「つきましては」の意味・使い方(例文)|「なお」「おかれましては」との違い、類語・言い換え表現

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「生かす」「活かす」の違い・使い分け方|意味・使い方・類義語まとめ

「つきましては」というフレーズを実際に使ったことはありますか?

いかにもビジネスパーソンらしい言い回しですが、正しい文脈で使えているか自信がない方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは「つきましては」の意味や使い方をご紹介します。似た場面で使う「なお」や「おかれましては」との違いもご説明します。

「つきましては」の正しい使い方を、是非この機会に覚えてくださいね。

「つきましては」の意味

「つきましては」の意味は、文のどこで使うかによって異なります。文頭で使う「つきましては」の意味は「それですから。したがいましては」です。対して、「~につきましては」の形で文中に使うと「~に関しては。~に対しては」という意味にもなります。

「つきましては」は「ついては」の丁寧な言い方です。文頭で使う場合は接続詞として、前に述べた事柄と、それを受けて起こる次の事柄とを順当につなぐために使います。より馴染みのある言い換え表現として「よって。したがって。それだから」が挙げられます。

文中で使う「~につきましては」は、連語「について」の丁寧な言い方です。「について」の成り立ちは、動詞「就く」に接続助詞「て」が付いた「つきて」が音変化したものです。この頭に格助詞「に」が加わって一単語のように働くことで、動作・作用の対象となるものを指す語として使われます。

「つきましては」は漢字で「就きましては」と表記しますが、一般的にはひらがなで表記します。内閣訓令「公用文における漢字使用等について(平成22年11月)」では、原則として次の4語は漢字で書くべきとして接続詞「及び 並びに 又は 若しくは」が挙げられており、それ以外の接続詞「おって  かつ  したがって  ただし  ついては  ところが  ところで また  ゆえに」等は原則としてひらがなで書くべきとされています。「つきましては」もビジネスシーンではこのルールに従い、特別な事情がない限り漢字表記は避けましょう。

接続詞「つきましては」の使い方(例文つき)

「つきましては」は文頭で用いることで、「したがって。そこで。そういうわけで。それゆえ」という意味の接続詞となります。

順接や話題転換の意味合いを持つ「つきましては」は、前の文章を受けて後ろの文章に繋げるために使います。したがって、改行後や段落を変えた直後に「つきましては」を使うことで文章の流れを理解しやすくなります。文章を作成する際は、「つきましては」だけが飛び抜けて丁寧な印象にならないように、文章全体を丁寧な表現にするよう心掛けましょう。また、「つきましては」は多用するとくどい印象になってしまいます。同一文章内では使う頻度に注意が必要です。

「つきましては」は丁寧な言葉なので、目上の人や取引先を含め、どんな相手にも使うことができます。「つきましては」を使う具体的な場面として、お礼・謝罪・依頼といった場面が挙げられます。

感謝やお礼を伝える際は、感謝の気持ちに伴って何か行動やイベントが発生する際に「つきましては」を用います。まず、初めに何に対して感謝をしているのか具体的に説明しつつお礼を伝えます。そのあと「つきましては」と続けてイベントのお知らせにつなげます。また、謝罪の場合は、まず事情の説明と謝罪の言葉を述べ、その後「つきましては」に続けて謝罪の原因となった事柄についてどのように対処をするのかに言及します。依頼の場合は、初めに依頼が発生した事情や理由について説明した後で、「つきましては」に続けて依頼内容を伝えます。なお、依頼の際は「つきましては~いただけないでしょうか」と疑問文にすることで、柔らかくお願いすることができます。

接続詞「つきましては」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • お届けした書類に不備がありましたこと、深くお詫び申し上げます。新しい書類を早急に作成し、発送する所存です。つきましては、正しい書類がお手元に届き次第、以前の書類を処分していただけますと幸いです。
  • 皆様にご尽力いただいたおかげで、このプロジェクトを無事成功に導くことができました。ありがとうございます。つきましては、後日感謝の気持ちを込めたパーティを開催いたします。奮ってご参加ください。
  • この度、福利厚生の見直しを図ることとなりました。つきましては、お配りするアンケートにご協力くださいますようお願い申し上げます。
  • 先月から携わっているデザイン提案について、なかなか先方の要望を満たすことができません。つきましては、何かアドバイスをいただけないでしょうか。

敬語表現「つきましては」の使い方(例文つき)

「つきましては」は「~につきましては」の形で文中に用いることで、「~に関しては」という意味になります。

丁寧な表現なので、目上の人や取引先相手を含めて誰にでも使うことができます。「~」の部分に述べたい事柄を名詞もしくは「その件」「~の件」の形で入れ、後にそれに関する詳細を続けます。「~につきましては」を使った文章は文の頭に話の主題が提示されるため、聞き手・読み手にとっては話をスムーズに理解することができます。

敬語表現の「つきましては」を使った例文は、以下の通りです。

【例文】

  • ご不明点につきましては、お問合せ窓口よりご連絡ください。
  • この度の新企画につきましては、新しくプロジェクトチームを立ち上げる予定です。
  • ご依頼の件につきましては、誠に勝手ながら辞退させていただきたく存じます。
  • その件につきましては、具体的な対応は取らずしばらく経過を観察する方針となりました。

接続詞「つきましては」と「なお」との違い

接続詞「つきまして」と似た場面で使う言葉に、「なお」があります。これらの違いは、前後の文の関係です。

「つきましては」は前に述べた文章の内容を展開していくために用いるため、前後の文が原因と結果の関係になります。それに対して「なお」は、前に述べた文章を補足するために用います。注意事項など、本筋ではない情報を付加するために用いる語が「なお」なのです。

  • つきましては:前文で述べた内容に基づいて、話題を次に運ぶための接続詞。
  • なお:前文で述べた内容に、さらに別のことを言い添えるための接続詞。

敬語表現「つきましては」と「おかれましては」との違い

文中で敬語表現として使う「つきましては」と似た言葉に、「おかれましては」があります。これらの違いは、言及する対象です。

そもそも「おかれましては」は「おいては」の丁寧な言い方です。「つきましては」と同様に、「~におかれましては」の形で用いることで「~に関して」という意味になります。

しかし、「つきましては」と「おかれまして」は何を指すかが異なります。「つきましては」が事柄を指して使うのに対し、「おかれましては」が指すのは人や団体、場所です。「皆様におかれましては」「御社におかれましては」といった使い方を見聞きしたことがある方も多いのではないでしょうか。誤って人や企業に対して「つきましては」を使うと失礼にあたるため、誤用には気を付けましょう。

  • ~につきましては:事柄に対して使う。
  • ~におかれましては:人, 団体, 場所に対して使う。

接続詞「つきましては」の類語・言い換え表現

接続詞「つきましては」の言い換え表現には、以下のようなものがあります。

【言い換え表現】

  • そういうわけで:それで。だから。
  • そのため:そういうわけで。だから。それゆえ。
  • そこで:それで。そんなわけで。
  • それゆえ:だから。
  • したがいましては:「したがって」の丁寧な言い方。だから。それゆえ。
  • それですから:「そうであるから。だから」の丁寧な言い方。

上に挙げた接続詞は、どれも前に述べた事柄が原因・前提となって、次に述べる事柄が順当に起こることを意味するフレーズです。他にも、より口語的な類語として「だから」「以上より」「なので」「ですから」「ですので」があります。

敬語表現「つきましては」の類語・言い換え表現

敬語表現「つきましては」の類語には、以下のようなものがあります。

【類語】

  • ~に際しては:ある行為、事態にあたって。…の折に。
  • ~に関しては:…について。…にかかわって。
  • ~するに当たり:…するその時に。…に際して。

「〇〇するに当たり」は「○○に当たっては」とすることもあります。

さいごに

ここまで「つきましては」についてご説明してきましたが、いかがでしたか。

つきましては、大きく分けて2つの使い方があります。まず文頭で使う接続詞、そして文中で使う敬語表現です。

接続詞としては「したがって。そこで」という意味で用い、前の文章を原因・前提として後ろの文章へつなげる役割があります。一方、文中で使う際は「○○に関して」という意味合いの敬語表現として用います。どちらの使い方も丁寧な言い方なので、目上の人や取引先を含め誰にでも使うことができます。

「つきましては」を適切に使うことで、文章の流れや話題が明確になります。読み手・聞き手にとっては内容がぐっと理解しやすくなるので、是非ビジネスメールや書類で活用してみてくださいね。

この文章を読んで、「つきましては」が正しく使えるようになることを応援しています。

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