突然ですが、「なので」の正しい使い方はご存知ですか?
前後の文章を繋ぐ接続語として使うのが一般的ですが、それ以外に「~です。なので、~です」というように、文頭の接続詞として用いる方も少なくありません。
「なので」はよく耳にする表現ですが、間違って使ってしまうと相手に違和感を与えるので気をつけたいですね。
そもそも、敬語として目上の人に使っても失礼に当たらない表現なのでしょうか。
ここでは「なので」の意味や正しい使い方をご説明します。ビジネスでの言い換え方やメール例文についてお伝えするので参考にしてくださいね。
「なので」の意味と敬語表現
「なので」の意味は「だから」「であるから」です。
断定の助動詞「だ」と、接続助詞「ので」が組み合わさった連語です。※連語とは、二つ以上の単語が連なり、一つの単語と似た働きをする単語のこと。
例えば、「私は英語が得意なので、外交官になりたいです」と使います。
「なので」の正しい使い方は上記した連語としての用法ですが、近年では若者を中心に、接続詞として使われることも多くなりました。
例えば「昨日は遅くまで残業をしてとても疲れた。なので、今朝は寝坊した」という使い方です。
「だから」と同じ用法ですね。ちなみに「だから」は、「前に述べた事柄を受けて、それを理由として順当に起こる内容を導く語」として使われる順接の接続詞です。
「だから」と同じように、文頭の接続詞として「なので」を使うのは正しいのでしょうか。
結論をお伝えすると「なので」と「だから」の意味はほぼ同じですが、「なので」は連語のため、本来、接続詞としての用法は正しくありません。しかしながら、近年では辞書で解説される事例にも出てきており、現代用法として認められつつあります。
ただし、まだはっきりと用法が定まるには至っていないため、話す相手や状況によっては避けたほうが無難といえる表現でしょう。
ビジネスシーンでは「なので」は使える?
ビジネスシーンで上司や取引先といった目上の人との会話の中で、文頭の接続詞として「なので」を使っても失礼に当たらない表現なのでしょうか?
「なので」は敬意を含まない表現なので、話し言葉のみならず、ビジネス文書はもちろん、履歴書や職務経歴書の説明文に使うのもふさわしくありません。
そのため目上の人や上司に「なので」を使うときは、丁寧語に言い換えた「ですので」や「ですから」を使用するようにしましょう。
詳しくは『「ですので」の意味・使い方|類語・言い換え表現・メール例文集つき』をご覧ください。
「なので」の言い換え方
前述したとおり、「なので」の丁寧語に言い換えた表現は「ですので」や「ですから」です。
そのほかの「なので」を言い換えた口語表現や文語表現についてもご紹介します。
以下にビジネスメールや手紙を書くときの言い換え方(文語表現)、会話で使うときの言い換え表現をまとめたのでご覧ください。
話し言葉での言い換え方
目上の人との会話で「なので」を使うときは
- ですので
- ですから
- そのため
- 従いましては
を使いましょう。
なお「ですので」は柔らかい印象を与える表現であるのに対し、「ですから」は少し強い印象を与えます。
例えば、相手に注意を促すときに「小さなお子様がいらっしゃいます。ですので、歩きたばこはご遠慮ください」と「ですので」を使うことによって、注意してほしいことをやんわりと促します。
一方で「ですから」は、よりはっきりと表現し、明確に指摘するニュアンスが強くなります。例を挙げると「小さなお子様がいらっしゃいます。ですから、歩きたばこはご遠慮ください」です。
そのほかの例文も見ておきましょう。
【例文】
- 周りの方にご迷惑ですので、携帯での通話はお控えください。
- 閉店時間ですから、お帰りのご準備をお願いいたします。
ビジネスメール・手紙での言い換え方
「なので」をビジネスメールや手紙などの書き言葉で言い換えるときは
- したがいまして
- つきましては
- そのため
などの表現を使うと丁寧です。
以下に例文をご紹介します。
【例文】
- 当日の天気予報は晴れとなっております。したがいまして、イベントは通常通り開催させていただきます。
- 明日、この会場は満席となっております。したがいまして、入場された順に詰めてお座りください。
- 受付時間は夕方5時までとなっております。そのため、それ以降は係員がおらず対応いたしかねます。
- 5日まで担当者が不在です。つきましては、戻り次第折り返しご連絡させていただきます。
さいごに
ここでは「なので」の意味や使い方についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。
「なので」をビジネスで使うときは注意しなくてはなりません。文頭の接続詞として使うのは現代では許容された表現ではあるものの、敬語表現ではないため、「ですので」「つきましては」といった言葉に言い換えて使いましょう。
ぜひ「なので」に代わるこれらの適切な表現を頭に入れて、必要な場面で活用してみてくださいね。