「はなむけの言葉」の意味・使い方・由来・漢字|退職・結婚・転勤の例文つき

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「はなむけの言葉」の意味・使い方・由来・漢字|退職・結婚・転勤の例文つき

学校の卒業式や会社の送別会の場では、「はなむけの言葉」は欠かせません。学生時代、校長先生や来賓の方から「はなむけの言葉」を贈られたことがあると思います。

社会人生活のなかでも転勤や退職、部署異動をする人に「はなむけの言葉」を贈ることがあります。

お別れするときや巣立っていくときに贈る言葉だということはわかっていても、「はなむけ」がどのような意味を持つのか、知っている方は意外と少ないのではないでしょうか。

ここでは「はなむけの言葉」の意味や使い方はもちろん、「はなむけ」という言葉の由来や漢字の使い分け方についてまとめました。さらに、退職、転勤、結婚の際に使える「はなむけの言葉」の例文も紹介しますので、相手の心に残るような「はなむけの言葉」を作るときの参考にしてくださいね。

「はなむけの言葉」の意味・使い方

「はなむけの言葉」の「はなむけ」とは「旅立ちや門出を祝って、別れて行く人に金品・詩歌などを贈ること。また、その贈り物」という意味です。

簡単に言うと「はなむけの言葉」は「別れていく人に向けて贈る言葉」ですね。

そのため、入学式で生徒をあらたに迎え入れるときや、共に働く仲間として入社する人に向けて使う言葉ではないので、間違えないように気をつけましょう。

なお、「はなむけの言葉」はお別れする相手が目上の人でも、目下の人であっても使える言葉です。

上司が他部署に異動していく部下に、部下が退職する上司に、後輩が先輩に、など、旅立ちを激励する意味で使われます。

【例文】

  • 拙い挨拶ではございましたが、これをもちまして私からお二人へのはなむけの言葉とさせていただきます。
  • 卒業式で、在校生から卒業生にはなむけの言葉を贈った。
  • 定年退職する上司へ、送別会ではなむけの言葉を贈る。

「はなむけ」の由来

「はなむけ」は漢字だと「贐」「餞」と書きますが、この言葉が生まれた当初は「鼻向け」という字が使われていました。「はなむけ」という言葉が「馬の鼻向け」という故事に由来しているからです。

その昔、旅に出る人の安全を祈って、出発時にその人の乗っている馬の鼻を行先の方へ向けるという習慣がありました。これが元となって、旅立つ人への餞別を意味する「馬の鼻向け」という言葉が生まれました。

この「馬の鼻向け」という言葉が時代の経過とともに次第に略されて、現在の「はなむけ」という言葉になったわけです。ちなみに、この習慣は今から1,000年以上前に記された土佐日記の冒頭や、伊勢物語の第44段にも登場します。

餞別に贈る言葉というイメージから花束が連想されるためか、「はなむけ」の漢字表記を「花むけ」だと思っている人も多いようですが、これは間違いです。

「贐」と「餞」の漢字の使い分け方

上でも述べたとおり、「はなむけ」は、現在では「贐」、あるいは「餞」の漢字を使います。

「贐」と「餞」は同じ意味で使われているため、使うシーンに関わらずどちらの漢字を使っても間違いではありません。しかしながら、漢字の持つ印象から、結婚式などの盛大なお祝いには「贐」、ささやかなお祝いには「餞」と使い分けるのが一般的です。なぜそうなっているのか、それぞれの漢字について詳しく見ていきましょう。

まず、「贐」という字をへんとつくりに分けると「貝」と「盡(尽の旧字体)」からできていることがわかります。それぞれの意味は以下の通りです。

  • 貝:貝。宝。貨幣。
  • 尽:尽きる。尽くす。全部。

⇒贐:宝を全て出し尽くす。

「貝」の字の意味や印象から、結婚のお祝いなどおめでたい場合には「贐」の字を用いることが多いようです。

一方で「餞」という漢字は「食」「戔」という字からできています。それぞれの意味は以下の通りです。

  • 食:食べる。食事。
  • 戔:少ない。損なう。

⇒餞:少ない食事。こぢんまりした食事。

「餞」という漢字が示すように、ささやかに門出を祝う場合や、「餞別」という単語の印象から、転勤や退職する人には「餞」の字を用いることが多いようです。

  • 贐:結婚のお祝いで用いることが多い。
  • 餞:退職や転勤する人に用いることが多い。

繰り返しになりますが、どちらの漢字を使っても間違いではありません。また、ご祝儀袋の表書き以外では「はなむけ」とひらがなで表記することがほとんどです。

はなむけの言葉の例文集

つづいては、贈る相手に合わせた「はなむけの言葉」の例文をご紹介します。気持ちのこもったメッセージが贈れるよう、是非参考にしてくださいね。

退職する人にはなむけの言葉を贈るとき

  • 長い間のお勤め、本当にお疲れ様でした。これからも健康に気を付けてください。
  • 無事にお仕事を勤め上げられたこと、心よりお祝い申し上げます。長い間ご指導いただき、本当にありがとうございました。益々のご健康とご活躍をお祈りいたします。
  • 今までありがとうございました。私たちのこと、忘れないでくださいね。
  • 〇〇さんと過ごした日々はあっという間でした。これからも素敵な人生が歩めるように応援しています。
  • これまで大変お世話になりました。心より感謝の気持ちを込めて。
  • ついにこの日が来てしまいましたね。寂しいです。これからますます充実した時間を過ごされますよう心から応援しています。
  • 祝・退職!これから新たなスタートになるけど、がんばってね。

転勤する人にはなむけの言葉を贈るとき

  • 新天地での益々のご活躍をお祈り申し上げます。
  • 〇年間、大変お世話になりました。どうかお身体に気を付けて、△△でもご活躍されるよう祈っています。
  • 異動されると聞いて、大変驚きました。〇〇さんが敷いてくださったレールをより太いものにできるよう、がんばります。今まで本当にありがとうございました。
  • 〇〇さんとは個人的に親しくしていただいていたので、寂しさもひとしおです。さらなる飛躍を応援しています。
  • 新しい環境に慣れるまで大変だと思いますが、頑張ってください。また一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。

なお、転勤する方にビジネスメールではなむけの言葉を贈る方は「転勤のお礼メールの文例」をご覧ください。

結婚する人にはなむけの言葉を贈るとき

  • 結婚おめでとう!幸せな家庭を築いてね
  • ご結婚おめでとうございます 末永くお幸せに!
  • この度はご結婚おめでとうございます 心よりお祝い申し上げます
  • ご結婚おめでとうございます お二人の人生最良の門出を心からお喜び申し上げます
  • Happy Wedeing! いつも優しい〇〇さんならきっと穏やかで幸せいっぱいの家庭を築きますね 末永くお幸せに!
  • ご結婚心よりご祝福申し上げます お二人のさらなるご活躍をお祈り申し上げます
  • 結婚おめでとう! 素敵な人と出会えてよかったね これからも二人ずっと仲良くね
  • I’m very happy for you!(心から祝福を!)

「はなむけ」の類語

「はなむけ」にはいくつかの類語があります。以下に挙げる類語もあわせて覚えておきましょう。

  • お別れ
  • 餞別(せんべつ)
  • 送別(そうべつ)
  • 壮行(そうこう)
  • 手向け(たむけ)

「送別会」「壮行会」どちらも、人を送り出すための集まりを指します。しかし、「送別会」は卒業生や退職者のように帰ってこない人、「壮行会」は海外赴任や大会遠征などいずれ戻ってくる人のためのものです。使い分けに注意しましょう。

また、「手向け」には、餞別という意味の他にも「神仏や死者の霊に物を供えること。また、その物。」という意味があります。亡くなった人以外に使うと気分を害する人がいるかもしれません。退職、転職などのお別れのシーンでは「手向け」の使用は避けた方が良いでしょう。

【例文】

  • 引っ越しで転校する同級生へ、お別れの手紙を書く。
  • 退職される方へ、皆で餞別を贈った。
  • 本社へ栄転となった人を、送別会を開いて送り出す。
  • 全国大会出場選手を壮行会で激励する。
  • 永遠の別れに、花を手向ける。

さいごに

ここでは「はなむけの言葉」の意味や使い方、漢字での使い分け方についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。

「はなむけの言葉」の意味は「旅立ちや門出を祝って、別れて行く人に向けて贈る言葉」です。

現在では「はなむけ」は「贐」「餞」という2つの漢字で書き表します。どちらの漢字も同じ意味ですが、漢字の印象から結婚のお祝いには「贐」を、退職や転勤には「餞」の字を用いるのが一般的なので、それぞれのお別れのシーンに合わせた「はなむけの言葉」を贈ってくださいね。

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