ビジネス社会に競争はつきもので。
他の企業と同じことをやっていても勝ち目はなく、業界で生き残るためには独自の方法を考える必要があります。そんな時によく使われる「戦略・戦術・作戦」という3つの言葉、正しく使い分けはできていますか?
ここでは、ビジネスに欠かせない「戦略・戦術・作戦」と、その基となる「目標・目的」について、それぞれの違いはもちろん、意味や使い方について解説していきます。
違いをはっきりさせることで、どれもビジネス社会で勝ち残るためには欠かせない大切な要素だと分かってきますよ。
「戦略・戦術・作戦・目標・目的」の違い
それぞれの違いを説明する前に、まずはビジネスにおける「目的・目標・戦略・作戦・戦術」の関係性からお伝えします。下記の図をご覧ください。
これらは「目的」を頂点としたピラミッド構造になっています。
- 目的:達成するべき使命・目指すことがら・ねらい
- 目標:目的を達成するために経営資源を投入する具体的な的・目当て
- 戦略:経営目標・目的を達成するためのシナリオ
- 作戦:戦略を達成するために実現しなければならないこと
- 戦術:作戦を実行する具体的なアクションプラン・戦略を実行するためのプラン
ビジネスの方法を考える際は、今挙げたような順序で具体的なプランを練ることが一般的です。
経営目線では「目的→目標→戦略→作戦→戦術」という流れで組み立てることが重要です。それでは具体的なそれぞれの言葉の意味や違いについてお伝えしていきます。
「目的」の意味・使い方
辞書に書いてある「目的」の意味は「実現しようとしてめざす事柄。行動のねらい。めあて」です。
ビジネスだと「目的」は「達成すべき使命」や「存在意義」のことを表します。
企業における「目的」について例を挙げると、「地域社会に貢献すること」や「働いてくれている社員やその家族の幸せ」「業界トップシェア」など、最終的に成し遂げたいことですね。
「目的」は存在意義なので、これを起点としてビジネスを組み立てることが重要ですね。
「目標」の意味・使い方
「目標」の意味は下記の3つです。
- そこに行き着くように、またそこから外れないように目印とするもの。
- 射撃・攻撃などの対象。まと。
- 行動を進めるにあたって、実現・達成をめざす水準。
なお、ビジネスで用いる「目標」の意味を分かりやすくいうと、「目的を達成するための具体的な目印」といえます。
たとえば、「お客様に選ばれる企業になる」という目的を持ったとしましょう。その目的を達成できたかどうかの判断基準を設定したものが目標なのです。
たとえば「年間売上目標50億円」や「年間販売台数3万台」といった、経営資源を投入する具体的な目印のことです。
「目的」の下に「目標」があると理解しておくとわかりやすいですね。
「戦略」の意味・使い方
「戦略」を辞書で調べると、下記の2つの意味が出てきます。
- 戦争に勝つための総合的・長期的な計略。
- 組織などを運営していくについて、将来を見通しての方策。
ビジネスにおける「戦略」の意味は「目標を達成するためのシナリオ」です。言い換えると、目指すものを実現させるための、全体的な方法や計画のこと。会社の強みやリソースをどのように活かしていくかを考えることですね。
たとえば、目標である「年間の純利益10億円」を達成するために、「ターゲットの顧客層を広げて売上を15%伸ばす」や「販管費の8%をコストダウンする」といった計画を立てることです。
戦略は長期的な視点で立てられることが多いのも特徴の一つです。
「作戦」の意味・使い方
「作戦」の意味を辞書で調べると「戦いや試合をうまく運ぶ方法や策略。転じて、物事を進めていくうえでのはかりごと」と出てきます。
ビジネスでの「作戦」は「戦略を実現するためのそれぞれのプロジェクト」を表します。分かりやすく言えば、戦略を実現させるために「何をしなければならないのか」を明確にすることですね。
たとえば、「販管費の8%をコストダウンする」という戦略の場合、作戦は「商品の運送料金を15%見直し」「店舗賃料を5%削減」「電気代を5%削減」などが挙げられます。
上記の例に示したように、戦略を成功に導くための作戦はひとつとは限りません。複数の作戦を立てることもあります。
「戦術」の意味・使い方
「戦術」の意味は下記の2つです。
- 戦いに勝つための個々の具体的な方法。
- ある目的を達成するための具体的な方法・手段。
「戦術」は、ビジネスでは「作戦を実行するためのより具体的なプラン」を指します。簡単に言えば、プロジェクトを成功に導くための戦い方を考えることですね。
たとえば「商品の運送料金を15%見直しする」という作戦の場合、戦術は「一度に配送する商品のロット数を上げる」「運送業者に見積もりを取る」などがありますね。
なお、一つの作戦に対し、複数の戦術が立てられることもあります。
また、戦略が長期的であるのに対して戦術は短期的。その戦術が的確でないと判断されると、途中で別の戦術に変更することもあります。
企業の経営理念とも深く関わっている戦略は、組織のトップが決定することが多いですが、具体的な戦術については、現場の責任者などに任されることもあります。
さいごに
ビジネスをしていく上で欠かせない「戦略・戦術・作戦・目的・目標」。特に、「目的・目標」と「戦略・作戦・戦術」については、違いが曖昧だった方もおられたでしょう。
そんな方も、今回それぞれの意味を比べてみたことで、違いや使い方が明確になったのではないでしょうか。
ビジネスを成功に導くための計画を考えようとしている方は、まずは「目的」から着手し、最終的に「戦術」まで広げていきましょう。