「とりあえず」はビジネスでは失礼?正しい敬語表現や「ひとまず」との違いまとめ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
「とりあえず」はビジネスでは失礼?正しい敬語表現・ひとまずとの違いまとめ

ビジネスシーンで「とりあえず」のフレーズを耳にする機会があります。

あなたも使ったことがあるかもしれませんね。でも、軽んじたニュアンスに聞こえなくもない「とりあえず」の言葉は、ビジネスで使っても問題ないのでしょうか。

ここでは「とりあえず」はビジネスシーンで使ってもいいのか、敬語表現はあるのか、「ひとまず」との違いはあるのかなど、徹底解説するので参考にしてくださいね。

なお、「とりあえず」の意味や使い方を理解したい方は『「とりあえず」の意味・使い方|ビジネスメールでの言い換え方』をご覧ください。

「とりあえず」はビジネスではNG?

「とりあえず」の意味を辞書で調べると「ほかのことはさしおいて、まず第一に。なにはさておき」とあります。

使い勝手の良い言葉なので、日常生活で頻繁に使っている方もいるのではないでしょうか。

ビジネスシーンでもつい多用したくなるフレーズですが、実は「とりあえず」はビジネス敬語としては不適切です。

その理由は3つ挙げられます。

まず一つ目の理由は、「とりあえず」がそもそも敬語ではないため、相手に対する敬いの気持ちを表せないからです。素っ気なく、相手や案件を軽んじているようにも受け取れる表現なので、相手に失礼な文章になってしまいます。

二つ目の理由は、「とりあえず」を使うことで適当な対応をしている印象を相手に与える恐れがあるためです。「とりあえず」というフレーズは、自分にそのつもりがなくても聞き手にはその場しのぎや場当たり的、妥協しているように聞こえてしまいます。

三つ目の理由は、「とりあえず」は曖昧な表現なので、ビジネス上は避けた方が無難という側面があるからです。曖昧な表現を使ってしまうと、双方の認識に齟齬が生じて誤解を招きかねません。また、断言する自信がないようにも受け取られてしまいます。どちらも、ビジネスにおいて良い結果をもたらすことはありません。

これら3つの理由から、たとえ相手が身内であってもビジネスシーン全般で「とりあえず」の使用は避けた方が良いでしょう。

とは言っても、「とりあえず」としか言いようのない状況もありますよね。そんな時に使える「とりあえず」に代わる言い回しを次の章でご紹介します。

「とりあえず」に代わる言い換え方

ビジネスシーンでの使用がふさわしい「とりあえず」の言い換え表現は、以下の2つです。

  • まず:とりあえず。ともかく。何はともあれ。
  • ひとまず:とりあえず。さしあたって。今後のことは別にして、その時点で一応の区切りをつけるさま。

【例文】

  • まず、価格表をお送りしますのでご検討ください。
  • まず、現在の進捗状況をご報告いたします。
  • ひとまず、ご報告のみにて失礼いたします。
  • ひとまず、A案で対応したいと考えています。

その他にも「とりあえず」の類語として、文脈によっては以下のようなフレーズも使うことができます。

  • さしあたり:先のことはともかく、今のところ。今しばらくの間。当面。
  • また:ふたたび。前にあったことがもう一度繰り返されるさま。
  • それでは:そういうことなら。それなら。では。それじゃ。前に示された事柄を受けて、それに対する判断・意見などを導く。
  • 略儀ながら:正式の手続きを一部省略して、簡単にしたやり方ではあるけれど。
  • 以上:手紙・目録・箇条書きなどの末尾に記して「終わり」の意を表す。
  • 改めて:もう一度。別の機会に。再び新しく行うさま。

「とりあえず」以外でも「取り急ぎ」や「一応」についてもビジネス敬語としては好ましくない

「とりあえず」と似た意味の言葉には、以下のようなものもあります。

  • 取り急ぎ:「急ぎ」を強めて言う語。急を要するさま。急いで。
  • 一応:十分ではないが、ひととおり。大略。

「取り急ぎ」と「一応」は「とりあえず」の類語表現ですが、ビジネス敬語としては好ましくありません。「取り急ぎ」や「一応」は「とりあえず」と同様に、確証がない答えでその場しのぎの対応をしているというニュアンスを含んでいます。

さらに、聞いた人の中には、適当で無責任な発言と捉える人もいます。例えば手紙の文末で「取り急ぎ、お礼まで」といった使い方がありますが、これも厳密にいえば礼を欠いていると言えます。「取り急ぎ」や「一応」というフレーズは相手にネガティブな印象を与える可能性があるので、目上の人相手にはもちろん、ビジネス上は使用を控えた方が賢明です。

それでは、「取り急ぎ」「一応」を使いたい時はどのような言い方に代えれば良いのでしょうか。「取り急ぎ」は「用件のみにて失礼いたします」「手短ですが、ご容赦ください」、「一応」は「おおよそですが」などの言い換え表現を使うと良いでしょう。

ビジネスシーンにふさわしい「取り急ぎ」「一応」の言い換え表現を、例文で見比べて確認してみましょう。

【例文】

  • 取り急ぎ、ご連絡まで⇒用件のみにて失礼いたします。
  • 取り急ぎ、ご案内まで⇒まずはご案内申し上げます。
  • 一応、明日までに見直しておきます⇒念のため、明日までに見直しておきます。
  • 一応、前回と同じ数だけ発注しておきます⇒おおよそですが、前回と同じ数だけ発注しておきます。

並べて見ると、「取り急ぎ」「一応」がビジネス上避けた方が良い表現だということが理解しやすくなりますね。

さいごに

ここでは「とりあえず」の意味や使い方、ビジネスシーンでの言い換え表現についてお伝えしましたが、いかがでしょうか。

文中で述べた通り、仕事では「とりあえず」の使用は避けたほうが無難です。

言い換え表現をみて、相応しい状況で使い分けをするとよいでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket