格差是正」「是正勧告」などのように、法律的なことがらや社会的な問題などの場合に使用されるのが一般的です。
さいごに
ここでは「修正」と「訂正」の違いや使い分け方についてご説明しましたが、いかがでしょうか。
ビジネスシーンでは「修正」「訂正」の言葉は頻出用語です。
特に、会話のなかで自分の間違いやミスに対して使うときは「訂正」、相手には「修正」を使うことを心がけてください。
不快に思われないようこの機会に覚えておいてくださいね。