「あわせて・そろって」ということを伝えたい時に使う言葉、「共々(ともども)」。
ビジネスシーンだけでなく、日常生活のさまざまな場面で上手に使いこなしたい表現ですが「目上の人に使ってもよい言葉なのか?」「結婚式の謝辞や葬式でも使えるのか?」と迷ったことはないでしょうか。
こうしたシンプルな言葉こそ、わかったつもりで誤った使い方をすると恥ずかしいですし、失礼になることも。
ここでは「共々」の意味や使い方を詳しく解説します。お礼メールや結婚の感謝を伝えるメッセージの例文も紹介するので「夫婦共々」「親子共々」を使うときの参考にしてくださいね。
目次
「共々」の意味・使い方
「共々」は「ともども」と読み、「一緒にあることをするさま。また同じようであるさま。ともに。そろって」という意味があります。
つまり「共々」は「複数の人や団体の、気持ちや様子などを伝えたい時」に使う言葉です。
【例文】
- 夫婦共々またお会いできる日を楽しみにしています。
- 今後とも親子共々よろしくお願いします。
- 新規オープンの支店を、本店共々よろしくお願いいたします。
- 部下の〇〇共々、誠心誠意つくす覚悟です。
目上の人に使っても失礼ではない?
「共々」はへりくだる(自分のことを控えめにいう)意味合いが含まれるため、目上の人には使わないほうが無難です。失礼な印象を与える可能性が高いので避けましょう。
目上の方に「ご家族共々、お元気でいらっしゃいますか」「ご夫婦共々でお越しくださり、ありがとうございます」と伝えるのは違和感があります。
相手に使う時は「ご家族の皆様」「ご夫婦おそろいで」「皆様におかれましては」と言い換えましょう。
また、「共々」のなかに自分より目上の方が含まれるときも使うべきではありません。下記の伝え方は不適切のため、注意しましょう。
- ✕:社長共々、これからもよろしくお願い致します。
- ✕:店長共々、非常に喜んでおります。
自分よりも職位の高い方や上司が含まれるときは「私ども」と言い換えましょう。身内を含めた「共々」の表現が使えるのは、自分より目下の方を含むときや団体を代表して挨拶する場合です。
- 社長の立場:社員共々、今後も精進してまいります。
- 店長の立場:スタッフ共々、非常に喜んでおります。
「共々」は結婚式の謝辞や葬式では使ってはいけない?
「共々」は同じ言葉を重ねる表現のため、結婚式や葬式で使ってはいけない「忌み言葉」やに「重ね言葉」あたるのでは?と迷う方も多いでしょう。
【忌み言葉とは】 冠婚葬祭やお祝い・お見舞いの場や、それにまつわる文書を書くときに、使ってはいけない不吉な意味のある言葉です。忌み言葉の代表格は「死」を連想させる言葉ですが、そのほかにも、不幸が重なるという意味合いの「重ね言葉」など、それぞれの場面で用いてはいけない言葉があります。 現代では気にする人も少なくなりましたが、縁起の悪い意味合いの言葉や、それを連想させたりする言葉は基本的にすべてNGです。マナーをわきまえた文章を心がけましょう。 |
結論からお伝えすると、「共々」は「重ね言葉」や「忌み言葉」には当たらないため、謝辞で使っても大丈夫です。
重ね言葉には「再び、重ね重ね、たびたび、追って、次々」などがありますが、詳しくは「忌み言葉とは|お祝い・お悔やみで避ける用語・重ね言葉まとめ」をご覧ください。
【例文】
- 親子共々、お二人の新しい門出を心より祝福いたします。
- 夫婦共々、信じられない気持ちです。
- たくさんのご祝辞や励ましのお言葉を頂戴しまして、〇〇共々、心より感謝申し上げます。
「共々」を使ったメール・メッセージ例文集
「夫婦共々よろしくお願いいたします」の例文
この度は私どもの結婚式に際しまして、 未熟な二人ではございますが、力を合わせて 今後とも、夫婦共々よろしくお願いいたします。 |
「共々よろしくお願いします」のビジネスメール例文
件名:来社のお礼 株式会社〇〇〇〇 平素より大変お世話になっております。 本日はお忙しい中、ご足労いただき 打ち合わせの内容を取りまとめ、 今後とも、主任の△△共々よろしくお願いします。 ==================== |
共々の類義語・言い換え表現
「共々」の類義語は下記のとおりです。自分を含む表現を用いるときは「共々」を言い換えて使いましょう。
- ともに
- 一緒に
- 相ともに
- 連れ立って
また、相手のことを指すときは下記の表現に言い回しをかえて伝えましょう。
- ご家族の皆様
- ご夫婦おそろいで
- おふたり
- 皆様におかれましては
さいごに
かしこまった場面や結婚式などで用いる「共々」の表現。皆様使い方は理解できましたか?
「相手方にも身内にも、自分より目上の人を表す時は使わない」というポイントさえ押さえていれば、恥ずかしい思いをしたり、失礼な印象を与えずに済みます。
結婚式や葬式の席で使っても問題のない言葉ですので、組織や家族の代表として謝辞を述べる時に使ってみてはいかがでしょうか。