会社に有給休暇の申請を出す際、欠席理由はどのように書いていますか?
理由をぼんやりとさせておきたい方がよく使う「私用」と「所用」という表現。漢字も似ていれば「しよう」「しょよう」と読み方も大変似ているため混同しやすいですが、厳密には違う意味を持つ言葉となります。
意味に違いがあるということは、使える状況にも違いがあるということ。特にビジネスシーンでは、使い方を間違えると先方に悪い印象を与えてしまう可能性もあるため、しっかり意味を理解した上で正しく使い分ける必要があります。
「私用」の意味・使い方
「私用(しよう)」とは、「仕事ではないプライベートな用事・個人的な用事」という意味があります。
「私事(わたくしごと・しじ)」と同じように使われることも。自分のための用事や家族・友人との行事、冠婚葬祭が「私用」に含まれます。社外の方に使うと失礼になる場合もあり、主に社内や身内に向けて使うよう意識しておきましょう。
【例文】
- 明日は私用で欠席します。
- 会社の電話を私用で使わないように、と注意された。
- 勤務中は私用の外出はできません。
「所用」の意味・使い方
「所用(しょよう)」とは、プライベートから仕事に関わることまで用事全般を表す言葉で、「私用」も「所用」の中に含まれていることになります。「用事・用件」の改まった言い方としても使われ、社外の方に対してやフォーマルな場面で使用しても失礼のない言葉です。
【例文】
- 担当の〇〇は、所用のため外出しております。
- 急な所用のため、少し遅れます。
- その日は所用がありますので、できれば別の日にお願いしたいのですが。
このように使うことで、「仕事上の都合なら仕方がない」と寛容に受け止めてもらえることも。
「私用」「所用」の違い
それでは、「私用」と「所用」を正しく使い分けるために、それぞれの意味と相手に与える印象の違いをみていきます。
- 私用:仕事とは関わりのない個人的な用事
- 所用:仕事から個人的なことまで、用事全般・「用事・用件」のフォーマルな言い方
用事全般を表す「所用」の中には、個人的な用事の「私用」も含まれているため、どちらを使うのがふさわしいか迷った時は「所用」を使っておけば間違いにはなりません。次に、例文を比較してみましょう。
- 取引先を訪問した後、所用を済ませて直帰します。
- 取引先を訪問した後、私用を済ませて直帰します。
上の文の場合、「所用」とすることで仕事に関係のある用事を済ませる、という意味合いに取れることから悪い印象にはなりません。しかし、「私用」を使ってしまうと「勤務中にプライベートな用事を済ませるつもりか?」と不信感を持たれる可能性もあるので要注意です。
また、社外の方との打ち合わせ中に仕事で重要な連絡が入った際も
- ちょっと所用の電話をかけてきます。
- ちょっと私用の電話をかけてきます。
というのでは大きく印象が変わってしまうことを忘れずに。一方、親しい同僚からの食事の誘いを断る場合などは、「ちょっと私用があるから…」と伝えても問題ないでしょう。
有給休暇や欠席理由に書くときはどっち
社内に向けて有給休暇を取る理由として「仕事上の用事」ということはありえないので、この場合は「私用」が当てはまります。
「私用」も「所用」に含まれるためどちらを使っても間違いではありませんが、プライベートな理由ということは明確なので「私用」を使う方がより適切といえます。「私用」に当てはまる用事は以下の通りです。
- 通院
- 子供の行事
- 役所での手続き
- 旅行
- 冠婚葬祭
冠婚葬祭の場合、会社によっては「慶弔休暇」が適用される場合もあります。また、社外の方との付き合いや社内の行事を欠席する場合には、たとえプライベートな用事だとしても「所用」を使うことをおすすめします。ここで「私用」を使うと「こちらよりプライベートを優先するのか」と関係性を悪化させてしまう可能性もあるので要注意。
まとめ
「私用」「所用」という漢字も読み方も似ている2つの言葉について、意味の違いや使い方を解説してきました。もう有給休暇の申請や欠席理由に「私用」「所用」のどちらを使えばよいのか迷わなくて済みますね。
似たような意味とはいっても、社外の方に対してやフォーマルな場面で使い方を間違えると、相手に悪い印象を与えてしまう可能性があることが分かりました。社会人としてビジネスをスムーズに進めるために、的確な言葉選びができるよう使い方をマスターしておきましょう。