宛名の敬称「様方(さまがた)」とは?正しい書き方まとめ

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「差し出がましい」の意味・正しい使い方|ビジネスで使える言い換え表現集つき

「様方」の意味や書き方を知りたいと思っていませんか?

ここでは宛名の敬称である「様方」の意味や書き方、使い方について詳しくお伝えするので参考にしてくださいね。

「様方」を使うときの正しい場面

「様方」は「さまがた」と読み、手紙やハガキの宛名に書く敬称です。

送る先の世帯主の苗字と受取人の苗字が異なる場合に使います。例えば、鈴木さんの家に佐藤さんが居候している場合や、親子で苗字が違う場合で、世帯主でない子供に手紙を送りたいときなどです。

他にも下宿先、実家に帰省している別世帯の人、結婚前の同棲期間に彼氏の家に住んでいる婚約者の女性に手紙を送りたい場合など、さまざまな場面で利用することができます。

普段一緒に暮らしていない場合でも世帯主と受取人の苗字が同じ場合は「様方」は使う必要がなく、通常の「○○様」で問題ありません。

「様方」の書き方・注意点

「様方」の書き方は世帯主の名前+様方+受取人の名前+様という順番になります。

世帯主の名前はフルネームの方が望ましいです。スペースなどの関係で書けないときは苗字だけでも構いませんが、受取人の名前は必ずフルネームで書くようにしてください。

また、字の大きさは世帯主の名前は受取人の名前より少し小さく書きます。これにより受取人の名前を目立たせるだけでなく、住所の一部と捉えられてしまうのを防ぎます。

文字の高さは、住所は一番高いところから書き、改行して住所より1文字下がった場所から世帯主の名前、また改行してそれより1文字下がった場所から受取人の名前(少し大きく)書くのがバランスが良く、相手にも見やすくなります。

宛名は封筒でもハガキでも、その真ん中に来るように書くのがきれいです。封筒には縦書きと横書きがありますが、縦書きの方が丁寧な印象を与えるため、ビジネスの手紙は縦書きで書くのが望ましいです。

以下に「様方」の書き方の例をご紹介します。

鈴木太郎さん宅に居候している佐藤次郎さんに手紙を送る場合

鈴木太郎様方 佐藤次郎様

実家、高橋一男さん宅に帰省している既婚者の渡辺花子さんに手紙を送る場合

高橋一男様方 渡辺花子様

「様方」はあくまでも個人宅宛に手紙を送る場合に使用できます。

送る先が個人宅でなく、企業や会社、施設に送る場合には「様方」ではなく、「気付(きづけ)」を使いますので注意しましょう。

「気付」は、直接相手の住所ではなく、その人が立ち寄っている場所に手紙を送る場合に使う敬称です。例えば、ある会社に勤務している社員の誰かに手紙を送りたいとき、急ぎで確認して欲しいが相手は出張中で、時間がないのでその出張先のホテルに手紙を送りたいときなどに使います。ですので送り先の企業やホテルの人がその手紙をまず受け取り、その人から本来の受取人に渡してもらうという形になります。

「気付」には「確実に受取人に届けてください、お願いします」という意味があります。

「気付」の書き方は立ち寄っている会社や施設+気付+受取人の名前+様の順番となります。

また、「気付」は、自分宛に手紙や荷物を送ることもできます。

これから行く先の会社、ホテルなどに荷物を送りたい場合は会社やホテル+気付+自分の名前+行を使います。自分宛の場合は「様」ではなく「行」とするようにしましょう。

そしてこちらは企業や施設など、団体に対して使う語で、個人宅には使えませんので注意してください。

以下に「気付」の書き方の例をご紹介します。

□□株式会社に勤務している△△さんに手紙を送る場合

□□株式会社気付 △△様

入院先にお見舞いなどを贈る場合

△△病院 ◇◇号室気付 ☆☆様

弔電を送る場合

□□葬祭場気付 △△様

自分の宿泊するホテルに荷物を送る場合

△△ホテル フロント気付 □□行

宛名に使うその他の敬称

「様方」「気付」以外に、一般的に宛名に使う敬称を次からご紹介します。

「様」

「様」は、個人に手紙を送るときの一番ポピュラーな敬称です。

名前+様というように使います。会社などに送る場合は、会社名+部署名+名前+様とします。

この場合、相手に「部長」や「社長」などの役職の敬称が付いている場合は、「部長」+「様」などとするのは間違いで、役職を書くときは「部長 ○○様」とするのが正しい書き方です。

「様」は手紙でも文書でも、口頭でも使うことができる表現です。

「殿」

「殿」は、目上の人が目下の人に対して手紙などを送る際に使う敬称です。

例えば社長が部長に対して手紙を送る際、「○○部長殿」といった書き方をします。しかし、上下の関係性が複雑な場合や誤って目上の人に使ってしまうとトラブルの元となるため、ビジネスでは「様」で統一するのが無難です。

「殿」は手紙、文書で使うのが一般的で、口頭では使いません。

「先生」

「先生」は、学生時代の恩師や病院の先生、担当の弁護士などに対して手紙を送る際に使う敬称で、一般的に「先生」と呼ばれる職業に就いている人に対して使うことが多いです。こちらも先生+様とするのは二重敬語になり誤りですので手紙の宛名で書く際は、「○○先生」だけにし、「様」は付けないようにしましょう。

「御中」

御中」は、企業や会社に対して使う敬称です。個人ではなく、組織や団体に対して手紙などを送る際に使います。「御中」の「御」には、下に続く「中」を丁寧に表現する意味があり、「中」には「会社や組織の中にいる人」という意味があるので、正確には企業や会社自体を敬っているわけではなく、企業の中にいる個人を敬う語になります。

会社名+御中というように使います。それだけだと、「その会社の誰でもいいので読んでください」という意味になります。部署名や課名まで書くときは、「○○会社 △△部署 □□課 御中」とします。

「御中」と「様」は同時に使えないので、その会社の中の個人に対して送るときは「○○会社御中 ○○様」とするのは間違いです。「○○会社 ○○様」としましょう。

「御中」は手紙や文書の宛名のみで使う言葉になります。文中で会社を表現するときは「貴社」とします。

「各位」

各位」は、「皆様」「皆様方」と同じ意味で、大勢の人に対して文書を発表するときなどに使う敬称です。

「○○各位」は、「○○に属している皆様」という意味になります。「各位」には「様」という意味も含まれているため、「○○各位様」とするのは二重敬語となり間違いですが、「お客様各位」や「お得意様各位」などは一般的によく使われている表現なので、許容されている部分があります。

「各位」は手紙や文書で使う表現で、口頭では使いません。また複数人数に宛てる場合に使うので、個人宛のメールや手紙には使わないように気を付けてください。

「行」

「行」は先に述べたように、自分に送る手紙などに対して使う語です。また、自分の所属している会社や団体宛に送る場合にも、会社(団体)+行、または会社(団体)+係とします。

「行」は、自分や自分の会社宛に出して欲しい往復ハガキや返信用封筒の宛名にもよく使われます。これに対して送られた方は、「様」や「係」を二重線で消し、「様」や「御中」に書き換えて送り返すのがマナーです。

「宛」

「宛」は「行」と同様、自分宛の手紙などに使う語です。主に往復ハガキや返信用封筒に使う点では同じですが、「宛」は会社や団体ではなく個人に対しての手紙に使います。こちらも送られた側は「宛」を二重線で消し、「様」に書き換えて送り返すのがマナーです。

「宛」は口頭で使う語として正しく、手紙の宛名にはふさわしくないという考えもあるため、相手に返信してもらう手紙などの場合は「宛」よりは「行」を使った方が無難です。

さいごに

ここでは「様方」の意味や使い方についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。

この機会に覚えておいてくださいね。

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