「所在ない」の意味・使い方・語源・類語|例文つき

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「所在ない」の意味・使い方・語源・類語|例文つき

「所在ない」という言葉を見聞きすることがあります。

自分のことを「所在ない」と言うことはあまりありませんが、他人の様子を見て「所在なく立っていた」などと使うことがありますよね。小説の文章で目にしたことのある人も多いのではないでしょうか。

ここでは「所在ない」の意味や使い方をお伝えします。また「所在ない」の語源や類語についてもお伝えするので参考にしてくださいね。

「所在ない」や「所在なげ」について、例文も紹介するので、意味が曖昧なままになっていた人も、これを機会にしっかり習得できるようチェックしておいてくださいね。

「所在ない」の意味・使い方

「所在ない」の読み方は「しょざいない」です。

「所在ない」とは「することがなくて退屈だ。手持無沙汰である」という意味です。

「所在」という漢字は「所」と「在る」の漢字が並んだ語のため、そのニュアンスから「その場所にいない」や「居場所がない」などと、間違った意味で捉えている人も少なくありません。

「所在ない」の正しい意味は「することがない」「手持無沙汰だ」のため、間違えないように注意してくださいね。

「所在ない」は、その場にいて何もすることがなく、退屈な状態を表すときや、何かしたいけどできなくて手持ちぶさたなときに使う言葉です。

一般的には「所在なく~する」「所在ない~」といった形で、形容詞として使いますが、名詞として「所在なさ」、形容動詞として「所在なげ」と使うこともあります。

【例文】

  • 彼は所在なく壁際にもたれていた。
  • 所在なくその場をうろうろしている人がいる。
  • あそこに立っている人はどこか所在ない印象を受ける。
  • 所在なさをやり過ごすために、ピアノの一人稽古をしていた。

「所在ない」の語源

「所在ない」の語源はどこからきているのでしょうか?

「所在」は、漢語だと「物事が存在するところ。ありか。また、人が居る場所」という意味です。

その、もともと場所を表す言葉だった「所在」が、いつしか日本では発展的用法で「仕事。職業。身分。地位」や「すること。行為」という意味になりました。

「所在ない」の「所在」は、この「すること。行為」という意味が由来となっています。

その「所在」を「ない(無い)」で否定することにより、「することがない。手持ちぶさたで退屈だ」という意味を表す語になったのです。

日本語には一つの熟語のなかにいろいろな意味を持つ言葉が多くあります。「所在ない」はその代表例といえます。意味はもちろん、語源についてもしっかりと頭に入れておいてくださいね。

「所在なさげ」は誤用表現?

上でも述べた通り、「所在ない」は形容動詞で「所在なげ」と表します。

「所在なげ」という言葉は「所在なさげ」と表されることもありますが、この使い方は正しいのでしょうか。

「所在なげ」の「げ」という接尾語は、形容詞の語幹「所在な」について「~そうだ」「~らしい」という意味になります。

そのため、「所在なげ(所在なさそうだ、所在ないらしい)」というのが本来の正しい使い方なのですが、辞書には「所在なさげ」という言葉も補足として記載があるため、どちらを使っても間違いではありません。正しい表現です。

「所在なさげ」は名詞の「所在なさ」に「げ」をつけて「所在なさげ(所在なさそうだ、所在ないらしい)」という意味を表したものと考えられます。

日本語も時代とともに変化していくものなので、今はどちらの使い方も正しいといえます。

「所在なげ」の例文

「所在なげ」も「所在なさげ」も、「所在な(さ)げに~する」という使い方をし、どちらもすることがなくて退屈なさまを表す言葉です。ここでは、「所在なげ」を使った例文をご紹介します。

【例文】

  • 彼は所在なげに書類を何度も開いたり閉じたりしていた。
  • 〇〇さんは自分の出る幕がなく、所在なげにそのやりとり見つめていた。
  • 会話の輪に入れず、所在なげにソファーに腰かけていた。

また、「所在なげ」は「所在なげな」という使い方をする場合もあります。

  • 所在なげな様子が痛ましい。
  • 所在なげな表情でその場に立ち尽くす。
  • あそこにいる男性は所在なげなそぶりをしている。

例文で紹介した通り、手持ちぶさたで退屈そうな人の状態を表すときに「所在なげ」を使うことにより、ただ「退屈そうだ」という表現よりもやや堅めの印象になります。「所在」という言葉の音読みから、きっちりした響きになりますね。

特にビジネスシーンでは「手持ちぶさた」「することがなく退屈」よりも「所在ない」「所在なげ」という表現がふさわしいことがありますので、適した場面で使ってみてくださいね。

「所在ない」の類語・言い換え表現

「所在ない」の類語にはどのような言い換え表現があるのでしょうか。

【類義語】

  • つまらない
  • 退屈
  • 間が持てない
  • 手持ちぶさた
  • 無聊(ぶりょう)
  • 徒然(とぜん。つれづれ)

「退屈」の意味は「何もすることがなく暇をもてあますこと」、「つまらない」は「満足感がない、心が楽しくない」、「手持ちぶさた」は「何もすることがなくて間が持てないこと」です。

また、「間が持てない」は「時間を持て余してどうしたらよいのかわからない」、「無聊」は「退屈なこと、気が晴れないこと」、「徒然」は「何もすることがなくて退屈なこと」という意味です。どれも「所在ない」と意味が似ているので、類語に当たります。

「退屈」や「つまらない」は日常会話で友達や家族にもよく使う言葉ですね。

その表現ではちょっとフランクすぎると思うときに「手持ちぶさた」「間が持てない」などの表現を使うのがいいですね。

「無聊」「徒然」の言い回しだと、難しい言葉のため相手によっては意味が伝わらない場合もあります。

使う相手の立場や、その場の状況を考えて、適切な言葉を選ぶようにしたいものです。

【例文】

  • 待ち時間が長く、手持ちぶさたになってしまった。
  • 初対面の人との会話でうまく話せず、間が持てない。
  • 今日は好きな番組の放送がないのでつまらない。

さいごに

ここでは「所在ない」の正しい意味や使い方、「所在ない」の語源についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

「所在ない」というと、少し難しい印象をうけるかもしれませんが、今までお伝えしてきたように「することがない」という意味です。

ビジネスシーンでは状況に応じてその場に合った言葉を選ぶことが重要です。ぜひ覚えておいて、さまざまな場面で使い分けてみてくださいね。

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