「~していきます」というフレーズは、ビジネスシーンに限らず日常生活全般で頻繁使われています。
あまりにも慣れた言葉なので、正しい意味を確認する機会がないままなんとなく使っているという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、「していきます」の意味や使い方をご紹介します。
ビジネスシーンでは適切な言葉遣いが求められるので、是非この機会に「していきます」の正しい使い方を確認してくださいね。
「していきます」の意味
「していきます」の意味は、「今後~を継続していく予定」です。
「していきます」の意味を理解するために、フレーズを分解してみましょう。
- し:動詞「する」の連用形。意味は「ある事・動作・行為などを行う」。
- て:接続助詞「て」。
- いき:動詞「行く(ゆく)」の連用形。補助動詞では「動作の継続・進行」の意を表す。
- ます:丁寧の助動詞「ます」。
つまり、「していきます」は「ある動作・行為を継続していく」ことを丁寧に述べたフレーズです。今現在既に行っていることを引き続き継続していく場合に加え、これから新たに始めることを続けていく場合にも使えます。
「いき」は元々「行く」という動詞ですが、ここでは「する」を補う補助動詞として使われています。したがって、「行く」が本来持っている「進む」という意味はありません。この場合の「いき」は、「する」に対して「動作の継続」という意味を付け足すための語なのです。
補助動詞は基本的にひらがなで表記するというルールがあります。内閣訓令「公用文における漢字使用について(平成22年11月)」でも「”…ていく”は原則として仮名で書く」とされています。また、漢字で「して行きます」と書いてしまうと、「~してから向かいます」という意味に受け取られる恐れもあります。これらの理由から、「していきます」を「して行きます」と漢字で書くのは避けた方が無難です。
なお、「していきます」を「してゆきます」と表記しても問題はありません。「いく」という語形は昔からありますが、平安時代以降は「ゆく」の方が広く使われるようになります。現在では話し言葉らしい印象を持つ「いく」が書き言葉でも広く使われていますが、「してゆきます」でも日本語として間違いではありません。
「していきます」の使い方(例文つき)
「していきます」は敬語表現です。
したがって、ビジネスシーンでも問題なく使うことができますが、相手が目上の人や取引先の場合にはより丁寧な表現である「してまいります」「ご~していきます」がふさわしいでしょう。「してまいります」は「行く」を謙譲語「参る」に置き換えたもの、「ご~していきます」は謙譲語の一般形「ご~する」に当てはめたものです。どちらも相手への敬意を含んだ謙譲表現のため目上の人に向けた表現であり、同僚や目下の人に対して使うのは不適切です。
「していきます」は自分の言動について使うフレーズで、今後の自分の言動や意気込み、意向について「努めていきます」といったように使います。今後の相手の動作について伝えたい場合には、「する」を尊敬語に置き換えた「されていく」が適切です。「されていく」は具体的に、「今後は業務を拡大されていく方針なのですね」のように使います。
なお、「していきます」の前に「これから」「今から」「今後は」などの言葉を付けることがあります。また、自分の意志や確定した予定ではなく、希望や願望のニュアンスを込めたいなら、希望の助動詞「たい」を加えた「していきたいです」を用います。
- 「していきます」をさらに丁寧にすると「してまいります」「ご~していきます」。
- 「していきます」は自分の言動について使う。
- 相手の行動に対して使うなら「されていく」が適切。
- 「していきたいです」は希望や願望を込めたフレーズ。
「していきます」を使った例文は、以下の通りです。
【例文】
- ここから完成までの工程には繊細な作業を必要としていきます。
- 今後は一層精進してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。
- 新商品についてこれから順次ご紹介していきますので、気に掛けていただければ幸いです。
- 先方の社長ですが、体調をみながら少しずつ現場復帰されていくそうです。
- 今後の3年間で、今の2倍近くにまで業績を伸ばしていきたいです。
「していきます」の類語・言い換え表現
「していきます」の類語には、以下のようなフレーズがあります。
【類語】
していく予定です:「予定」の意味は「行事や行動を前もって定めること」です。「予定です」と明言することで、より明確に「~するつもりだ」「あらかじめ決めている」と伝えることができます。
【例文】
- これからデザインコンペで広くアイディアを募集していく予定です。
- 今後も新規の顧客獲得に注力していく予定です。
- 新入社員は現在研修中ですが、来月からは実際の配属先で勉強していく予定です。
【類語】
おこなってまいります:「行う」は「する」と同じく「物事をする。やる。実施する」という意味です。「する」がカジュアルな印象なのに対し、「行う」はビジネス向けの表現となります。
【例文】
- これから消費者の満足度を図るため、全国的なアンケート調査をおこなってまいります。
- 来年4月のオープンに向けて、様々なメディアで周知をおこなってまいります。
- 今後はこのようなことがないように、今まで以上に徹底した品質管理をおこなってまいります。
さいごに
ここまで「していきます」についてご説明してきましたが、いかがでしたか。
「していきます」は「ある動作・行為を続けていく」ことを丁寧に伝えるためのフレーズです。自分の行為について使うフレーズで、これから新しく始めて続けていくことや、今までしてきたことをこれからも継続していくと相手に伝えることができます。相手が目上の人や取引先の場合には、謙譲表現を使って「していまいります」「ご~していきます」とすると相手を立てるのにふさわしい表現となります。
「していきます」は現実的な予定だけでなく、抱負ややる気を伝える際にも使える表現です。ビジネスシーンでは幅広いシーンで使える表現なので、覚えておくと非常に重宝します。
この記事を参考に、正しい「していきます」の使い方がマスターできるよう応援しています。