「忖度」という言葉がマスメディアに登場する機会が増えていますが、「忖度」って何?どういう意味?という方も多いのではないでしょうか。実際この「忖度」が注目され始めたのはつい最近の話です。
2017年の森友学園問題の際に、森友学園理事長の籠池氏が、国会の証人で以下のように発言しました。「口利きはしていない。忖度したということでしょう。」この発言から聞きなれない「忖度」という言葉が取り上げられ始め、2017年には流行語大賞にもなりました。
そんな一連の出来事から「忖度」の意味を知っているという方も、少し誤解して意味を覚えているように感じます。ここでは、「忖度」の正しい意味や使い方を例文付きでわかりやすく解説していきます。
「忖度」の意味・使い方
「忖度」の読み方は「そんたく」です。知らなければ中々読めませんよね。忖度の意味は「他人の気持ちを推し量る、思案する」です。
つまり、忖度とは人の気持ちを考えるということです。とてもシンプルな意味ですね。しかし、前述の森友学園問題における使い方のように、この頃では「上役(上司)の気持ちを察して媚びへつらうこと」というような使われ方もしています。
もちろん間違った使い方ではありませんが、森友学園問題から「忖度」は日本社会のダメなところのようなイメージがついてしまっています。
ですが、「忖度」は古来より使われている伝統的な言葉であり、本来は相手の気持ちを思いやるという日本の美しい文化を表す言葉なのです。
日常のシーンを例に挙げてみます。家に帰ったらいつも明るいお母さんが少々不機嫌だとしましょう。そこで、「機嫌が悪いけど、どうしたのかな?」「もしかして私が原因?」、あるいは「だれが怒らせたの?」など、その理由をあれこれ考えますよね。これこそが最も身近な「忖度」。日々の生活で無意識に行っていることなのです。
その後に、「部屋の片付けをしていなかった」など、思い当たる原因があれば「片付けをする」といった行動に出ることもあるでしょう。これが「忖度した」、つまり「気持ちを推し量る+行動に移した」となるのです。
「忖度」の使い方(例文つき)
では、どんな時に「忖度」という言葉を使うのでしょうか。
「忖度」は本来難しい文章語(※口頭語にはあまり用いられず、文章を書くときに多く用いられる語)ですから日常会話の中で使うような言葉ではありません。
しかし、これだけポピュラーになった「忖度」ですから日常の中に出てきそうな例文を上げていきます。
【例文】
- 教授の真意を忖度しかねる。
- 彼の気持ちを忖度しサプライズでプレゼントを購入した。
- 両親の思いを忖度し、国公立大学を目指すことにする。
- 社長の考えを忖度し、新規のプロジェクトを提案する。
- 生徒の気持ちを忖度し、冷房の設定温度を少し下げる。
- 彼は他人を忖度しすぎて、いつも損をしてしまう。
「忖度」の類語・言い換え表現
よりイメージしやすいように、「忖度」の言葉を言い換えた類義語についても紹介しておきます。
- 推測(すいそく)
- 憶測(おくそく)
- はかり知る
- 決め込む
- 想定
- 予測
- 推論(すいろん)
- 推知(すいち)
完全な証拠がなく不確かではあるものの、仮の根拠に基づいて意見を表したり、信じたりする言葉が「忖度」の類語として挙げられます。
まとめ
「忖度」の意味や使い方を例文付きで解説してきましたが、いかがでしょうか。「忖度」は森友学園問題以降、少し偏った使われ方が浸透してしまいました。
しかし、本来は言葉にせずとも相手のことを思い、お互いに思いやりを持って過ごしていくという日本人ならではの文化を象徴するような言葉です。この記事を読んでいただいて「忖度」についてしまったネガティブなイメージが変わったのではないでしょうか。「忖度」の本来の意味や使い方を知っていただけたなら幸いです。